足りなかった想像力

イングリッシュガーデン

ゴールデンウィークに行きたいところがあると家人が言う。広い敷地の個人宅の庭がイングリッシュ・ガーデンになっていてカフェもあるという。場所はどこ?と聞くと「ちょっと遠いけど。埼玉県の毛呂山というとこ。越生(おごせ)というところの近くみたい」という。毛呂山(もろやま)・・・越生(おごせ)・・・・という地名は知っていた。母が最後に過ごしたケアハウスがあった町だ。最後に入院した病院があった町だ。

英国に来たみたいなガーデンだった。バラはまだつぼみだったが、新緑の中を歩くだけで気持ちがよかった。紅茶とケーキをいただきながら庭を眺める。『ガーデンカフェ・グリーンローズ』

妻がインターネットで調べてくれないと知らなかった場所。カーナビがあったから住所を入れるだけで迷わずに来れた場所。毛呂山にいた母をこの庭に連れて来てやれたら、さぞ喜んだだろうなぁ。「イギリスに来たみたいやね。行ったことないけどw」と笑ったかもしれない。母が入院していた1997年頃のボクには、インターネットもカーナビ付きのクルマもなかった。いや、なにより母を思いやる想像力が足りなかった。もう少し思いやりがあれば、見舞いに行く毛呂山の近くに何かないか、自分で探して見つけて地図を見ながら来れないこともなかったはずだ。想像力の欠如、思いやりの欠如。

キーボードで名前を打つだけでそのサイトに飛べる、住所を入れるだけでその場所まで行くことができる。しかし、その名前を打つのはアナログの「人間」なんだから、そのアナログの能力が退化しないように気をつけなくちゃ。

このローズガーデン、バラが咲いた頃にまた行こうと思った。

 


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