フリーエージェントと電話

iPhoneBRASIL03iPhoneBRASIL04 【2014年ブラジルW杯仕様】これなら盗られないだろうと思い、ブラジル仕様のつもりでカモフラージュiPhoneケースを作って持って行って向こうで使っていて、妙に手に馴染んでしまいました。ブラジルで共に戦ってきたこの汚らしいiPhoneケース。現在このケースは使っていませんが。

尊敬するコピーライターの大先輩、西村佳也さんから、サン・アドを辞めてフリーになった当時のお話を伺ったことがあります。まだ机もないワンルームの事務所の床に、ポツンと電話機が一台。その前に座って、その電話が鳴るのをひたすら待つ日が続いたんだよ、とおっしゃっていました。留守番電話もない、FAXもない時代。その電話に出ることが、唯一仕事の窓口だったのです。

コード付きのダイヤル電話、留守番電話、FAX、プッシュホン、ワイヤレス電話、ポケベル、ケータイ電話、電子メール、ケータイメール、インターネット、データ通信、iPhone、WiFi、MacBook、Facebookメッセージ、チャット、FaceTime 、LINE・・・。通信環境が変わってきて、仕事の進め方も変わってきました。でも、「電話で連絡する」ということについては、進歩してきたのでしょうか。

みんながケータイ電話を持つようになって、個人から個人へダイレクトに電話ができるようになりました。とはいうものの、いつでもすぐ電話に出られるとは限りません。

時々電車の中で、こんな人を見かけます。電話に出て、小声で「すいません、今電車なので、ハイ、後でかけ直します、ハイ、申し訳ございません(ヒソヒソ)」と。後でかけ直すんだから、出なきゃいいのにと思います。ケータイの場合、相手が出ない時は「いまは、出られない状況なんだ」と想像できるでし? 会社やオフィスに電話して、何回鳴らしても出ないなら「その会社は大丈夫か?」と信用を失いますが、個人の電話なのだから、相手が今どういう状況かはわかりません。電車の中、会議中、プレゼン中、トイレ中、お取り込み中・・・。

またケータイ電話の場合、いつもポケットに入っているとは限らず、バッグの中かもしれないし、ふつうバイブレーションにしているでしょうし。24時間電話を待っている消防署じゃないんだから、1分1秒を急ぐ必要があるでしょうか? 私たちの仕事は、消防署でも病院でも警察でもありません。仕事を急ぐのは、自分が早くその仕事を終わらせたいだけだったりしませんかね。

iPhoneには、電話に出られない時、iMessageを送る機能があります。私は「申し訳ありません。ただいま○○中ですので電話に出られません」「後でお電話いたします」というメッセージを送ることにしています。これは便利です。あなたの電話を無視しているわけじゃありませんよ!と言えます。

急いで相手と連絡を取りたい時、電話だけではなく、FacebookメッセージLINEでも送ったりします。相手が電話に出られない状況(例えば新幹線の移動中とか打合せ中とか)でも、届けることができます。文字の方が、落ち着いてスケジュールを確認して返事もできます。そういう時のSNSはとても便利です。

電話は、相手がどういう状況かが見えないので、「今、お電話、大丈夫ですか?」と確認したりしますが、相手が今、話せない状況なら、出なくていいんじゃないかと思います。というか、出てはいけないとさえ思います。あ、思い出しました。昔、こんなことがありました。
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電通時代、とあるCD(クリエイティブ・ディレクター)と仕事をしていた時の話です。そのCDは、たくさんのクライアント作業を抱えていて、外出先から戻ると、「待ってました!」とばかりに、いろんな営業部員が彼のうしろを金魚のフンみたいにくっついて歩いていました。みんなそのCDの判断を仰ぐためです。会議中も他の仕事の電話がじゃんじゃんかかってくる。ボクらの打合せ中、コピーを見てもらっている最中にも彼のケータイにかかってくる。あまりにも中断されるので、ボクは頭に来ました。ボクらは時間を調整してこの会議室に集っているのに、なんで他の仕事の電話に邪魔されないといけないんだ? と。ボクはガラス張りのその会議室を出て行きました。そして外からそのCDのケータイに電話したのです。

「で、●●●さん。そのコピーでいいですよね。よかったらボク、もう帰りますけど」

そのCDはすまなそうに、ガラスの向こうにいる中村禎を見つけてペコリ。そりゃそうでしょ。約束して会っている人より、勝手にかかってくる電話を優先するのっておかしいでしょ。
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結論】
◎相手が電話に出られないことを責めない
(世の中は自分中心に回っているわけじゃない)
◎会っている人より優先される電話はない
(会うのが一番、電話は二番)

忘れちゃいけないことは、「中村禎」への電話は、「中村禎」を必要としてくれて、電話をかけてくれているということ。だから、その時、電話に出られなくても、できるだけ早く、こちらから連絡を取る。フリーエージェントとして(フリーじゃなくても、ですが)は当たり前のことでしょう。そういう意味で、私の名刺の連絡先は、名前の次に①電話番号②メインのメールアドレス(iPhoneで送受信可能)③住所④WEBサイトという、連絡が早い順に表記しました。(⓪番目が名前です。Facebookで名前を検索してメッセージを送るのもクイックです)


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