『武玉川』(むたまがわ)という句があります。七・七の句です。五・七・五の俳句や川柳は有名ですが、七・七のたった十四文字の句です。つくるのはムズカシイのですが、決まればその切れ味は五・七・五の句よりも鮮やかです。な〜んて、知ってたかのような口を聞いてますが、コピーライターの大先輩である土屋耕一さんの本をいただいて知った次第。では、その土屋さんの武玉川からボクの好きな句をいくつかご紹介しましょう。
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背中でドアを閉める落胆
女の傘で歩く翌朝
酔って見ているただの張り紙
津波の町の揃う命日
つららになった昨晩の火事
ブリの港の高いアンテナ
花を見ている齢とった犬
線路をカニが歩く外房
少女は足をもてあます夏
襲う支店を遠くから見る
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どうです?たった十四文字で見事に光景が浮かんでくるでしょ?俳句や川柳もそうですが、こういう言葉遊びの文化っていいなあ、日本人でよかったなあと思うのです。この「本」は非売品です。土屋耕一さんの奥様が土屋さんの作品をまとめてくださった。とても貴重な本をいただきました。この『武玉川』という遊びを広めたいと思い、コピーライター養成講座中村組では課題としてこの七・七の句、武玉川をやります。歩きながらや電車の中で句を考える。ケータイばかりいじるより脳にもいい気がします。そう、今日、3月27日は、土屋さんの命日だったのですね。土屋さん、へたくそですが、武玉川、楽しんでおります。
(2009年3月27日土屋耕一さん逝去 79才)
今回も楽しく読ませていただきました。
「武玉川」、初めて耳にしました。検索しようと、打ちこんだら「無多摩川」になってしまいました^^;
「「女の傘で歩く翌朝」」、、、前の晩に何かあったのか、、彼女のしかなかったのか、
母の傘しかなかったのか、、、色んな情景が浮かびました。
今日の帰りの電車でやってみたいと思います。
頭の中で遊べるゲーム、面白いですよ。通勤途中に見かけた情景を七・七にするのもいいかも。
制約を受ければ受けるほど、無尽蔵に広がる発想。広告の世界に生きた者でしか会得できない、しなやかな心根を感じます。どれも素晴らしい言葉。もうキャッチとして完全に成立してますね。夢玉山でした(笑)
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