山本昌邦さんの言葉

山本昌邦さんの話

「データ活用でわかるスポーツマネジメント〜勝つ組織」という山本昌邦さんの特別講演でのメモした言葉より。

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『選手の心に火をつける』

サッカー解説者
2004年アテネオリンピックサッカー日本代表監督
山本昌邦

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サッカーファンとして、試合のデータをどう活かしているのか、にすごく興味があったのだが、山本さんの話はもっと大きい話だった。「勝つ組織」をつくるために「データ」を利用するということ。データがすべてなのではなく、選手に自信を与えるためのデータを選んで伝える、ということだった。データはたくさんある。たくさんあるからいいのではなく、「選手に自信を与えるため」という目的のために、どのデータを使うか、を選ぶが大事だということ。精神安定剤としてのデータを活用するという。

●選手の時間帯別の運動量(ラスト15分で足が止まる)、選手の動きのクセ(ボールタッチ数、どの方向へのパスが多いか、誰とのパスが多いか、ロングパス、ショートパス、前方向か後ろ方向か)例えば、「相手の10番はボールタッチ数が多い傾向があるから、2タッチ目3タッチ目を狙ってボールを奪おう」とか、「相手の左サイドは残り15分で運動量が落ちる。その時間は左サイドにロングボールを入れろ」とか。(←もちろん、データだけでは勝てない。相手だってデータを持っているわけだから。心(心理)・技(技術)・体(体力)の3つの要素がこれにからんでくる。禎)

状況によって選手に話すときの「主語」を変えるようにしている。試合中のハーフタイム、試合後。うまくいったときの主語は「君たち」でいい。「君たちはよくやっている」とその努力を褒めてやる。ところが、うまくいかないとき「君たちは走りが足りない」みたいに「君たち」を主語にはしない。それだと、悪いのはお前らだ、と言っていることになる。監督が「他人」になってしまう。うまくいかないときは「我々」を主語にする。「我々は○○が足りなかった。次はこうしよう」というふうに。ちょっとした「主語」の違いで、選手への伝わりかたが全く違ってくる。(←とてもデリケートなとこまで心を配っているんだなぁ。会社の仕事の上司の言葉としても共通点があるだろう。禎)

●ハーフタイムの指示は簡潔でなければならない。「×××をするな」ではなく「○○○をしよう」というふうに、するべきことを言う。「伝えた」ではなく「伝わった」ことが大事。「伝えた」結果、選手たちが「変わった」ことで完結する。(←広告コミュニケーションと全く同じだ。そうだ、これがコミュニケーションなんだ。禎)

●監督の仕事は「教える」ではなく「考えさせる」こと。「こうしろ、ああしろ」ではそれしかしなくなる。自分で考えさせて自分で答えを見つけさせることがコーチの仕事。(←コピーを教える時と同じだ。中村組でのやり方は間違ってはいなかった。よかった。禎)

●大事な試合前に「映像」を見せて士気を上げることがある。そのビデオにはそれぞれの選手の大事な人からのメッセージが入っている。それをみんなで見る。ある選手へはこどもの頃から応援してくれたおじいちゃん、ある選手へはリハビリを支えた奥さん。誰のために走るのか、を知らせる。目に見えないものを見せる。(←このおじいちゃんの話で泣きそうになってしまった。やばかった。ビジネスマンだらけのホールで泣いてはいけない。禎)

監督は「易者」であり「医者」であり「役者」だ。「こうすればうまくいく(易者)」「ここが弱点だ(医者)」そして「理想の監督を演じる(役者)」(←「結果」がすべての厳しい商売だけど、「成長」とか「進化」を見る仕事は魅力的な仕事だなと感じた。コピーライター養成講座の講師として、共通する話、参考になる話も聞けた。よかった。禎)

(EMC Cloud Executive Summit 2014 「企業ビジネスの成長・革新と事業継続・運営効率化のためのクラウド活用」という日経BPとEMC(企業向けクラウドを扱う会社)が主催するセミナーに行きました。山本昌邦さんの「データ活用でわかるスポーツマネジメント〜勝つ組織」という特別講演でのメモした言葉より)


山本昌邦さんの言葉」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 2014年12月の目次 | ぶ厚い手帳:コピーライター中村禎の場合

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