長友さんと一緒に【稀代】⑤ 抱月


へー、そないなことになってんのん? と長友編集長

クリネタ28号 Photo by 木内和美

クリネタらしいBARを紹介する、稀代(ケッタイ)の記事をご紹介します。長友さんと一緒に取材に行ってまとめた記事です。

稀代(ケッタイ)とは、なんだ?
クリネタおススメの、いい店、おもろい店

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抱月
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「神楽坂のBAR」と聞くだけでもう、ちょっといい雰囲気の佇まいを想像してしまう。場所というか住所というか地名というか、そういう名前はとても大事なんだなと思う。地図を見ながら夕暮れ時の神楽坂を歩く。路地を入るといくつか目印になるお店を頼りに歩くと、暗闇にぼんやり灯りが燈る。料亭のような、個人宅のような「抱月」という灯り。ガラガラガラ。格子戸をくぐって「ほんとにここでいいのかな」と思いながら玄関へ。ごめんください、おじゃまします、という気持ちで靴を脱いで上がる。京都かどこかの小料理屋に迷い込んだような気分。

畳に座布団で足は伸ばせる掘り炬燵式カウンターに6、7人。こりゃ落ち着くわ。ここを知っている、というだけでちょっと自慢できる店だ。連れて来られたらたぶんうれしい。古い日本家屋に少しだけ手を加えた隠れ家のような会員制のBAR。出版社関係のお客様が多いらしく、いろんな本を置いて行ってくれる。いろんな本が置いてある。読書好きの人の家に上がり込んだような錯覚。

2階に上がる階段の下のスペースに、ちょうどいい二人用の席がある。小さなちゃぶ台と座椅子の席。階段があるということは2階もあるんですね。もしかして誰か住んでるわけじゃ・・・。「2階のお座敷も客間なんですよ」と。階段を上がると6畳ほどの和室。ここで落語の独演会をやることもあるそうで、常連さんグループの集まりや、なにやら「密談」するのにちょうどいい部屋だった。しかし二階の部屋は「男女二人っきりはお断りしています」ですって。

「一見さんお断り」とか「会員制」というような野暮な表示はしていない。けれど、この玄関の佇まいを見れば、ぶらっと来て入れる場所じゃないことくらいわかる。けれど年に何回か「ここ、お店ですか?」と言いながら迷い込む人もいるらしい。

紹介がないお客様はお断りする、というお店はたまに聞く。いままで「なんだか上から目線な店だなぁ」という印象だったけれど、お店側からしてみたら、お客様には来て欲しいけど、どんな人が入って来るかわからないんじゃあ不安でしかたがないだろう。やっぱり、一度来てくれて「いい人だな」と思えるお客様の知り合いなら安心できるし、もしイヤな人だったらその知り合いのお客様を通じて文句も言える。お客さんにとってもヘンな人が入って来ないほうがいい。

BAR「抱月」のオーナー松島薫さんは若いころ、銀座でお店を始めた。そのときの店の名前が「抱月」だった。島村抱月のことは知っていたが、とくに好きだったわけではなかったらしい。きっぱりそう言うところが清々しい女性だ。「月を抱く、なんてとても色気がある名前じゃないですか」銀座七丁目あたりで、小さなBARを始めた。お店が軌道に乗り始めた頃、「抱月」という名前を使わせていただいているのだから、一度ご挨拶に行かねばと、雑司ヶ谷にある島村抱月のお墓を訪ね、見守ってくださいと手を合わせたそうだ。律儀。

ところがお店が順調に行き始めたと思ったら、その店に建て壊しの話が持ち上がる。結局、銀座の「抱月」は3年で閉めることになる。20代で始めた銀座の店。お客さまも増えてきて、さあこれからという時に立ち退きを迫られる。さぞ悔しかったことだろう。お店への愛着もどれほどだっただろう。

と話していたら「ジオラマ、見ます?」と松島さん。精巧につくられた二十分の一のお店の模型。小さなカウンター、ソファの席、ボトルの棚、見事に再現されている。昭和の映画のセットのようだった。こういう模型を見て愉しむのは男だけかと思っていたら、案外松島さんも男っぽいんですね、というと「私はお店という空間をつくったんだと思っているんです。だから、写真じゃなくて、その場所の記憶や記録を三次元で残しておきたかったんです」今なら3Dプリンターで自分やお客さんのフィギュアも置きたくなってしまう。「トイレも作っておけば良かったと後悔してるんです。トイレもかわいかったんですよー」

銀座の「抱月」を閉めたあと、傷心の日々。とにかく一日でも早く日本を脱出したかった。そして「世界一周ひとり旅」へと旅立つ。ハワイからロス、アリゾナ、ラスベガス、グランドキャニオン、シカゴからAmtrakでニューヨーク。大西洋を渡りリスボン、マドリード、フィレンツェ、ウイーン、プラハ、ベルリン、フランクフルト、ブリュッセル。リールから船でドーバー海峡を渡りロンドン、ストックホルム、サンクトペテルブルク、モスクワ。北京、ソウル、そして日本。ふぅ。ほぼ2ヶ月のひとり旅。アメリカ横断鉄道やユーレイルを乗り倒した。まるで「ひとり世界の車窓から」だ。

「鉄道好きなんですか?」と聞くと「ええ、テッちゃんですよ」と軽く返ってきた。「見ます?」と差しだされた雑誌は「旅と鉄道」その表紙に駅にたたずむ女性。よく見ると「あ、似てる?」似てるんじゃなくて、その表紙の旅人は松島さん本人だった。「特集の『津軽半島一周紀行』のページ、私が書いたんです」と。14ページの特集記事。これ全部松島さんが?「本を読むのも好きですが、書くことも好きになってきました」と。

『傷は癒えたけど出会いはなかった』という世界一周の旅から戻り、今度は自分のペースでできる場所でお店を再開しようと場所を探し始める。偶然出会った神楽坂。この家の大家さんは若いころ芸妓さんで、ここに住んでいらしたそうだ。その大家さんは「いずれはここでBARをやりたい」と思っていたらしい。

大家さんはもう自分でお店はできない年齢になられたというので、この場所を貸す事にした。そんなとき、BARにしたいと思って探していた松島さんが現れた。運命的な出会いだったのだろう。どこの町で店を構えるか。自分のペースでできる店を出したかった、松島さんは考えた。「神楽坂を選んだのは、花街がいいと思ったから。神楽坂はほら、昔から女が商売をしてきた街でしょ」と。なるほど。
松島さんはこのBARが、あるいは松島さん本人が、人と人との化学反応の接点になれると面白いなと思っている。「いろんな職業のお客さんがいて、あの人とこの人が出会ったら、何か新しい、面白い化学反応が起きるかもしれない。そのキッカケになれたら楽しいですね」いちおう会員制のBARだから「クリネタを見て来ました」だけではムズカシイかもしれません。なんとか伝手を探して行ってみましょう。

追記:「本が好きで、書くことが好き」と聞いた長友編集長は即座に「クリネタになんか書いてもろたらえーやん」と。で、書評「きなみえりの読書感想文」というコーナーができました。

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抱月

〒162−0832 東京都新宿区岩戸町19番地

営業時間19:30〜24:00(23:30ラストオーダー)

土日祭日休み
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No.28 (2014年冬号)
クリネタ
http://www.crineta.jp

長友さんを偲んで【稀代】①モンド・バー
長友さんを偲んで【稀代】②BAR JADA
長友さんを偲んで
【稀代】③ne & de
長友さんを偲んで【稀代】④ Salon書齋
長友さんと一緒に【稀代】⑤抱月

うれしい書評⑧

Photo by 岩崎亜矢

うれしい書評⑧コピーライターからの声 編

養成講座の受講生たちだけでなく、現在コピーライター、CMプランナーとして活躍している人たちも読んでくれました。その人たちの声をまとめてみます。
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岩田純平さん(コピーライター)
禎さん!読みました!一気に読みました!面白かったです!考え方やコピーの書き方ややってることが、ふしぎなほど僕と同じでびっくりしました。僕の場合、割と無意識でやっているので「ああ、そういうことか」と自分のやり方を禎さんの本を読んで納得するという謎の体験でした(笑)後輩にも勧めておきます!
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橋口幸生さん(コピーライター)
電通から独立された中村禎さんの著書、「最も伝わる言葉を選び抜く コピーライターの思考法」を読んでいます。本の中で登場する「ダメなコピーも書けないやつに、いいコピーは書けない」という言葉。これは会社の新人研修のときに、禎さんが言っていたことで、今でも昨日のように覚えている。いいコピーが書けないとき、プレゼンが通らないとき、賞を取れないとき、どれだけこの言葉に救われたかわからない。研修後も、僕がコピーを見てもらいたくて押しかけると、(仕事での接点はほとんど無かったのに)多忙な中いつも丁寧にアドバイスしていただき、応援していただいた。

才能がある人、やる気がある人は大勢いるけど、活躍できるかどうかは、こういう先輩や師匠との出会いに恵まれるかどうかも大きいと思う。コピーライターやコピーライター志望者が全員、禎さんに会って教えてもらえるわけでないけど、この本を買うことなら誰でもできる。内容は本質的かつ超実践的で、読んだ5秒後には実践できるノウハウが満載。コピーを書くときや選ぶときは、つねに手元に置いておきたい。
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中村直史(なかむらただし)さん(コピーライター)
じぶんは才能ないからコピーライターやめたほうがいいんじゃないか、と考える人は、とりあえず一回読んで、書いてあることを実践してみたら良いんじゃないかと思います。仕事で行き詰まったときにも読んで試すことをオススメします。チカラが出ます。そんなこんなで私は実践中です。
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岩崎亜矢さん(コピーライター)
大先輩であるコピーライター、中村禎さんの初となる著書は、わかりやすく、シンプルで、とても重要な言葉が詰まっています。私も宣伝会議や大学などで人様になにかを伝える身となったこの頃ですが、僭越ながら、私が生徒に言っていることと、おなじこともたくさん書かれていて、なんというか「ああ間違えてなくてよかった…!」とホッとしたとともに、やっぱり大事なことっていうのは普遍なんだと思ったり。

タダシさんの宣伝会議の講座は、宣伝会議のコピーライター養成講座において、大ヒットのご長寿講座。とにかく毎年、優秀な人材を輩出しています。厳しく、優しく、そして簡潔にたいせつなことを常に伝えている講座なんだろうなあと、この本を読み終わって、生徒の方たちがうらやましくなりました(かなり)。 普遍、っていうことは、コピーライター志望に限らず、アイデアを考える上で、どんな職業の人にもヒントになる本だと思います。

そしてとあるページに、むかし、父の放った言葉が載っています。それがどの言葉なのかは、是非読んでみて、想像してみてください。
(岩崎俊一さんの言葉を書かせていただいたので、本を謹呈させていただきました)
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大椛玲奈さん(コピーライター)
言葉を選ぶことも大事、って教えていただきながら、やっぱり長々書いてしまうわ…大好きなコピーライターの中村禎さんが執筆された『最も伝わる言葉を選び抜くコピーライターの思考法』。先日は東京で出版記念セミナーがあり、福岡や名古屋など全国に中継されるとのことで、そちらにも参加してまいりましたー。いやー…面白かった。禎さんのお話、いつ聞いても分かりやすくて、面白くて大好き。本になったらいいのになー、そしたら絶対買うのになー、と思っていたら本当に本になりましたーーー!だよねぇ。直接お話聞ける機会なかなかないけど、勿体ないもんねぇ。

コピーライターじゃなくても、誰かに何かを伝えるときの考え方に、「おー!」ってなると思う。 私は最初からずっと職場にコピーライターの先輩がいなかったので、コピーの勉強をしているときに講師としていろんなコピーライターの人から話を聞けるのが、ものすごくありがたかった。前の職場の後輩にあげたいなー。なんか最近、”楽して得する”みたいなのが賢い、という感じのものが多くあるけれど、禎さんはその真逆。ずるしないし、ラクしない。広告だけじゃなく、ニュースとか、SNSとか、何でもそうなんだけれど、普段考えていることって言葉に出ると思ってる。

そりゃあお金欲しいし、美味しいもの食べたいし、ふかふかのお布団で眠りたいし、いいシャンプー使いたい。でもそのために後から自分で「恥ずかしいっ!」って思うようなことしてると、結局誰にも伝わらないと思う。えーと、本とか、CMとか、ラジオとか、歌とか、友達からかけられた言葉とか、思わず泣きそうになっちゃうことって今まで何度もあるけれど、その言葉はその人の中になければ出てこなかったことのはず。ということを、禎さんの言葉がいっぱい詰まった本を読みながら思いました。
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石井 陽一さん(コピーライター)  
中村禎さんの「最も伝わる言葉を選び抜くコピーライターの思考法」を読ませていただきました。この本は、広告制作者やコピーライターの志望者が読めば役に立つことがたくさん書いてあります。でも、一読者として、コピーライターとしてぼくがいちばん同感したのは、つぎの箇所です。

「広告費をいちばんたくさん出せる広告主が自動的に儲かるのであれば、クリエイティブで競う必要ないですもんね。だから本当は、いいコピーを見極める目を一番持たなければならないのは、広告案を選んでお金を払うクライアントだと思うのです」

コピーライターはもちろん、企業の特に広告や広報の担当者に読んでほしいです。高いコピー料を払って、いちばんいいコピーを使わなかったらもったいないじゃないですか。コピーライターのイチオシが選ばれないこと、ちょくちょくあるんです。 中村さん、執筆おつかれさまでした。
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眞木 茜さん(コピーライター)
きれいなすみれ色の本。一文一文、共感したり、発見したり、反省したり…コピーだなぁと思いました。父の話も書いてくださっていて。私もまだまだ道半ばなのだし、半ばな人の責任として、進もうと思った道を簡単に離脱してはいけないですね。父もよく「とりあえず3年、そのまま10年続けてごらん」と言っていたのを思い出しました。いろんなことをすぐ離脱しがちな私に。中村禎さん、ありがとうございます。
(眞木準さんのコピーについて書かせていただいたので、本を謹呈させていただきました)
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多田琢さん(CMプランナー)
ご無沙汰しています。 「本」ありがとうございました! しかも、直接お届けいただいたんですね。感激です。 今、読み終わりました。 書かれている通り、コピーライターだけでなく、すべての若者へのエールですね。 うちの社会人1年目の長男ともうすぐ就活の次男にも読ませます。 もちろん、 回し読みでなく、買って読ませます。 本当にありがとうございました。
(多田琢さんの話を書かせていただいたので、本を謹呈させていただきました)
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高崎卓馬さん(CMプランナー)
タラシ先輩!本いただきました!!買うつもりだったので、部員たちに買わせます!席について一章読んで、なんだか猛烈にコピーを書きたくなりました。すごいひとは、すごいひとにたくさん会って、すごくなってるんだなと。なんだか朝から、いいドキュメント番組みちゃった気持ちです。ありがとうございました!正座して読みます!
(高崎卓馬さんには以前、「表現の技術」出版の時、献本していただいたので、謹呈させていただきました)
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葛西薫さん(アートディレクター)番外編
中村くん、 おはようございます。このたびは「最も伝わる言葉を選び抜くコピーライターの思考法」をありがとうございました。ちょっと拾い読み、どのページも中村くんらしいねえ。しゃべる姿が目に浮かびます。阿久悠氏の「時代の中の隠れた飢餓」について語られており、嬉しくなりました。とても共鳴します。(僕の名が出ると恐縮、こそばゆく懐かしく)ではますますの活躍を!お礼まで。
(葛西さんの話を書かせていただいたので、本を謹呈させていただきました)
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うれしい書評①(メルマガ土井さん編)
うれしい書評②(アマゾン編)
うれしい書評③(マーケター原さん編)
うれしい書評④(中村組OB編vol.1)
うれしい書評⑤(中村組OB編vol.2)
うれしい書評⑥(TCC会報家田さん編)
うれしい書評⑦(コピーライター以外編)
うれしい書評⑧(コピーライター編)

うれしい書評⑦


Photo by 松永康志

うれしい書評⑦コピーライターじゃない人たちの声 編

ありがたいことに、コピーライター以外の職業の人たちにも読んでいただいています。その方々の声をまとめてみます。
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山口剛さん(広告会社営業局長)
やっと読めた。一気に読んでしまいました。コピーの話なんだけど、営業の話でもあり、社会人、大人として身につけるべき素養の話でありました。新入社員に…と思ったけど、2、3年働いて、自分なりに経験して、壁や閉塞を感じた時に読んでほしいな。と、思い直しました。素敵な先輩が語ってくれるように感じるんじゃないかな。僕はそう感じました。クリエイターや広告に関係ない方にもお勧めです。
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星野久子さん(社会福祉士)
この本には、難しい理論や理屈は書かれていません。パラパラっとめくって、気になったところを読んで、自分にピッタリくればそれを心に留めておいて実践する。それだけでも、仕事っぷりが変われるような気がしています。これから実践なので、あくまで自分への期待ですけど(笑)また時々この本を開きたいと思います。ヒム・ネー、自分!
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荒井努さん(月刊誌編集者)
言葉で伝える方法、優れたコピーの書き方。コピーライターの書く本はこういうものが多いが、中村禎さんは書いた言葉の悩み方、選び方をテーマにコミュニケーションの考え方を教えてくれる。それもすぐに試せるような具体的なアイデアがたくさんあげられていてわかりやすい。
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砂流恵介さん(ライター)
中村さん @baccano21 の「最も伝わる言葉を選び抜くコピーライターの思考法」読了。子ども向けサービスのプレスリリースを書いていて、学ぶについてずっと考えていたときに読んでたら、まさにその言葉が欲しかったって言葉がたくさんあってメモった。
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朝比奈勇さん(CMプロデューサー・空手家)
読了!著者の男気、人間味あふれる本です。だってそうじゃん。押忍! プロデューサーや空手家の前に1人の男として、人間として、感動し、学ばせて頂きました。押忍!
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松永康志さん(クライアント・マーケティング部)
お客さまに商品を買っていただくには、お客さまの心をつかんで行動を起こしてもらう必要がある。その行動を起こさせるには広告やDM、店頭POPなどで伝えないといけない。その伝え方をコピーライターの中村 禎さんの本で勉強中。
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藤澤龍明さん(セールスライター)
普段あまり本を読むほうではないのですが、一区切り、一区切り、僕にとってはいい感じの短さで わかりやすく読めました。思い至れる人は ふつうの人で 当たり前のことができる人 人の生き方で忘れてはいけないところ・・・教わりました。そして、僕の仕事の上でもとても大切なアドバイスもいただきました。「想像力と客観性」がいかに大切であるかということ・・・・・ありがとうございました。
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政光真吾‏さん(コンテンツ・プランナー)
「最も伝わる言葉を選び抜くコピーライターの思考法」を読了。昔、コピーライター養成講座に通っていた僕。今は広告業界の人間ではないけれど、気付かされることがたくさんありました。衝撃的だったのが『そんなことで騙されませんよ』という一文。プロを納得させる文章を書けるように精進したいです。
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中村慎太郎さん(著作家)
『最も伝わる言葉を選び抜くコピーライターの思考法』を読み進める。ほんと面白いしすごい本だな、これ。今の時代には少ない2度、3度読み、2冊、3冊と同じ本を買うだけの価値がある本。作家時代より、大学院の研究者時代のほうがコピーライターの思考に近いような気がしている。続きを読もう。
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村岡浩司さん(実業家)
中村さんは、九州パンケーキがスタートするときに”九州の素材だけで作りたかった毎日のおいしさ”と言う素敵なコピーを作っていただき、これが私の事業構想の礎となりました。言葉って本当に不思議で、プロダクトや、サービスや、お店、会社の理念に至るまでその成長を支える大切なもの。人生は”言葉を選ぶ”ことの永遠の繰り返しのような気もします。広告業のみならず様々な分野に共通する学びが詰まった素敵な本ですね。中村さん、MUKASA-HUBが完成したら是非とも記念講演を宜しくお願いします。
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池葉正樹さん(経営企画課)
中村禎さんの「最も伝わる言葉を選び抜くコピーライターとしての思考法」を読了。大切に読みました。コピーライターの仕事について書かれた本ですが、「言葉を伝える、扱う」という誰にも通じるテーマが語られており、自分の仕事に繋がるところも多く心に刺さりました。

僕がいまの会社で言われてきたことも、お客さまが何をしてほしいかを想像しろということ。主語の転換と言っています。何万点という商品にPOPをつけて、その価値を訴求するのですが、売り手の一方的な意図や小細工は通用しないから無視で真正直であるべしという教えです。

買い物は心理的な行動であるとして、いかにお客さまの心を動かすかを考えて言葉も使います。そこには丁度いい心地良さみたいなものが必要で、それって何?というのを、この本がたくさん説明してくれました。他にもいっぱい通じるところがありました。

禎さんはそれをどうやって学んで来たのか、言葉の扱い方を突き詰めた仕事と向き合って得られた貴重な経験談や考えがたくさん載っています。秘訣は…分からないことは聞くとか、思ったことはやってみるとか、謙虚な禎さんの人となりそのもの。そのマインドがあれば学ぶことができるし遠くにも行けるんですね。

禎さんを知っていればこそ、そのお姿が頭に浮かびました。いつ会ってもカラッとしていて、「だってそうでしょ」と嫌味なくその場を明るくしてくださる。それって仕事とか、禎さんのいろんなところと繋がっていたんだなと分かりました。素敵な方です。その方がサッカーが好きで、日本代表を応援しているんだと思うと心強いです。またワールドカップに行きましょうね。
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稲垣康介さん(新聞記者海外特派員)
中村禎さん の本をやっと入手。この人!に向かって書く。自分に意地悪なツッコミを。だってそうじゃん。カタカナ語禁止。言葉を掘る。原稿を書く際の留意点にそのまま当てはまるヒントが、耳ざわりのいい文章で紡がれてた。
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うれしい書評①(メルマガ土井さん編)
うれしい書評②(アマゾン編)
うれしい書評③(マーケター原さん編)
うれしい書評④(中村組OB編vol.1)
うれしい書評⑤(中村組OB編vol.2)
うれしい書評⑥(TCC会報家田さん編)
うれしい書評⑦(コピーライター以外編)
うれしい書評⑧(コピーライター編)

六本木なのに、なぜ青山


青山ブックセンターという本屋さんは、実は、六本木の駅のとこにあるあの店が本店だと、思い込んでいました。なんで六本木にあるのに、青山っていうんだろうな?とずっと不思議に思っていました。海外の書籍や広告デザイン関係の本が充実していたので、てっきりここが本店だと信じていたのです。

ボクの本が発売されて、「青山ブックセンター本店さま」と書いたPOPを納品して、店頭に見に行ったら、本は積んでくれていたのですが、POPは使ってくれていない。「なんだよ、もう!」と思ったのですが、そりゃそうですよね。そこは青山ブックセンター六本木店なのですから。

で、表参道の国連大学の裏にあるのが「本店」だと知り、行ってみました。ありました!手書きPOP。先日トークショーもやらせていただいたので、もう一枚POPを差し上げました。(コピー違いで、使い分けていただけるように)そしたら2カ所で使っていただいているようです。ありがとうございます。

青山ブックセンターのポスターのコピー、いいですよね。書店の広い売り場を歩きながら、セレンディピティという偶然の出会いがある。それは検索ではたどり着けない。やっぱり自分の足で歩かないとダメなんですね。青山に行く際は、ぜひ青山ブックセンター『本店』をよろしくお願いいたします。

うれしい書評⑥

Photo by ポンヌフ関

素晴らしい書評を書いていただきました。コピーライターがコピーライターの本をコピーライターズクラブの会員に紹介する、という非常に難しい書評だったと思います。東京コピーライターズクラブ(TCC)のWEB「TCC会報出張所」のために書いていただきました。コピーライター家田利一さん、ありがとうございました。うれしい書評、第6弾です。

うれしい書評⑥TCC会報 家田さん編です。

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中村禎さんは、我らがTCCの事務局長である。宣伝会議のコピーライター養成講座の講師をもう14年続けている。卒業生は300名を超えているが、このクラスは「中村組」と言われて、クラス卒業後も有志の付き合いが続いている。授業はコピーライティングの実習が主だが、それを受けての講義が実に平易でわかりやすい。生徒のエネルギーが無駄な作業に費やされるのを防ぎ、最適なゴールに向かって注がれることを目的としている。それが本書の少し長い題名にも表れている。コピーを書くだけでなく、コピーを選ぶことがコピーライターにとって、とても大切な行為だからだ。一昨年に講座の生徒として学ばせていただいたが、本書を読んで、あらためて思考法の全貌を知ることができた。

それにしても、なんて読みやすい本なのだろうか。読んでいて楽しくなる。明るい気持ちになる。コピーライターは、こどものような遊び心を持つ人がなる、とても幸福な職業なのではないかと勘違いしそうになる。そう感じるのは、文章の技術だけでなく、作者のサービス精神が溢れているからだ。その人柄そのままに、正直に「出し切っている」からだ。知恵の出し惜しみをせずに伝えたいという気持ちごと伝わってくる。それは講義の時と同じだ。

家田さんの付箋

コピーは書くのではなく、見つけるもの。
「想像力」と「客観性」がなにより大切。
「だって、そうじゃん」と言えるかどうかが基準。
手で考える(無意識の中から言葉が出てくる)
自分のコピーに意地悪なツッコミを。

ほんの一部だが、TCC会員のみなさんならどれもぴんと来るはず。体験的に会得して来た無数の気づきが、きれいな文脈で網羅され、具体的な事例を交えて解説されている。そういう意味では、むしろクライアントを含む、一般の人たちにも活用できる「伝え方の思考法」として書かれたのではないのかとも感じる。

本書の特徴はもう一つある。それは、とても人間臭いことだ。なかに連続コラムが挟み込まれている。なにものかになりたいという思いを強く心に秘めて九州から出て来た青年が辿って来た軌跡を、悩みや出会いや転職のエピソードを交えて赤裸々に公開している。そこには他のテキスト本にはない汗の匂いがする。人生の何をどう頑張れば良いのか、そのことを考え抜いた人の本でもある。

(家田利一)
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家田さん、「そういう意味では、むしろクライアントを含む、一般の人たちにも活用できる『伝え方の思考法』として書かれたのではないのかとも感じる」という一文、まさにその通りです。そうありたいと思います。

長友さんを偲んで【稀代】④ Salon書齋


そうやねん、そうやねんw と長友編集長

クリネタ27号 Photo by 木内和美

長友さんを偲んで。クリネタらしいBARを紹介する、稀代(ケッタイ)の記事をご紹介します。長友さんと一緒に取材に行ってまとめた記事です。

稀代(ケッタイ)とは、なんだ?
クリネタおススメの、いい店、おもろい店

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Salon書齋
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「稀代」というこのコーナーを受け持って4回目、どんどんケッタイな店になってきた気がする。場所は神田神保町、古本屋街。地下鉄神保町駅A7出口から徒歩1分。小宮山書店ビル5階。本屋の中にBARがある?古書だけでなく写真や美術品も扱っている、まるで博物館のような、宝探しをしたくなるような、そんなビルの5階にそのBARはある。

小宮山書店ビルは大きなビルなのですぐ見つかった。角を曲がると「ぶらじる」と書いたコーヒー店の暖簾が見える。その脇に緑色のドアのエレベーターはあるのだが、どこにも「Salon書齋」の看板はない・・・。ここのはずなんだけどなぁ・・・。書店のほうが開いていたのでお店で聞いてみることにする。「このビルにBARがあると伺って来たのですが・・・」というと「その階段を上って中2階のエレベーターから5階へどうぞ」と。なんだか秘密の場所に案内される感じだ。(書店の営業時間なら中2階のエレベーターで。書店が閉まる18時半以降は、ビルの横にあった、さっきの「緑のドアのエレベーター」で5階へ。BARの営業時間である17時からは小さな看板がエレベーター外の壁にも掛かります)

父の書斎
5階に降りると小さな表札のような「Salon書齋」の文字。中に入ると重厚なカウンターとスツール。お父さんの書斎にあるようなテーブルと椅子の席。誰かの書斎に案内されたような気分に浸っているといきなり三島由紀夫に睨まれた。写真家細江英公が撮った薔薇刑の三島の顔がドカンと飾ってある。ぐるっと見渡すと「鹿鳴館 三島由紀夫」という直筆、赤で修正の入った原稿用紙、毛筆の手紙などが額装されている。直筆と原稿用紙は三島由紀夫、手紙は夏目漱石が津田青楓に宛てたもの。達筆すぎて内容まで読めなかった。

「Salon書齋」のママ、代表取締役の小宮山笑子(エミコ)さん。笑子さんがまだこどもだった頃、ご自宅のお父様の書斎に各界のお友だちがよく遊びにいらしていたそうで、その場所をここにつくろう、となったそうだ。ロンドンと日本をミックスしたような雰囲気の書斎を再現したお店。そのお父様も毎日お店にいらしてワインを1本あけて帰られる、一番の常連客だ。神保町の古書店という「職業柄」なのか、お客様には作家、漫画家、映画関係、写真家、ミュージシャンもいらっしゃるらしい。考えてみれば「書店」というのはいろんな「作家」の作品が並んでいるわけで、その「作品」をファンが探し求めて出会う場所だ。作家とファンの接点が書店だとすると、この「Salon書齋」もまたそういう接点になっているというのはとても自然なことかもしれない。まぁ、BARという場所はオトナ同士の接点でもあるんだけれど、ここでは博学の先輩たちと若い人たちが出会い、店内のいろんな写真や文書について話してくれたり、そんな交流も生まれる場所だという。有名な人もそうじゃない人も平等なお客様で、エライ人ほどエラそうにしない、有名人を見かけても騒がない、そういうオトナが出会う場所だ。

横道のチラシ
バーカウンターにはマネージャーの森沢敦子(アッちゃん)さん。アッちゃんは学生の頃から神保町界隈が好きでよく古書店を回っていた。シナリオライターを目指していたアッちゃんは、いろんな事情があって挫折。演劇の仕事はあきらめてしまったが、どうせ仕事をするなら好きな神保町がいいなぁと歩いていたら、求人の張り紙を見つけて、この「書齋」で働くようになった。その「求人チラシ」の貼り方が面白い。この「Salon書齋」では何人かアルバイトの女性を雇っているそうだが、その「求人チラシ」は必ずこのビルの「横道に入った場所」に貼ることにしているそうだ。小宮山ビルの表通りではなく横の壁。「このお店には神保町によく来る人に来て欲しいんです。小宮山書店になにか好きなものがあって、それをよく見に来てくれる学生さん。そんな人に求人チラシに気づいてほしいから」このソーシャルメディア、インターネットの時代は便利かもしれないが、ほんとに「こんな人に来て欲しい」というとき、表通りではなく、あえて目立たないところに貼る、というユニークなターゲティング。なんでもかんでも拡散すればいいわけじゃないもんね。アッちゃんもビルの横に貼られたチラシに気づいて来たそうだ。その日のアルバイトはIT担当の女の子。たまたま長友編集長がLINE のiPhoneアプリを間違えて削除してしまい、困っていたところ、その復旧を手伝ってくれた。実は彼女は写真家志望で、小宮山書店によく通っていて、横の壁の張り紙に気づいたひとりだった。この「気づくかどうか」が大事なんじゃないだろうか。

パワースポット神保町
この神保町という街には不思議な力があって、そのパワーに引き寄せられた人がこのBARに集まっているようにも思えてくる。そんな話に感心していたら、「大ママはもうご挨拶しましたっけ?ちょっと待ってくださいね」とアッチャンが電話をかける。「いま、降りてきます。この上にお住まいなんで」大ママ、降臨。緊張しながらお話を伺う。会長、小宮山君子さん。君子さんも神保町生まれ。「すぐそこの錦華小学校でしたのよ」そしてこの神保町でご主人と出会い、この神保町で結ばれ、この神保町に住むことになる。この「Salon書齋」は、神保町という街のパワーに集められた人たちでできているようだ。パワースポットだったりして。

初めてのお客さんへ
いろいろ取材して面白いお話もたくさん聞けたし、お店の裏メニューなども教えていただいたのだが、残念ながらここに書き記すことはできない。いろんな固有名詞もでてくるし。そこは、お店で聞いてください。「クリネタを見ました」といって来店してもらえば、最初は特別サービスがあるかもしれない。もしくは、初めは「クリネタ」で見たとは言わず、こんな「セリフ」をしゃべるのはどうだろう。

【例えば、その1】『入口にある「書齋」という字は、会津八一さんの字ですね。だけど、おかしいなぁ。「書」という文字と「齋」という文字は一連の流れで書いていないように見えるなぁ』→「よくご存知ですね!先代の出身地である新潟出身の歌人、美術史家、書家である会津八一氏の字が好きで「書」と「齋」という文字を組み合わせたそうなんです」となる。

【例えば、その2】『あ、これは三島由紀夫の原稿ですね。これはもしかしたら、女性初の大臣になった中山マサさんについて三島由紀夫が書いたものですね』→「よくご存知ですね!」となる。

【例えば、その3】『この手紙の字は夏目漱石っぽいですね。ああ、画家の津田青楓(つだせいふう)に宛てた手紙ですね。最後の2行に名前が書いてありますね』→「よくご存知ですね!」となる。

みたいな会話から始めるのもいいかもしれない。しかしまあ、そんな面倒なことをせず「クリネタで見て来ました」でいいんですけどね。

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Salon書齋
〒101−0051東京都千代田区神田神保町1−7小宮山書店ビル5F
03−3259−1234
営業時間17:00〜24:00(23:10ラストオーダー)
土日祭日休
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No.27 (2014年秋号)
クリネタ
http://www.crineta.jp

長友さんを偲んで【稀代】①モンド・バー
長友さんを偲んで【稀代】②BAR JADA
長友さんを偲んで
【稀代】③ne & de
長友さんを偲んで【稀代】④ Salon書齋

うれしい書評⑤

Photo by  9代目 長嶺李砂

中村組、身内のエコヒイキ、その2です。

うれしい書評⑤中村組OB編vol.2です。

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9代目 No. 918 長嶺 李砂(編集者)

(前略)実はわたしも講座に通う前は、「コピーライター」って饒舌で、言葉でうまいことをいったり、即座にキラーフレーズを出せるような、ヒョヒョイっと文章を書くセンスのいい人のことだと思っていました。でも、今はそういうもんじゃないぞって思うし、そんな簡単な話じゃないのは、どこの世界でもいっしょなんだなあと思うのです。大ベテランの禎さんもなんだかいっしょみたいです。

この本は、大なり小なり「伝えたい」という気持ちがある人には、そのヒントとなる考え方がたくさん詰まっていると思います。一見、それが仕事と直接的に結びつかないとしても、きっときっと生きていれば、役立つ機会があるはずです。わたしもこの本の思考法をベースに、いつかいつか自分のオリジナルな方法も見つけられたらいいなと思ったりして。というわけで、本の中から特に印象的なフレーズを紹介しますね。

■なぜあなたはコピーを書くのですか?を考える

■買うという行動の、何歩か手前にフォーカスを絞ってみる

■広告なんて誰も見たいと思っていない

■見てもらった後に、どう「思って」もらうのかが大事

■「時代の中の隠れた飢餓」を見つける

■自分の気持ちが動いた時に「学んだ」ことになる

■ちょっとでも騙そうという気持ちがあったらバレてるよ

■クリエイティブを日本語でいうと「工夫」

■必要なのは知識ではなく、知恵(智慧)

(「なぜ、ゴジラの身長は伸びたのか?」より)

■なぜあなたはコピーを書くのですか?を考える

■コピーライターは消費者の最前線にいる

■カタカナ語の最適な日本語言い換えを見つけてみる

■頭で考えるから手が止まる。考えないで、手を止めないで、書き続ける

(「手で考える」より)

■右目(個人的)と左目(客観的)で見る

■「だって、そうじゃん」と言えるかどうか

これから、ちょこちょこ開く本になりそうです。ありがとうございました!

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5代目 No. 505 太田誠(公務員)

敬愛する中村禎さんの著書、『最も伝わる言葉を選び抜くコピーライターの思考法』、読了。想像力を働かせること、(相手を)思い至ること、コピーライターに限らず、誰にとっても大切なこと。出来ている人にとっては、当たり前のことばかりですが、いかに自分が未熟であるか、再認識させられました。

緊張とか、反省とか、色々な感情が渦巻いて、購入から読み始めるまでに時間がかかりましたが、読み出すと一気に読了。ちょっとした気遣いとか、思いやりとか、そういったことが自然とできる人がもっと増えれば、今以上によい社会になるかな、と。ということで、オススメです。皆さん、読んで見てください。
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14代目 No.1414 戸谷早織‪

■建前の言葉にはどこか下心のような不純物が混ざっている。本音の言葉は純粋だから透き通っている。そう思えるのです。(P214 )

‪自分の書くコピーが表面的になりがちなので、この言葉が今の私には刺さりました。全体を通して、コピーの考え方から選び方まで深く掘り下げて丁寧に書いてくださり、ありがとうございます。もっと時間かけて読み直します。

‪ところで話は変わりますが、広告業界ではない同い年の友人が禎さんの本を買っていました。彼女は化粧品メーカーに務めているのですが、言いたいことが沢山あるなかで、どうやって優先順位をつけて選んでいいか、悩んでいたようです。今、わたし禎さんの授業に通ってるんだよ、と自慢しておきました(笑)後日、自分のウォールでも感想書きますね。

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9代目 No. 906 大橋 幸裕‪(アートディレクター)

(前略)禎さんのこの本は、禎さんの手間の数々、試行錯誤、葛藤、苦労などが書かれている。楽な道なんてないんだぜ!って言われているようで厳しくもあるんですがでも、そこに禎さんの誠実さを感じて、そこに禎さんの熱量を感じて、それこそ、悩んでいる人たちへのエールを感じ取れます。生身の。肉声の。すぐそばで。すごく感じます。すごくいい本だと思います。

‪うちの近所の小さな書店に一冊だけありました。一冊かよって思われるかもですが、コピー本、デザイン本がほとんどない書店で、これはミラクルです。足立区の組員活動、お任せください。

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14代目 No.1407 齋藤 亮太‪

■本当は何と言いたかったんだろう?と思いを至らせる
→神父さんの言葉のお話が好きです。コピーだけでなく、生活に役立つことを教えていただきました。ありがとうございます。

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14代目No.1415 浜崎 大祐‪

右目(個人的)と左目(客観的)で見る(P195)
‪→禎さんの話の中でも最も印象に残っているフレーズです。

‪■自分の好きなものが必ずしも正解ではない。

‪企業の言いたいことを書くだけでも、自分がうまいこと説明するだけでもない。他者(消費者)の共感を得なくては意味がない。最も基本的だけど大切なこと。なのに、課題やオリエンを前にすると真っ先に忘れがち…単純なだけに、その落とし穴は奥が深く難しいと思っています。

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14代目 No.1401 青木 美穂‪

第4章は仕事で立ち返る場所だと思って読んでいました。以下の箇所は、日々の姿勢から気をつけることだと思い、印象に残っています。

‪■︎どれだけ相手のことを思い至れるか。その思い至る量で、伝わるかどうかが決まるのです。(P.33)

‪■外見だけを真似るのではなく、そこに至った思いの新しさ、眼差しの優しさ、気づきの深さ、そういうところに「感動」しなければ学んだことにはならないのです。(P.257)

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中村組という身内が「ヨカッタ」と言ってくれるのは、当たり前っちゃあ当たり前なんですが、この本の中の「言葉」が、一人の人間のヒントや勇気になっている、としたら、この本を書いた意義があったということです。

うれしい書評①(メルマガ土井さん編)
うれしい書評②(アマゾン編)
うれしい書評③(マーケター原さん編)
うれしい書評④(中村組OB編vol.1)
うれしい書評⑤(中村組OB編vol.2)
うれしい書評⑥(TCC会報家田さん編)
うれしい書評⑦(コピーライター以外編)
うれしい書評⑧(コピーライター編)

うれしい書評④

コピーライター養成講座中村組のOBたちの顔を思い浮かべながら書いたので、彼らに届いたことは素直にうれしい。本を書くにあたって、そのOBたちに「どういう話が効いたか」や「どの話をもう一度聞きたいか」や「もっと聞きたかったことは?」など、アンケートに答えてもらって助けてもらいました。その中村組のメンバーから感想がポツポツと返ってきた。読書感想文を書くのは大変だろうから、印象に残った一行、あるいは一言を上げてもらおうと思いました。そしてフェイスブックへの自主的な書き込みも、ボクにとってはうれしい書評です。その第1弾を記録しておきます。身内がエコヒイキして書いている、という分を差し引いて読んでください。

うれしい書評④中村組OB編vol.1です。

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Photo by 11代目 町田由美

11代目 No.1126 町田由美(アートディレクター)

敬愛する師匠の中村禎さんの本が出版され、旅前にAmazonの配達員に無理をお願いして届けてもらったので、旅先の読書時間のお供。この本は、コピーライターだけの本じゃない。ときどき、ADなのになんでコピーの勉強してるの?って言われるのだけど、わたしは、ことばでアイデアやデザインを考えるようになってから、アイデアに奥行きや広がりが出てきたし、ことばが好きになりました。誰かに何かを伝える仕事も、大切な誰かときちんと向き合うことも、好きになりました。

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9代目 No. 919 西野入 慎吾(コピーライター)

こんなに本人の声が聞こえてくる本は初めてでした。

■買うという行動の、何歩か手前にフォーカスを絞ってみる

■その数万人が全員、その広告主を嫌いになったかもしれない

■「こんなコピー、全然ダメ」と思われたら、それはもうクビと言われたのと同じこと

■「だって、そうじゃん」と言えるかどうか

■広告は、人の24時間の奪い合いのようなもの

いまの私に響いた中のほんの一部です。金言です。

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8代目 No. 803 岩城一雄(プロダクション・プランナー)

きのうやっと届いた一冊。僕が敬愛するコピーの師匠・中村禎さんが本を出した。紆余曲折を経て30代にしてコピーライターを目指そうとしたとき、誰がスゴい人なのかもわからない中、僕の心を掴んだ禎さんのエピソード。その瞬間「この人から学びたい」と強く思った。その想いひとつで臨んだ講義…(止まらなくなるので以下略)読み始めてまだ数ページ。これから手汗を染み込ませて、アツい講義を追体験するぞ!禎さんヤバいですよ〜やられました!59ページの太字、コレそのまま僕なんですもん。1ページめから禎さんの声で読んでます。

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5代目No. 516 土屋 公平(大学職員)

ちょっとパラパラめくってみると講座で教わった言葉があれこれ出てきて禎さんの声で聞こえてくるよう。うわっ、あれからもうちょうど10年か…!結局コピーライターにはなってないけど、伝える仕事って意味では一緒で、その中でコピー書いたり企画したりするなかでずっと基礎になってる。ちゃんと読んでもっかい見直そうっと。

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8代目 No. 810 島田 寛昭(デザイナー)

同業(デザイナー)の友人知人によく「コピーの講座ってどんなことを勉強するんですか?」と聞かれて話したことの大半は、禎さんの講義で聴いたことです。なので、もしそのような話に興味を持ってくれた人がいるのであれば、ぜひこの本を手に取ってみてください。今自分が(コピーライターではないながらも)食えているのもこの時学んだことが大きいので、きっと誰にとっても仕事や日常で生きるヒントがあると思います。先日デザイナーの友達と飲んだときにした話を挙げさせて頂きます。
‪………
‪◼︎その数万人が全員、その広告主を嫌いになったかもしれない

‪◼︎消費者の先頭に立って広告主に立ち向かうコピーライター

‪◼︎誰かを思ってつくったものが、結局、大勢の心にも届く

‪◼︎学ぶ時には恥をかけ

‪◼︎やはり自分の意志で動いた人のほうが強いのではないか
‪結果、「買って読んでみます!」と言ってくれました(笑)。

あと個人的な話で恐縮ですが、仲畑さんのことを「日本一正直なコピーライター」と書かれていたことに冒頭からグッと来てしまいました。

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‪2代目 No. 207 長岡 理恵‪ (東京の広告会社から滋賀県近江八幡市の農家に嫁ぎーの)
http://www.nagaokafarm.com

いま農作業の合間に読んでます。禎さんが考えて考えて、考えてぬいて書いたのが伝わるので、流し読みできないんです。(読むの遅くてすみません 泣)でもこれだけは言えます。この本は広告に携わる方々だけじゃなくて、農家の私にも必要でした。直売所でもPOPひとつで野菜の売り上げがグンと変わります。高齢の人が多い直売所にはこの切り口、若い人が多い直売所にはこっちの切り口で、とか。あとピザ屋もやっているので、どーいう言葉をかけたら買ってくれるかとか。逆に言葉少なめにしておくかとか。「人を動かす」ことの大変さを直に感じた今だからこそ、講座に通ってた13年前(え?そんなに経つの?笑)を思い出しながら熟読します。

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11代目 No. 1113 合田陽太郎‪

‪■なぜあなたはコピーを書くのですか? を考える
‪→その後の手紙も含め、最近、自分が忘れていたことだったので、頭をぶったたかれました。

‪■まず人間を観察する
→どうやって、コピーを考えていったのか禎さんの頭の中が見れてとても面白く、かつ気づきがありました。

‪■「ひとり」に向けてコピーを書く
→講座でも、一番印象に残っている言葉です。今でもとても大切にしています。

■水性のプロッキーの筆先を潰して、やや太くして書いています
→真似しても禎さんになれないのですが、プロッキーを即潰しました。

‪■会ったこともない人を泣かす仕事
→ぼくのひとつの目標です。

■学ぶとは、自分が感動すること 教えるとは、自分の姿勢を見せること
‪→直接的な言葉ではないですが、好きです。

いっぱい感動がある本をありがとうございます。それにしても惜しげもなく出しすぎではないかと思っているのは、僕だけでしょうか。

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‪11代目 No. 1118 富岡 勇貴‪

■コピーライターは、消費者の最前線にいる。

‪■手で考えるという、やり方。

‪■どうしてあのコピーができたのだろうと考えること。

‪■時代やメディアが新しくてなっても「知らない人に何かを知らせる」「興味のない人に振り向いてもらう」に変わりはない。

‪■コピーライターという立場で、新しいことに取り組めばいい。

‪という姿勢や考え方が、改めて勉強になりました。

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これはもう「広告」ですね。いいことだけ取り上げている。ただ、これらの言葉はウソじゃない。そう思ってくれた人がいるということ。ボクは著者として、このブログを書いています。この本が一人でも多くの人のヒントや勇気になったらいいな、と思って広報活動をしていきます。買ってください、とは言いません。本屋でちょっと立ち読みしてみてください。で、いいじゃない!と思ったら、それはもう。(つづく)

うれしい書評①(メルマガ土井さん編)
うれしい書評②(アマゾン編)
うれしい書評③(マーケター原さん編)
うれしい書評④(中村組OB編vol.1)
うれしい書評⑤(中村組OB編vol.2)
うれしい書評⑥(TCC会報家田さん編)
うれしい書評⑦(コピーライター以外編)
うれしい書評⑧(コピーライター編)

長友さんを偲んで【稀代】③ne & de

オリーブオイルが肌にいい、と聞くやいなや顔に塗る長友編集長
クリネタ26号 Photo by 木内和美

長友さんを偲んで。クリネタらしいBARを紹介する、稀代(ケッタイ)の記事をご紹介します。長友さんと一緒に取材に行ってまとめた記事です。

稀代(ケッタイ)とは、なんだ?
クリネタおススメの、いい店、おもろい店

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ne&de
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「稀代」というクリネタのこのコーナーは、この店のためにあるようなものだと思った。それほど「ケッタイ」なお店だった。住所と地図を見て「ああ、あの辺ね」すぐわかるわと思って歩いて来た。青山3丁目からキラー通りを国立競技場方向へ。神宮前3丁目の交差点過ぎたすぐ左手。しかし通り過ぎてしまった。あれ?おかしいな。Uターンしてもう一度来た道を戻ろうとしたら、向こうからトコトコやってくる長友編集長が見えた。ああヨカッタ。「このへんですよね?」「うん、たしか、ここよ」とプランターが置かれた黒い手すりの階段をすこし上がった鉄の扉とガラス張りのお店がそこだった。

先に到着していた柴田副編集長が白い木のカウンターで涼しげなグラスを傾けている。「香るハイボールよ」白州ハイボールにミントの葉を浮かべて香るハイボール。「じゃあ、ボクも香るハイボールを」するとお店の女性が店の外へ。さっきの階段のプランターのミントを摘みにいったのだった。青山育ちのミント。

何も知らずに初めて来た人は、たぶんキョトンとするだろう。ボクがそうだったから。カウンターの上にはアリゾナ産ターコイズを使ったアクセサリーが飾られながら商品としてディスプレイされている。ネイティブアメリカンの友だちからお守りとしてターコイズの石をもらったオーナーが、その美しさに魅せられて、このようなアクセサリーをつくるようになったという。カウンターの中はいわゆるBARのようにずらりとお酒のボトルがならんでいるわけではなく、工芸用の工具や革のひもがずらっと並んでいるコーナーがある。細長い店内の奥はなにやら薄暗く怪しい椅子とテーブル。オーナーであり空間デザイナーの堀育代(ほりやすよ)さんがつくる空間。「時の美しさ」をテーマに落ち着きのある優しい空間にしたかったそうだ。ああ、それであの大きなドアが飾ってあったのか。100年以上前にパリで使われていたものだそうだ。そこにも「空間」と「時間」が演出されている。

「このお店は4つのパートでできているんです」と堀さん。「まずお店に入ると、ここがショップ、こっちが工房。で、カウンター席がBARで、奥がデザイン事務所なんです」決して広くはないスペースだけどうまく分類されていて無駄がない。なんだろう、この居心地のいいカンジ。ショップで閉店後スタッフだけで飲み始めてしまったようなあのカンジ。友達の事務所に打合せに行って、そのまま飲み始めてしまうようなあのカンジ。お酒を飲みながら手作りのアクセサリーを見ながら、堀さんの話を聞きながら、「これプレゼントにいいかも」と思いながら飲める店。「人に贈るものを何にしようか悩む時間を、ここで楽しんでいただければ」

堀さんがイタリアに行ったとき、ベネチアで『バーカロ』という食前酒だけを扱っているBARに出会ったそうだ。夕方4時くらいにオープンして食前酒を楽しんでお店は8時には閉めてしまう。それからふつうに食事に行く。そんな文化に出会ったそうだ。「こんなお店あったらいいな」そう思って始めたのがこのne&de(ネーアンディー)だ。ne&deとはnearest(一番近い人)&dearest(一番親しい人)つまり、最愛なる人という意味らしい。

カウンターに気になるメニューがあった。『TODAYSオイルアペタイザー ○燻くんプロシュート500円有機ブタのプロシュート冷燻オリーブオイルがけ(オレイン酸たっぷり)』この手書きのメニューを見た人が10人中8、9人は聞くであろうことを聞いてみた。「冷燻オリーブオイルって何ですか?」すると鮮やかなターコイズブルーのボトルを見せてくれて、「これ、燻製の香り付けがしてあるオリーブオイルなんです。これをピザにかけてもいいし、野菜にかけてもいいし、冷や奴にかけてもイケルんですよ」と。「ふむふむふむ」と全員うなずく。さながら美人教師の話を教室の最前列で聞くオジサンたちのようだ。先生はオリーブオイルのことをいろいろ教えてくれた。

例えばこれはフルムーンという名のオリーブオイル。満月の日に収穫したオリーブだけで抽出したスペイン産のオイル。満月の日は、含まれるオレイン酸が多いのだそうだ。オジサンたちはただただ「へー」とか「ほー」と言うしかなかった。「オリーブオイルというのは畑と瓶詰めする場所が近い方がいいんです」畑で実を摘んで、そこで搾って、そこでボトルに詰めるのが理想なんだそうだ。とにかく空気に触れさせないことが大切だと。そこで二つのボトルを見せてくれた。同じボトルのカタチだけどラベルがちがう。何が違うの?と聞くと「こっちが収穫後4時間でボトリングされたオリーブオイル」「ほほーっ」「そしてこっちが、収穫後すぐに搾って10分でボトリングされたもの」「えええーーっ10分?」そう言われたら、テイスティングしないわけにはいかないでしょう。うまいことできてます。

てなことを勉強していると、ほうれん草を練り込んだ生地で焼かれたピザができあがってきた。生ハムに燻製の香り付けしたオリーブオイルがかかっている。「さながらここはオイルBARですね」と山岡特派員。すると長友編集長が「なに?老いるBAR?」「オイルBARですよ」「老いるはイカンなぁ、老いるは」オイルには敏感な長友編集長であった。

2杯目は白州オンザロック(青山ミント入り)を飲みながら、数種類のオリーブオイルをテイスティング。お酒を飲みながらオイルを飲む。冷燻オリーブオイル、フルムーン、4時間詰め、10分詰め。銀色の小さな計量スプーンで味見。たしかに違う。それぞれ違う。柴田副編集長は「やっぱり燻製オイルがいいな。これいくら?」お買い上げありがとうございます。

このCAFÉ&BARのもうひとつの自慢がこの2年熟成コーヒー。コーヒーを入れてくれるのは並木亜妃さん。「コーヒーを入れるとき滴るしずくが赤くなるんです」「はぁ?赤くなる?」カウンターの男たちが一斉に身を乗り出して覗き込む。ふつうにただコーヒーのしずくがおちているだけじゃん、と思ったそのとき「あ、見えた!」確かに黒い液体の中に赤い、イクラのような粒が一瞬見えた。取材カメラに写ったかどうかは心配だが、たしかに赤い粒が落ちるのが見えた。「手品じゃないですよ。ちゃんと入れ方をレクチャーされたんですから」

「お豆腐&オリーブオイルも試してみます?」と堀さんが用意してくれた木綿豆腐に「トリュフ塩」をふって「冷燻オリーブオイル」をかけて。これはイケル。茶の湯をいただくような器でコーヒーをいただきながら、これまた結構なお手前で。「コーヒーと冷や奴」ケッタイな取り合わせ。なんだか不思議に愛着の湧く語感。「コーヒーと冷や奴」いっそ店の名前にしたらどうだろう、という長友さんの提案でひとしきり盛り上がったが、白州ハイボールと冷や奴のほうがおいしいとボクは思う。

初めてひとりでふらっと入るには敷居と階段が高いのかもしれないが、「クリネタで見たんですけど」といえば、ニッコリ迎えてくれるお店がまた一軒できました。

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渋谷区神宮前2-6-6 秀和外苑レジデンス1F(ne&de 青山ショップ)

■ne&de 青山ショップ
 OPEN:火曜日~土曜日
※(月曜日・日曜日・祝日はお休みになります)
TIME:11:30~20:00
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No.26 (2014年06月27日発売)
クリネタ
http://www.crineta.jp

長友さんを偲んで【稀代】①モンド・バー
長友さんを偲んで【稀代】②BAR JADA
長友さんを偲んで【稀代】③ne & de
長友さんを偲んで【稀代】④ Salon書齋

長友さんを偲んで【稀代】②BAR JADA

クリネタ25号 Photo by 木内和美

稀代(ケッタイ)とは、なんだ?
クリネタおススメの、いい店、おもろい店

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BAR JADA
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地下一階で止まったエレベーターのドアが開くと、そこはBARだった。それはもういきなりBARだった。店はドアを開けて入るモノ、という決まりがあるわけじゃないけれど、ちょっとビックリした。南青山6丁目、骨董通りから根津美術館へ抜ける道を曲がってすぐのビルの地下。BAR JADA(ジャダ)はずっとそこにあった。ずっとあった、というのは、この道は確かに通ったことはあるのだが、このBARには全然気づかなかったから。そしてオープンが1989年というから今年でもう25年になる。ウイスキーでいうとかなりのものだ。

気づかれにくい場所、控えめな看板。オーナーバーテンダーの小澤さんは「そうですね、一見さんはめったにお見えにならないですね」という。「一度お越しになったお客さまのお連れの方がまた別の人といらしたり、その繰り返しでだんだんいろんな方に知っていただけるようになりました」と。一度気に入っていただいたお客さんが別のお客さんを誘い、そのお客さんがまた別のお客さんを連れてくる。まるで、ソーシャルメディアの「いいね!」が拡散して常連さんが増えて行くイマのビジネスモデルだ。しかし、歯が生え替わるようにお店が無くなっては建つ表参道・南青山界隈で、25年もたったひとりでBARをやっている。それはどう見てもすごいことだと思う。その秘密はなんだろう?と探りたくなった。

心地いい緊張感

「く」の字に折れたカウンターに7席だけの小さなBAR。「エレベーターが開いて誰か人の気配は感じるんですが、そのまま黙って上に上がっていくこともよくあるんです。初めて入るBARはお客さまも緊張されるでしょうが、私の方も緊張するんですよ。25年やっていても、それは全然変わらないんです」と小澤さん。たしかにそうかもしれない。狭い店。しかも地下。男気ある風貌の小澤さんだが、どんな人が降りてくるかドアが開くまでわからない。すると一緒に取材をしていた、飲むほうのベテラン長友編集長が『その心地いい緊張感がええのよ。緊張感を愉しむためにBARのカウンターがあるのよ。吉行淳之介も言うてたで。BARの中と外があんまり仲良くなりすぎるのはよくないって』なるほど。さすがBARのベテランである。

お客同士の会話にもある種の緊張感はある。Aというひとりの客とBというバーテンダー。そこにCという別の客。Aとバーテンダー、Cとバーテンダーは知った仲だが、AとCは初対面の客同士だとする。ひとりで飲んでいると、他の客とバーテンダーの会話が耳に入る。なんとなく話が混ざってきて、AとBとCの3人で話すようになる。しかし、お客同士のお互いの深いところまで入り込まないほうがいい。調子にのりすぎないほうがいい。そういう、人との距離感みたいなものをBARで学ぶことがよくあった。

心の中の師匠

「25歳でこの店を始めて、10年くらい経ってからですかねぇ。自分の職業はバーテンダーだと胸を張って言えるようになったのは」やっぱり、10年くらいかかるのか。バーテンダーの小澤さんにとって「師匠」みたいな人はいらっしゃるんですか?と聞いてみた。すると、「心の中にはいます」と即答。ほほう、どんな人なんだろう?「渋谷のJIGGER BARで働いていたとき、教えてくれた先輩がいらっしゃった。その店では接客のマニュアルなどは置かず、基本任せてくれたのですが、そこでの失敗や経験がいまの自分のベースになっています。その方が心の師匠ですかね」バーテンダーコンテストで優勝するとか有名な店で何年働くとか、そういうことではなく、自分の中に「心の師匠」を持ち、自分の仕事に責任を持つ、プライドを持つ。みんなそうして一人前になるんだなぁ。どんな職業も同じかもしれない。

業界用語

「宇多田ヒカルさんが婚約した時スポーツ紙が、お相手の職業を『バーテンダー』と紹介していたんです。うれしくなりましてね。スポーツ紙がちゃんと『バーテンダー』と書いてくれる時代になったかと。昔は『バーテン』とか言われてましたからね」職業名はちゃんとした名前で呼ぶべきですね、とかなんとか話していたら『バーマンとも呼ぶんですよ』と、常連のお客さんが会話に加わってきた。「こちらのTさんは、お仕事でパリやニューヨークのBARをよく回られているんです」と小澤さん。常連のTさんがこんな話をしてくれた。「パリの老舗BARで聞いてみたんですがね。最高のバーマンってなんでしょう?って。そしたらその店のオーナーは、『ひとつのお店で長くバーマンをやっていて、たくさんのお客を持つことだ』と言うんです」あらま、小澤さんのことじゃないですか、最高のバーマン。「お客はバーマンにつくんですよね」とTさん。「客はバーマンにつく」またひとつ、業界用語を覚えた。

シュウマイの冷めない距離

山崎ハイボールをお替りしながら取材を続けていて、お腹がすいてきた。「中華でも、とろか」長友編集長がBARという場所に似つかわしくない発言をした。雀荘に出前、というのはよく聞く話だが、BARに出前、はあまり聞いたことがない。これも南青山で長くお店を構えるもの同士の友情のようなものなのか、すぐ近所にあるチャイニーズレストランDからの出前を取ってくれるという。前菜盛り合わせ、春巻き、シュウマイ、腸詰などなど。助かります。腹ペコでBARに来てしまうことって、けっこうあるんですよね。そんなとき本格中華のお皿を届けてもらえるという老舗BARならではのサービス。まさに「中華が冷めない距離」。ただし、この離れ業をオーダーできるのは、何回か通ってから、なのかもしれない。「一流の店は一流の店から出前をとるのよ」これは長友編集長のお言葉です。

南青山で25年。たったひとりでこのBARをやっているバーマン、小澤さん。怖がらずに一見さんとして行ってみてもいいと思います。「クリネタで見たんですが」と言えばもう一見さんではありませんから。

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BAR JADA

東京都港区南青山6-2-7グレグラン骨董通りビルB1F

03-3797-0561

年中無休18:00~26:00(LO25:30)
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No.25 (2014年03月27日発売)
 クリネタ
http://www.crineta.jp

長友さんを偲んで【稀代】①モンド・バー
長友さんを偲んで【稀代】②BAR JADA
長友さんを偲んで【稀代】③ne & de
長友さんを偲んで【稀代】④ Salon書齋