オリンピックの魔物

冬季オリンピック。女子ジャンプ。メダルを期待されていた高梨沙羅選手。そのコーチが松岡修造のインタビューに応えていた。「オリンピックはやはり他の大会と違うんですかね?」という質問に対して、「(沙羅さんは)いつもはそんなこと言わないんだけど、今回は『メダル獲れなかったらどうしよう』と言っていたんです。ふだんは、そんなこと言わない子だったのに」と。オリンピックに魔物がいるとしたら、ソチの会場にいるんじゃなく、日本にいて「応援してるよ」「がんばってね」「メダル確実だ」などと過大な期待を背負わせる無責任な声とマスコミの加熱した取材なんじゃないか。オリンピックの魔物は、われわれ日本人なんじゃないか、と思った。

もしボクがオリンピックの日本選手団の団長だったら、日本を出発する前の記者会見でこう言う。「全員金メダルを目指してベストを尽くします。メダルは無理かもしれない選手さえもトップを目指してベストを尽くします。だから、マスコミのみなさんも、選手たちに集中する時間とリラックスする時間をあげてください。一番メダルが欲しいのは辛い苦しい練習をしてきた選手たちです。選手たちは0.01秒、0.01点の世界で戦っています。どうか、試合が終わるまで選手への取材はご遠慮ください。試合が終わったら勝っても負けても、取材には十分お応えしますから」と言う。


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