おいしさを笑顔に

おいしさを笑顔に

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おいしさを笑顔に

2007年〜2013年  KIRIN
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澁江俊一くん、堤恵理さん、中村直史(ナカムラタダシ)くんと中村禎(なかむらただし)。企業スローガンのプレゼンですからたくさんの案が求められるだろう、ということで複数コピーライターで臨みました。2003年から2006年にかけて使っていた「うれしいを、つぎつぎと。KIRIN」というスローガンの次にくるもの。

企業スローガンはムズカシイです。案はいくらでも出せるのですが、どう決めるか、何で決めるか、どう覚悟を決めるかに時間がかかります。やがてヘトヘトになります。今回は4人のコピーライターで案を出し合い、みんなで選びながら絞って行きました。たぶん何回もプレゼンしたと思います。もうこのへんで決めてくれないと、もうモチベーションがもたない、という最終プレゼン。ボクは中村家に代々伝わる大きな風呂敷に、いままで書いた全部のコピーを包んで持って行きました。高さ6、70cmはあったでしょうか。クライアントとも何度も話し合って、最終的に3案に絞って持って行く。クライアントは「もっと他にありませんか?」と言うかもしれない。そうしたら、この風呂敷包みを置いて帰ろうと思っていました。クライアントは納得してくれました。「わかりました。この3案から決めます」

企業スローガンは自分の服を選ぶようなものです。自分が着る服を選ぶことに似ています。私はこういう人間です、という自己紹介であり自己表現でもある。だからクライアントも「私はこんな服は着ない」とか「私はこんな服はあまり好きじゃない」と言います。

ちょうどこの仕事をしているとき、自分の服を買う時に妻に言われたことがありました。ボクは「こんな服は着ない」とか「こんな服はあまり好きじゃない」と言うと、妻は「自分が好きな服と似合う服って違うこともあるんだよ」と言うのです。(そうかもなぁ・・・)同じように「自分の好きな色が必ずしも自分に似合う色とは限らないよ」とも言われました。(確かに一理あるな・・・)

企業スローガンも一緒なんじゃないか。その企業の内側から見たその企業らしさと、周りから見たその企業らしさ。自分では似合わないと思っていた言葉も実は周りからみたら似合う言葉だったりしますよ、とプレゼンした記憶があります。たしか、「笑顔」とか「スマイル」といった言葉が照れくさい、KIRINらしくないんじゃないか?と心配されていたようでした。(その当時)

KIRINというロゴを見るとしあわせになる、KIRINのロゴの周りには笑顔がある、そうあって欲しいと思った。だから、「おいしさを笑顔に」を提案しました。2007年から7年もの間使っていただいたコピー。この写真のように社員の名刺にも印刷されました。その「おいしさを笑顔に」というスローガンも2013年12月31日を持って、その役目を終えました。今年の広告からはとくに企業スローガンはありません。気づいてました?

追伸:KIRINのロゴの上にこのスローガンがなくなっても、KIRINを見たお客さんに「笑顔」が思い浮かべば、7年間のこのスローガンにも意味があったということですかね。


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