16年前の駐車券

駐車券

1997年2月10日。16年前の今日、朝早くに家の電話が鳴って起こされた。電話が鳴ったというだけで、何があったかは、わかっていた。兄貴からだった。「今朝、おふくろが息を引き取った」という連絡だった。ずっと入院していて、そろそろ危ないかもしれないと言われていたので、ついにこの日が来たかと思った。目黒から埼玉県の越生というとこに行く。電車を乗り継いで行くにはかなり時間がかかる場所なので、クルマで向かった。何を思いながら運転していたのか思い出せないが、今日の空みたいに、何もなかったかのように晴れた青空の日だったように憶えている。

「97-02-10 08:56」と印字された駐車券がある。越生の病院の駐車券だ。ああ、ちょうど今頃の時間だ。あの朝、病室の母に会いに行ったんだった。印字は薄くなってきていて、出庫が「97-02-10 12:03」と見える。病院からどこへ行ったんだっけ・・・。病室から安置室へ移って、葬儀屋さんのクルマでどこかへ移動したんだっけかなぁ・・・。

もう16年か。映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で、デロリアンの車内に、何十年後(あるいは前)の同じ日、同じ時間へタイムスリップする装置があった。16年前と同じようないい天気の冬の朝だから、16年前に戻ったような気がした。

その日の記憶はだんだんぼんやりしていく。この駐車券は、印字された時刻が薄くなって消えてしまわないように、パウチしてある。このパウチした駐車券はお守りとして、いまもクルマの中に入れている。


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