会いたくても会えない人

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訃報はいつも突然だ。サン・アド仲畑チームのプロデューサーだったMさんが亡くなったと、元仲畑チームのテッちゃんから電話があった。実は今年4月に亡くなったということを、奥様からの喪中葉書で知ったという。昨年7月、湯島の「はん亭」で仲畑チームの同窓会を催したとき、Mさんも来てくれて、お元気そうだったのだが。(Mさんの苗字はYさんなのだが、みんなからファーストネームの、Mさんと呼ばれていた)

サン・アドを卒業して、サン・アドでお世話になった人が亡くなられても、知らされなかったことがあった。その時、「◯◯さんが亡くなったそうだよ」と他人から聞くのは嫌だと思った。Mさんの顔が浮かんだ。もしMさんが亡くなった時、誰も知らせてくれなかったり、風の便りで知るなんて嫌だった。だから「サン・アドOB名簿」を作ることにした。サン・アドOBのメールアドレスを集めて、連絡網を作った。OBの人の個展の告知などに使えるが、多くは訃報の連絡だった。でもそれでいいと思った。第三者から聞くより、身内の連絡網で知った方がいいから。

Mさんはメールは使っていなかった。でも仮に、メールを使っていて、奥様からこのOB連絡網に連絡があったとしても、お葬式には行けるかもしれないが、Mさんにはもう会えない。人は遅かれ早かれ、会いたくても会えなくなる日が来る。生前にたくさん会ったから、亡くなって会えなくなっても寂しくない、なんてことはない。亡くなった後に、どれだけその人のことを思い出せるか。何回思い出せるか。それしかないんだなと思った。

そして今日は、11月29日。電通でお世話になったTさんの命日。思い出したい人、会いたくても会えない人が、いっぱいいるなぁ。
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中村組OBから

中村組OBからうれしいメッセージが届いた。その彼は2代目だから今から12年前だが、顔も名前も憶えていた。OBになってから無料掲示板をつくったり、今はフェイスブックにグループをつくったりして、つながっていたが、しばらく連絡がなかった。その彼からうれしいメッセージが届いた。

コピーライター養成講座のOBグループだから、コピーライターにならなかった人がきっと遠慮するだろうと思い、「コピーライターになることが目的じゃないよ」と言い続けてきた。でもやっぱり、賞を取ったとか、お祝い会をやろうとかいう話の中には入って行きにくかったんだと思う。彼は、高齢者福祉関係の仕事をしていたという。介護予防運動指導員の資格を取り、車椅子も押したことも無い状態からの、ど素人介護職だったそうだ。デイサービスで介護の仕事をする中で、介護技術はもちろん、死について生きることについて深く考えるようになったという。そして「納棺士」という職業があることを知る。

映画「おくりびと」で本木雅弘さんに納棺の技術指導をしたスタッフが居る「おくりびとアカデミー」という納棺士専門の学校のオープンキャンパスの門をたたく。学費は前職からの積み立てていたお金5年分を全てを使いきった。生活は厳しくなるが、ボクの書いた2014年4月8日のブログ「自腹という覚悟」(→養成講座に自腹で通う覚悟がある人こそ、吸収する力も強い、という話)を思い出して、覚悟を決めたそうだ。

その彼から久しぶりにメッセージが来て、フェイスブックでつながった。やはり彼も「キラキラ輝いて活躍しているみんなと比べた時に自分に自信が無かった」と思っていたらしい。ボクは「コピーライターになることが目的じゃないよ」と返信した。「素晴らしい挑戦をして、素晴らしい仕事をしているじゃないか。それが一番だよ」と言った。中村組OB会に即加入させた。OB会でぜひ仕事の話を聞かせてほしい。

コピーライター養成講座中村組は、コピーの話をするが、コピーライターになることがゴールじゃないと思っている。どんな職業だろうと、専業主婦だろうと、人として相手の気持ちを思い至ることが大事なのには変わりはない。「自分がされたらイヤなことを、人にしない。自分がされたらうれしいと思うことを、してみる」というボクの座右の銘が基本になっている。

彼は、12年前の授業の言葉を憶えていてくれた。「八百屋さんだって、美味しい野菜を売ろうとしてその言葉を考えたら十分コピーライターなんだ」という話。そして彼は、「納棺士には一見、言葉は必要なさそうだが、ご家族に対しての声かけが非常に重要になる。故人と家族との最後の言葉をつなげる役割があるから、究極のサービス業と感じている」という。「中村組で学んだ言葉に対する気持ちを忘れずに闘っていきます!」とも言ってくれた。

コピーライターになって賞を取ることだけがゴールじゃない。人として生きていく上で、相手を思い至る言葉が必要ないわけがない。そんなことのヒントになる話をしていくつもりだ。と同時に、いろんな職業に就く若者たちに、少なからず影響を与えることをしているんだなぁと実感し、より一層、心して取り組まねば、と気が引き締まった。福居基、ありがとう。約束通り、一生応援するよ。

鋼婚式 2016.11.22

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結婚式の時の牧師さんから、今年もハガキが届きました。
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2016年11月22日
結婚記念日(11年・鋼婚式)おめでとうございます。
記念日というのは、その出来事を思い出す日、もう一度その時の心に返る日、その心を元にして一歩前進しようとする日です。結婚式の時の相手への愛と、皆さんへの感謝と、ご自分の感激を思い起こして幸せな家庭にしていってください。神様の御恵みをお祈りします。
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そうですね、毎日が過ぎていく中で「記念日」があることで初心に返れる。「もう一度その時の心に返る日」なんですね。記念日が多い人生のほうが、楽しそう。

最も厳しい頭脳作業


電通4代目社長、吉田秀雄さんの言葉。「広告の仕事は、最も厳しい頭脳作業であり、電通の仕事は、苛烈な競争の中で推し進められねばなりません・・・」から始まる、全電通人に送られた社長の言葉。この吉田さんの思いと誇りを忘れないでほしい。吉田さんの言葉の本意をかみしめてほしい。一人の電通OBとして、今つよく思います。