とある勉強会に出席した。ブックディレクター幅充孝氏(写真左)と本のデザインを中心に活動するグラフィクデザイナー尾原史和氏(写真右)の対談を聞いた。
■グラフィックデザイナーの尾原さんは
「自分が信頼できる人、顔の見える人に褒められたいと思ってデザインしている。それは、このデザインを世の中に出していいかどうか、自分の中の『基準』を持つことだと思う」
と言っていた。
それを聞いた幅さんが小説家川上弘美さんの話を始めた。
■小説家川上弘美さんもこう言っていた。
「私は15人のために小説を書いています。もう、その15人は決めています。その15人に読んでもらって、おもしろいねって言われたいです」
と。
CMプランナーの多田啄くんも以前同じことを言っていた。ブックデザイナー、小説家、CMプランナーが同じことを言っていた。広告屋と作家は全然違う商売だけど、人の気持ちを動かすものをつくるという点では共通なんだと思う。
よく「ターゲットはF1とかF2層で」とかなんとか顔の見えない集団を都合のいいように分類する人がいるが、例えば若い男子大学4年生がターゲットだとして、渋谷のスクランブル交差点を見下ろすビルの窓からライフルで狙う時、信号が青になってみんなが歩き始めるとき、ただぶっ放せばいいかというとそうじゃなく、若い男子学生がいそうだから渋谷のスクランブル交差点で発砲すればいいやじゃなくて、あのライフルの覗くヤツ(スコープ?)で、ひとりのこめかみに照準を合わせて引き金をひかねえと、ヘタな鉄砲数撃っても当たんねえよと思う。ターゲットを絞る、というのはそういうことなんじゃないか?と思う。