梅本さんと秋山さん

コピーライターの梅本洋一さんが亡くなった。そのお別れ会で秋山晶さんがスピーチをされた。秋山さんが東京コピーライターズクラブの会長を務めていた10年間、梅本さんは事務局長として秋山さんを支えた。秋山さんは梅本さんが事務局長として支えてくれるなら、と会長を引き受けたそうだ。その梅本さんへの言葉。会場は梅本さんを偲んで多くの友人知人が集っていて、秋山さんが話し始めてもやや騒がしかった。

「梅本さんに話をしたいので、

 みなさんに背を向けることをお許しください」

と秋山さんは献花代の梅本さんの写真に向かって話し始めた。けっして声を張らず、そこにいる梅本さんに話しかけるような秋山さんの言葉。しだいに会場に静寂が広がっていった。みんな息を飲んで秋山さんの声を聞き始めた。

言葉のチカラを思い知らされた。けっして声を張らず、静かに語りかけるように話される、ピュアな秋山さんの言葉が、その会場にいた全員の心に沁みていった。

「梅は咲いたか、YMOはまだか」という梅本さんのコピーを尊敬していた秋山さん。
挨拶が終わりかけたとき、秋山さんの声が止まった。

YMO・・・・・・・

 ・・・『YMOという名前を聞くたびに、

 梅本さんを思い出すでしょう」

その絶句した数秒間が、秋山さんの本当の声なんだろうと思った。


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