フランス98の記憶⑥ブラジウ(前半)

FR98クロックマダムFR98クロックムッシュ

ツアーで宿泊しているレンヌという町と、試合のあるナントという町は約120km離れている。国立競技場の試合を見るのに沼津のホテルに泊まっているカンジだ。しかし、ボクたちの手にはブラジルvsモロッコ戦のチケットがある。ブラジル戦のキックオフは21時だから、試合が終わってからレンヌまで電車では戻ってこられない。ツアーから離れてナントに一泊することにした。

スタジアムに行く前に町のカフェで腹ごしらえ。サクラは「クロックムッシュ」を、ボクは「クロックマダム」を頼んだ。クロックムッシュはなんか聞いたことがあったけど、クロックマダムって何だろうね、と頼んでみた。クロックムッシュに目玉焼きが乗ったのが「マダム」だった。なかなかいいじゃん、目玉焼き。

FR98ブラクルマ

けたたましくクラクションを鳴らしながらクルマが通りかかる。「ったく、うるせーなー」と思っていたら、お仲間さんだった。「ブラ〜ズィウ! ブラ〜ズィウ! ブラ〜ズィウ!」と騒ぎながら箱乗りしているブラジル人のクルマ。ブラジルユニやBRASILと背中に入ったウインドブレーカーを着たボクたち「日系ブラジル人」もそれに応えた。町中がこんな「サッカーバカ」ばっかりになる。それがワールドカップなのだ。ぼくらもそのサッカーバカの真ん中にいる。

FR98サンバ太鼓FR98ブラサンバ

街の中心部からスタジアムまではトラム(路面電車)で行く。スタジアム駅で降りるとき、とくに検札みたいなのはなかった。試合の日は無料だったのかもしれない。キックオフは21時なんだけど、スタジアムには18時前に到着していた。スタジアムの周辺はもうすでにお祭り状態。パチもんのユニを売る人たち、サンバのリズムで踊りながら練り歩く集団、カポエイラを披露するグループ。そんな光景をビールを飲みながら芝生に寝転んで眺めている。チケットがあるだけで、こんなにも余裕をもって観戦できるんだ。トゥールーズとは別世界。W杯を観るという資格というか免許証をもらったという気分だった。ああ、これがワールドカップなんだ、と感じた。(日本戦は楽しむというより緊張するので、心から楽しむためには日本以外の国の試合を見るのがいいみたい)

18時半、第2ゲートが開いて、いよいよ観客席に入る。 ・・・フランス98の記憶⑦ブラジウ(後半)へつづく

フランス98の記憶①開幕戦の夜
フランス98の記憶②出発直前
フランス98の記憶③長い一日
フランス98の記憶④最初の試合
フランス98の記憶⑤バスの一日
フランス98の記憶⑥ブラジウ(前半)
フランス98の記憶⑦ブラジウ(後半)
フランス98の記憶⑧クロアチア戦
フランス98の記憶⑨旅の終わり