新しくなりたくて、なりたくて

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新しくなりたくて、なりたくて、なりました。

新しいとらばーゆ

1984年 とらばーゆ 信号待ち篇30秒ナレーション
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サン・アドではCMもコピーライター、アートディレクター、CMディレクターでつくります。この3人で企画しながら、CMディレクターは仕上がりを想像しながら、演出コンテを頭の中で描きながら、3人で企画していきます。

このとらばーゆのCMは、その当時のいろんなCMを見ていて、「なんか違うことやりたいな」と漠然と思っていました。そこで、今村直樹CMディレクターに「モノクロでやりたい」「ワンカットで30秒をやりたい」と提案してみました。

モノクロ。信号待ちをしているサングラスの女性。
スーツ姿。顔のアップ。
隠し撮りのようなドキュメンタリーのような映像。
信号が変わると、サングラスをはずし、
ビジネス用の眼鏡にかけ替えて歩き出す。ただそれだけの30秒。
『新しくなりたくて、なりたくて、なりました。新しいとらばーゆ』
というナレーション。

まだ20代の若造たちで企画したCMでした。当時のサン・アドでは、最初の企画を通した人間がCDをやるのがふつうでした。とらばーゆの仕事は前田敏英プロデューサーが自ら獲得して来た仕事だし最初の自主プレをしたメンバーでやるのです。ここには葛西さんでさえ入れません。いま思うと、若造だけでやったので、完成度に粗い部分やイマイチな部分もありましたが自分たちで責任を持つ、という経験は貴重なものだったと思います。

蛇足:サン・アドの仲畑チームには、『新商品のチラシやカタログのコピーを書いた人間がその商品の全キャンペーンのコピーを書く』という決まりがありました。チラシやカタログのコピーは若い人、メインのキャンペーンは大御所が書く、な〜んてやっていると、いつまでたっても育たない。というのが仲畑さんの持論でした。人を育てるのは、先輩が手取り足取り教えるのではなく自分で責任を取らせる、というやり方のほうがいい、という考え方だったと思います。ボクはそういう場所にいられて良かったなと思います。

 


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