だってブラジルなんだもの⑭「ファン」か「国民」か

2014年6月19日

ギリシア戦の日。ある意味今回のブラジルで一番記憶の少ない一日だったのかもしれない。一番写真を撮らなかった一日になってしまった。試合が始まる前までにブラジル人たちとニコニコ写真を撮り、スタジアムの席から数枚、それ以降は一枚も写真がなかった。試合後、ひとりでサポ村ツアーバスの待ち合わせ場所まで帰って行ったことは覚えている。その日の夕食はどうしたんだっけ? それも覚えていない。デジカメの写真データ(時刻)を見ながら思い出してみる。

15時30分ロビー集合
ギリシア戦前ロビー
期待と不安。左奥、スカイブルーのシャツにハチマキをしているブラジル人は元FC東京のルーカス選手です。サポ村の前夜祭に家族で参加してくれました。

16時すぎ  スタジアム周辺到着
ダン幕

はるばる日本の裏側のブラジルの、ナタルという街のスタジアムまでやって来て、案外いろんな人と会えるもんだと思った。バスを降りてゾロゾロ歩いているとちょんまげ隊長のツンさんたちに会う。この12番の人の後ろ姿は「ダンマク」と呼ばれる横断幕を運んでいるところ。かなりの大荷物。はるばるブラジルまで運んで応援してくれる。これが選手たちの力になるんだなぁ。頭が下がります。

バッタリ
クラッターさん
ブラジルに行く前にいろんなサポーターの人と知り合った。世界中でサッカー観戦してきて警備隊から催涙弾を喰らったことのあるクラッターさん。facebookでブラジルのあちこちで観戦しているのは知っていたけど、ここナタルのスタジアムで再会!

「ピン隊」と呼ばれる白いボウリングのピンを被って顔を日の丸に塗ったグループがいます。国際映像によく抜かれる人たち。その金ちゃんたちやペコさんたちにも会いました。写真撮るの忘れてた!

19時ギリシア戦の君が代
ギリシア戦前

この写真を最後に、この日はもう一枚も撮っていなかった。

 

帰国後、ギリシア戦の録画を見直してみた。スタジアムで感じた部分、スタジアムでは見えなかった部分、いろいろ見えた。向こうでもそう思ったが、やはり大久保と内田が一番良かった。点を獲りたい!勝つんだ!という気持ちが全身から出ていた。選手たちにはもう何も言わない。必死で戦った結果なんだろうから。ただ、ザッケローニ監督と日本のマスコミにどうしても言いたいことがある。

ザックインタビュー
ザックさんへ

■「なぜ交代枠を使い切らなかったんですか?」「練習もしたことない吉田を上げてパワープレーをして点が取れると思ったのですか?」「背が高いギリシアのDF相手にパワープレーが有効なのですか?」慣れない吉田は相手ゴール前でしょうもないファウルをしてばかり。岡崎も動きにくそうだった。「守備を固めた相手なんだから、裏を取るのが得意の岡崎を下げて、大久保か本田をトップにいれ、サイドに齊藤学を入れて、あの変則ドリブルで相手DFの陣形を崩して点を獲りに行く方が日本の戦い方じゃないのですか?」「本田選手が、サイドからクロスを入れるだけで工夫・アイデアが足りなかったと反省していましたが、なぜピッチサイドから監督がアイデアを指示しなかったのですか?」と聞いてみたい。意地悪な質問かもしれないが、これにちゃんと答えられないようでは日本サッカーの発展は遅くなるだけだと思う。マスコミが選手や監督を正しく批評すべきだと思う。

日本のマスコミへ

■試合後の選手や監督へのインタビューの番組を見ていて気づいた。この質疑応答が退屈なのは、日本の質問者のせいだ。つまらない質問ばかりしている。「いまのお気持ちは?」とか「ゴールを奪えなかったことについてどうですか?」とか「次をどう戦いますか?」とか、答えがわかっているようなどうでもいい質問ばかり。選手は「そうですね」としか答えようのない誘導質問のような問いかけしかしていない。その点、海外のメディアは「なぜパワープレーをしたのか?」とか「なぜ交代枠を残したのか?」「香川を後半から入れた理由は何か?」と聞いていた。明確な答えではなかったけど、そういう鋭い質問をしてほしい。日本の質問は、ワイドショーのインタビューアーがアイドルへ質問してるのかよ、と思った。

(秋田豊さんが「なぜ、しないと言っていたパワープレーをしたのか?」と聞いたが、質問の仕方がまどろっこしくて、長い文章で質問したせいか、誤解されて翻訳されたようなピントのずれたザックの答えになっていた。モッタイナイ。翻訳されることを考えて簡潔な質問をすべきだった)

最後に。

インタビューの中に、気になった言葉があった。単なる言葉尻の問題かもしれないが、気になった。本田選手が「次のコロンビア戦はファンのためにも勝ち点3を獲りたいと思います」と言った。一方、ドイツに大敗した直後のブラジル代表ダビド・ルイスは泣きながら「こんな試合をしてしまい、国民に謝りたい・・・」と言っていた。応援してくれている人を「ファン」と呼ぶか「サポーター」と呼ぶか「国民」と呼ぶか。ワールドカップは「国民」なんじゃないかとボクは思う。「応援してくれるファンのために負けられない」という意識のチームより、「応援してくれる国民のために負けられない」という覚悟のチームのほうが絶対強いと思う。ワールドカップは「ファン」ではなく「サポーター」でもなく「国民」が応援しているんだという意識が必要なんじゃないだろうか。と同時に、青いユニフォームを着た人だけじゃなく日本人全員に応援する意識が必要なんじゃないか。じゃなきゃ勝てないよ。だって(ブラジル)ワールドカップなんだもの。(つづく)

だってブラジルなんだもの①出発の日
だってブラジルなんだもの②機上の人
だってブラジルなんだもの③まだアブダビだ
だってブラジルなんだもの④飛行機2本目
だってブラジルなんだもの⑤旅のメモ
だってブラジルなんだもの⑥サンパウロの空気
だってブラジルなんだもの⑦ブラジルの夜明け
だってブラジルなんだもの⑧ファベーラの笑顔
だってブラジルなんだもの⑨レシフェの雨
だってブラジルなんだもの⑩ナタルの彼
だってブラジルなんだもの⑪ブラジルの味
だってブラジルなんだもの⑫ブラジル国歌
だってブラジルなんだもの⑬KIRINと日本
だってブラジルなんだもの⑭「ファン」か「国民」か


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