だってブラジルなんだもの⑩ナタルの彼 

2014年6月16日

105号室
■16日朝 Villa do Mar 105号室
コホッ、コホッ、コホッ。同室の岩上くんが咳をしている。熱っぽい、寒気がするといってベッドに潜っている。レシフェの雨のスタジアムからの帰り道、雨に濡れてバスで冷えて、風邪を引いたのかもしれない。(その他にもサポ村ツアーの人が何人も風邪気味だったようだ)風邪薬は飲んだらしいが熱が引かない。持っていた解熱剤をあげた。寝てたほうがいいよ。彼の予定はハードだ。今日16日アメリカvsガーナ戦@ナタル、17日ブラジルvsメキシコ戦@フォルタレーザ、で19日が日本vsギリシア戦@ナタル。ナタルのスタジアムはホテルから遠くないから、行けなくはないだろうけど、無理して熱が収まらなかったら日本戦までパーになっては元も子もない。「中村さん、アメリカvsガーナ、行ってくれませんか」

その日の昼、ホテルから町まで買い物バスがでる。スーパーマーケットのあるショッピングセンターに行くらしい。よし、そこでいろいろ買い出ししてこよう。水のペットボトル、ビール、非常食用のチョコレートなど、カップヌードル的なモノ、そして栄養ドリンクとか翼をさずけるヤツとかを買い出しに行こう。風邪気味の時にはそういうドリンクがいいだろう。

■16日13時 スーパーマーケットの彼
ボクはまた例の日本代表KIRINプラクティスシャツを着ていた。(ちゃんと昨日洗濯しましたよ。ポリエステルだから乾きが早い。こういう旅行では洗濯は必至なので、綿100%のTシャツより、サッカー系のポリエステル100%のシャツの方が乾きやすくていいと思ったのです)で、その「背中が語っているシャツ」を着て、スーパーマーケットでビールをどれを買おうか探していたら、ブラジルの青年に声をかけられた。「ジャパオ?」背中の文字を読んで話しかけてくれたみたいだ。「ブラジルも応援します」というポルトガル語を背中に書いたけど、しゃべれないので「おー、ジャパオよ。セレソン・ブラジレーロ、オーエン、スルーヨ」とかなんとか言いながら、一緒に写真を撮った。やっぱり、文字を書いててよかった。正しいポルトガル語じゃないとしても、伝えたいという気持ちは伝わるんだな。写真の中の青年は恥ずかしそうに笑っていた。
ショッピングセンターの男の子名前も知らない彼と

■16日15時 Villa do Mar 105号室
ホテルに戻り、栄養ドリンクなどを飲ませ、岩上くんにこう言った。「じゃあ、今日のアメリカ戦はボクが買います。だけど、まだブラジル戦はあきらめちゃダメだよ。ブラジル戦のチケットを持っているのに見ないと絶対後悔するって。行くんだ、というつもりで寝てなさい」と励ました。実は、「ブラジル戦も中村さん行ってください」と言われてて、一瞬「ラッキーか?」とほくそ笑んだのも事実だが、やっぱ岩上くんが行くべきだ、と思った。しかし、ひとつ難題があって。ブラジル戦がフォルタレーザだということ。メチャメチャ遠いのだ。ナタルからは520kmはある。東京から神戸の距離。それをあのバス(もう故障しないとは思うけど)で日帰りだ。ブラジル戦は17日16時キックオフなので、ホテルを夜明け前の4時に出発するらしい。「夜まで寝て、熱が下がってきたら、行くんだぞ」と言い残し、ボクはアメリカvsガーナ戦にでかけた。

ナタルスタジアム見晴らしかなりの高さからでも試合は見やすい。サッカー専用スタジアムはいいわ

■16日19時 Arena das Dunas@NATAL
19日のギリシア戦のスタジアムなので下見も兼ねて。座席はカテゴリー3の一番上の方だった。座席の下を覗き込むと、鉄パイプと板で突貫工事で作った感じだった。ここで全員が立ち上がってジャンプして応援なんかしたら、崩壊するんじゃね? やはり工事が間に合っていない、というのはホントだった。(スタジアムの周辺もまだ工事中だった。というより、途中で工事を止めたふうだった。ワールドカップのイラストが描かれた板で覆ってあるだけだったし)仮設の座席のようだから、みんな、おとなしく座って応援しようね。
座席の下階段の下を覗くと鉄パイプと板にシートが貼ってあるスタンド

■16日20時 Arena das Dunas@NATAL となりの席の彼
ボクのとなりの席にひとりのブラジル人の青年がいた。ハーフタイムに「ジャパニーズ?」と英語で話しかけられて、そうだよと答えるとこんな画像を見せてくれた。
ハチマキ写真なんと日の丸ハチマキじゃないの! レシフェでのコートジボワール戦でもらったらしい。日の丸ハチマキ大作戦がこんなに広がっている! うれしくなっちゃって、持っていた日の丸扇子をあげたら、喜んでくれた。ギリシア戦も応援してね、と記念写真を一緒に撮った。スーパーマーケットで会った彼も、この彼も。名前も知らないブラジル人、二度と会わないブラジル人なんだろうけど、お互いの記憶にずっと残るのかと思うと、ワールドカップに来るというのはいいもんだなぁと思った。(せめて名前だけでも書いてもらえばよかったなぁ。後悔)
ナタルの彼二度と会えない彼と

■17日午前1時 Villa do Mar 105号室
試合後、サポ村ツアーから行っていた人たちとピザ屋で食事をしてワイワイやってホテルに戻る。たぶん12時はすぎていたかな。岩上くん、熱は下がったかな。ドアのところにルームサービスの食器があった。食欲があるようなら大丈夫だろう。熱もなんとなく下がってきたという。本人はまだ行くかどうか迷っていたようだが、ボクは行くように強く奨めた。本人も明るさを取り戻してきているようだった。岩上くんが行く決断をした。正直、ホッとした。もし「やっぱり熱が下がらないので中村さん、ブラジル戦行ってください」と言われたらどうしようと思っていた。ブラジルに来て寝不足の日々、昨日は休めたが、今日も試合を見て来て夜の1時過ぎに帰って来て、これから4時にまたバスで出かける。しかも神戸まで(の距離)。ブラジル戦は見たいけど、心と身体の準備ができていなかった。

■17日午前4時 岩上くんを見送って、寝た。

病み上がりの岩上くんを焚き付けてしまったかなぁ。でもせっかくプラチナチケットでもあるブラジル戦を持っているのにそこに行かないなんて、ブラジルに来た意味ないし。バスの中でずっと寝てればいいんだし。絶対見に行ったほうがいいよ。うん、多少無理してでも行ったほうがいい。だってブラジル戦なんだもの。(つづく)

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