国立競技場の女神

kokurituMegami

第92回サッカー全国高校選手権決勝。富山第一が星稜を延長の末3−2で初優勝を掴んだ。改修工事のため最後の国立競技場での決勝戦。サッカーの神様はやはり国立競技場にいたんだと思った。

前半、富山第一が押していたがPKで星稜が1点先制して折り返す。後半に入って星稜もいいカタチをつくり始め後半25分に2−0とリードを広げる。後半41分星稜のキャプテン背番号10番の寺村くんが交代する。準々決勝、準決勝で勝った後もはしゃがず、「自分たちの居場所はここではない、本田先輩(ACミラン)が行けなかった決勝に行くことだ」とチームメイトに声をかけるような冷静な選手だった。そんな精神的支柱を下げていいのか?と不安になった。監督の真意はわからないが、寺村くんは足の小指を骨折したケガもあり、他の3年生も使ってやりたいと思ったのか。

気になったのは交代のとき寺村くんがキャプテンマークを味方の選手にポイッと投げてピッチを後にしたことだった。みんなの寄せ書きの書かれたキャプテンマークをポイッとしていいのか、と思った。マジックテープ式のキャプテンマークは自分ひとりでは巻きにくい。副キャプテンの腕に巻いてやるくらい心を込めてもいいんじゃないか。その後、キャプテンマークを巻いた選手の腕がクローズアップされる。寄せ書きの書かれたキャプテンマークがめくれ上がって雑に巻かれていたように見えた。

キャプテンが下がり、1点差に追い付かれ、チームが浮き足立っていたことを表しているようなめくれ上がり方に見えた。そのめくれあがったキャプテンマークを巻いた選手のファウルでPKを取られ同点に追い付かれた。そんな精神論だけじゃ試合は決まらないとは思うんだけど、もし国立競技場にサッカーの神様がいたのなら、「みんなの気持ちのこもったキャプテンマークをもっと大事に扱わんかい!」と思ったんじゃないだろうか。

星稜は10番のキャプテンを下げた直後に1点返され、キャプテンマークを受け継いだ選手のファウルでPKを取られ同点に追いつかれた。富山第一は後半途中交代で入った高浪くんが1点を返し、キャプテンの大塚くんが重圧の中PKを決め手アディショナルタイムで追いついた。延長後半決勝ゴールを決めたのは、これも後半から投入された村井くんだった。サッカーの神様はやはり国立競技場にいたんだと思った。

勝ったチームは後半のアディショナルタイムまで負けていても諦めてはいけないんだと学んだだろう。負けたチームもその口惜しさを冷静に振り返って今後の人生のもっと大きな試合に勝ってほしい。いずれにせよ、すばらしい試合を見せてもらった。ありがとう。このすばらしい経験はきっと彼らの人生に大きく役に立つはずだ。将来の日本代表に入って欲しい。(富山第一の背番号3番の選手が特に印象に残った)


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