出口治明さんのお話①

出口さん

「働き方」の教科書
ライフネット生命保険株式会社代表取締役会長兼CEO出口治明さんのお話を聞く機会がありました。「働き方」の教科書という著書(新潮社)を読んだばかりなんですが、著者の顔と声を聞くことができて感謝です。だって、出口さんの話し方、顔、声を思い出しながらもう一度、その本を読めるんですもんね。メモした言葉を整理してみます。いい話、満載なので2回に分けて記録します。
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■生きること、働くこと
「世界経営計画」というものがあるとすると、そのメインシステムは神さまだけが操作できることです。世界を自分の思う通りに経営できるとして、それができるのは神さまだけですから。じゃあ自分は何をするか。自分はこの世界をどのようなものと理解し、どこを変えたいと思い、自分はその中でどの部分を担うのか。それを一生考えて生きていくのです。自分はこの世界のどこがイヤでどこを変えたいと思っているか。それを考えることが自分のキャリアを考える基本だと思います。だから、自分は「世界経営計画のサブのシステム」なんです。(→世界経営計画という捉え方はデカイな、と思いましたが、そういうことですね。自分はどこがイヤでどこを変えたいと思っているか、を考え続けることは大事だと思いました。禎)

■森の姿を素直に見る
森の姿を素直に見なければ、一本の木ですら植えられない。人間は自分の見たいものしか見ない。都合のいいようにしか見ない。だから、ちゃんと見るためには「方法論」(次の二つ)が必要になるのです。

■タテ・ヨコ思考の重要性
すべての問題を時間軸と空間軸で考えてみることです。例1:自分の会社を考えるとき、タテ軸は時間軸。今いる自分の会社はどうやってできたか。何を考えて今の会社をつくったのか、を考える時間軸。ヨコ軸は空間軸。ライバルの会社はどうか。他の会社の様子を知る。そうやってタテ・ヨコで考えて、自分たちのポジションがわかります。例2:夫婦別姓の問題が取り上げられていますよね。タテ軸(時間軸)は日本の歴史はどうだったかを考える。すると、平安時代は別姓だった。同姓になったのは明治以降だとわかる。ヨコ軸(空間軸)じゃあ、世界はどうか、と考える。200カ国を調べるのはメンドクサイので OECDの34カ国の先進国を調べる。すると33カ国の法律婚は同じ。同姓を強制しているのは日本だけだということがわかる。海外を真似することはないのですが、結局イデオロギーだけで反対している、ということがわかる。こんな感じで、タテ・ヨコ軸で考えるとわかりやすいんです。(←すごい!わかりやすい。もっといろんな例題はないか。ちょっといろんなことをタテ・ヨコで考えてみよう。禎)

■数字・ファクト・ロジックのみで考える
たとえば、『人間にとって一番怖い動物は何か?』を考えてみましょう。オーストラリアに横綱白鵬をも飲み込む人食いザメがいるらしい。いや、アマゾンにはもっとデカイ大蛇がいる。ちょっと待って。一年間で何人殺しているか「数字で」考えてみると、ぶっちぎりは「蚊」なんですよね。病原菌を運んで1年に70万人が死んでいる。次は40万人が殺人です。人間は人間に殺されているんです。で、人食いザメはどうか。1年に10人くらいだという。人間にとって一番怖い動物は何か。1位「蚊」2位「人間」となりますよね。国語ではなく算数で考える。数字で考えてみることが大事なんです。(←先入観とか常識というシャワーを浴びているから人間は騙されている。本質を見つめるために「算数」で考えてみることの大事さを知った。禎)

■【マクロで考えると】労働力の流動化が大事
日本の大学生に「アメリカの企業ならどこに就職したいですか?」と聞く。ゴールドマン・サックス、マッキンゼー、ボストン・コンサルティング、などと言う。なんで?と聞くと、キャリアアップに役立ちそうだから、と答える。じゃあ、同じ質問をアメリカの大学生に聞くとどうか。アメリカではその3社は40位〜50位くらいです。なんで?と聞くと「その3社は今がピークでしょ。若いボクらがこれから勤めてもダメでしょ。ボクらは将来のソニーやホンダに行きたいのです」と答えるそうです。アメリカの大学生の希望トップ10は1/3がベンチャー、1/3が公務員、1/3がNGO・NPOだそうです。これを見てアメリカの底力はスゴイと思いました。優秀な才能がどの企業に行くかでその国の将来が決まりますから。マクロで考えると、これからは労働力の流動化が必要になります。日本は労働力の分配が歪んでいる。大銀行、大商社、大保険会社に行きたがる。それはオカシイ。もっと成長産業に優秀な人は行くべきなのに。昔の日本が成長したのは、みんな農民だった労働力が松下やトヨタという成長産業に人が流れたから日本が成長したんですから。(←ごもっとも。就職前のコピーライター養成講座の大学生に聞いたら、みんな電通に入りたい、どうすればいいですか?と聞いてくる。そういうヤツはたぶんダメでしょう。自分らで新しい広告会社をつくるんだ、とみんなが思っているのかと思ってた。ああ、今、この経験を持ったまま、大学生に戻りたい!禎)
http://diamond.jp/articles/-/32816

■【ミクロで考えると】どうしたら生産性を上げれるか
人と同じことをやっていてはダメです。今月の仕事と同じことを来月もやっていてはダメなんです。人と違うことを考えること。これまでの自分とは違うことを考えること。じゃあ、どうすれば人と違うことを考えられるか。例:ミシュランに載るラーメン屋の話。開店2年で3店鋪。その主人は30才で独立しようと準備してきた。最初にやったことは東京のうまいラーメン屋の食べ歩き。どこもうまい。そこで気づいたこと。どこもお客さんがおじさんとお兄さんばかり。「こんな店をつくっても最初から売上げは半分しか望めない。だって人間の半分は女性なんだから」で、彼女に相談しながらアイデアを考えた。「ベジソバ」というのを開発。女性はラーメンが嫌いなのではなく、タバコ臭さが嫌いで、スープが服に跳ねるのが嫌いだ、と彼女が言った。店を禁煙にして、紙エプロンを配った。ニンジンのピューレを練り込んだ赤い麺とムール貝でとった出汁でスープをつくった。ヒットした。ミシュランにも載った。

この主人は「死ぬまでに世界中のおいしいものを食べ尽くすのが趣味」だと言っていました。つまり、ムール貝を食べたことがあるから、このスープが合うんじゃないかと気づく。ムール貝を食べたことのない人には思いつくはずがないですよね。つまり、勉強して知っていないと思いつくはずがないんです。いい仕事をする元は、すべて脳ミソの中にある。それともうひとつ。イノベーションって何や?という話です。イノベーションとは、当たり前のことを組み合わせることで生まれています。いろんなことを勉強して知っているから、組み合わせの確率も上がるのです。(←出来上がったメニューを聞くと、なんだそんなもんか、というが、誰も気づいていないことに最初に気づくことが大事なんだろう。阿久悠さんの「時代の中の隠れた飢餓に命中することがヒット曲だ」というのにも通ずると思った。禎)

■やっぱり勉強が大事
「人・本・旅」です。たくさん人に会う、たくさん本を読む、いろんな場所に行く。これしかないと思っています。人と違うことをする、イノベーションを起こすためには「勉強」しかないと思います。でも人間は怠け者ですから、「勉強」をサボりたがる。そのとき、どうするか・・・。(つづく)(←ですね。勉強しかないですね。だから、あの人に会いたい、あの本を読みたい、あの場所に行きたい、と強く思うことが大事なんだと思います。要するに、行動せよ、ですね。禎)

(今日はこの辺で つづく)

出口治明さんのお話②


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