会ったこともない人を、泣かす。

書く語りき

広告の業界誌などに書いた文章も「こんなコピーを書きました」でまとめておこうと思います。ちょっと昔に書いた文章ですが、今も、これからにも通ずる部分があると思い記録しておきます。2008年に発刊されたコピーライター養成講座 50周年記念ブレーン別冊「コピーライター、書く語りき」に寄せた文章です。
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会ったこともない人を、泣かす。

JWトンプソンの営業をしていた頃、コピーライター養成講座の専門コースに通っていた。岡田耕さんのクラスだった。その岡田クラスを卒業してサン・アドに入社が決まり、リクルート「とらば〜ゆ」のコピーを書いていた、まだ駆け出しの頃。久しぶりに岡田耕さんとお会いする機会があった。

「言おうかな〜どうしようかな〜。悔しいから、言うのやめとこうかな〜」と、いたずらっ子のような目をして岡田さんは話し始めた。

「実はね、リクルートの人から聞いた話なんだけど。新潟に住んでいる中学生の女の子がね、中村君のコピーで、泣いたっていうんだよ」と。

当時、リニューアルした就職情報誌とらば〜ゆのCMで、「新しく、なりたくて、なりたくて、なりました。新しい、とらば〜ゆ」というナレーションコピーを書いた。自分の書いたコピーが、会ったこともない遠く離れた人の気持ちに刺さったのかと思うと、こっちが泣きそうになった。

コピーが人に届いたんだという快感。この感動こそが、広告というしんどい仕事を続けさせてくれるエネルギーになっているのかもしれない。このとらば〜ゆのCMは、何の広告賞も獲らなかったけれど、恩師岡田耕さんからは勲章をいただいたと思っている。そして今でも、仕事で気持ちが折れそうになると、この話を思い出す。広告をつくる仕事を選んでよかった、と。(コピーライター中村禎)

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