地下鉄丸ノ内線


コピーライターの土屋耕一さんは荻窪にお住まいだった。昔いただいた年賀状の住所が確かそうだった。たまたまボクも今、荻窪に住んでいる。地下鉄丸ノ内線に乗って赤坂見附に行く途中、四ツ谷駅で一瞬地上に出る。地下鉄の車内にまぶしい陽の光が差し込む気持ちいい瞬間がある。

上智大学の土手にサクラが見える。土屋さんの仕事場は青山一丁目だった。荻窪から丸ノ内線に乗って、赤坂見附で銀座線に乗り換えていたに違いない。朝のラッシュ時だと人が立っていて窓の外はあまり見えないけど、ちょっと時差通勤の時間だと、人が立っていないので座っている正面の大きな窓から土手の桜が見える。今日はいい天気。葉桜になりつつある上智の土手が見えた。

土屋さんもこの時間、この車両の、このシートに座っていたんじゃないかと思った。だって、土屋さんの七・七の句、『武玉川』(むたまがわ)にこんな句があるんだもの。

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四ツ谷で花を見せる地下鉄

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土屋さんとまさに同じ風景が見えた気がして、なんかうれしくなった。


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