第21話 三級建築士への道

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なぜ私は三井ホームで家を建てたのか vol.21

記念に今までの書類や図面をいくつか取ってあります。それを見返すと涙が出そうになります。楽しくてつらかった日々が思い出されるのです。夫婦ふたりだけで相談して決めて行く。それは、中村家二人 vs 三井ホーム という闘いの歴史のようでもあります。別に三井ホームとケンカしていたわけではありません。ただ「騙されないぞ」「言いなりにはならないぞ」という気持ちは持っていました。私たちにとって家を建てるということは初めてのことで、暗闇の中を手探りで進むような日々だったのです。落とし穴に落ちないようにすり足で、なのに急かされて進むのです。

ノートのスケジュールを見ると、契約までに図面等を見ながら打合せしたのが4回。契約後、見積りにOKを出すまでの打合せ回数が10回。これは多いほうかもしれません。三井ホームとしては、「時間をかけない」ことがコストを下げることにつながります。こっちとしては「慎重に進めたい」そのせめぎ合いです。3月末に契約して6月中旬に金額確定までの約2ヶ月半。約10回の打合せと書くとカンタンですが、その「打合せと打合せの間」がタイヘンなのです。連日深夜残業で「あれを確認しなきゃ」「これは質問しなきゃ」の洗い出し。クライアント(施主)はただ提案を待っていれば良いのではないのです。こっちから攻めるための「準備」が必要だと思います。その「準備」をしておかないと、向こう(三井ホーム)の言いなりになるしかない。「そこは、こうできるんじゃないですか?」とか「そこはこうできるはずでは?」と言えるようにと勉強しました。その時期同時にやったことは、ローンの相談・照明のショールーム見学・キッチンのショールーム見学・インテリア素材の現物確認・近郊の三井ホームモデルハウス見学・図面を読むための勉強・・・などなど。とても会社の仕事どころではありませんでした。

三井ホームからもらった「設計・インテリア打合せノート」に、契約から引き渡しまでのスケジュールが載っていました。まず最初のヤマ場が、着工までに金額も含めた設計図の承認。ここで基本が決まります。そこを決めるまでにクライアントである私たちは必死で準備しました。(これは広告を制作する作業とホントに似ています。しかし、大きく違う点がふたつあります。1つ目は、家の場合は私個人が一生かけてお金を払うけど、広告のお金はその担当者個人が払うわけではないこと。2つ目は、家は設計図を承認して着工したら大きな変更はできないけど、広告のクライアントは企画にOKをしたくせに、撮影したものでも平気でやり直しをさせたりするケースがある。まったく、ねぇ)

三井ホームからもらった「設計・インテリア打合せノート」は、初めて家を建てる人にはとても助かるノートでした。「いつまでに」「何をすべきか」がすべて書いてありました。

■第1回目の設計打合せの前までにご確認をお願いします
・家具の計測(新居で使う家具やクルマのサイズ)
・建物の配置(室外機をどこに置くかなど)
・主な図面記号の把握(図面記号を勉強しておいて)
・住まいの段差の確認
・高さ、位置関係の確認(さまざまな部資材の取り付け位置)
←コンセントの位置など

■設計打合せの前までにご確認をお願いします
・間取り
・外部仕様(事前に用語等の把握をお願いします)
←屋根材・雨樋など家の外側のあれやこれやです
・内部仕様(事前に用語等の把握をお願いします)
←床材・階段・手摺・ドア・玄関床タイルなどなど。幕板・巾木・ケーシングなど初めての単語ばかり
・電気設備(事前に記号の意味や用語の把握をお願いします)
・給排水設備(事前に図面記号や用語の把握をお願いします)
・その他確認事項(住宅設備機器や器具などの確認)
←キッチン・トイレ・洗面・浴室などのことです

「事前に記号の意味や用語の把握をお願いします」というセリフばっかりでしょ。これがタイヘンだった。とにかく図面を読む「記号」を理解することです。とても一度では憶えられませんが、このノートに書いてある説明を見ながら設計図を「解読」していきます。それができないと、「あれ?ここの窓違いますよ」という指摘ができません。コツがわかればとても合理的な記号だということがわかります。わかるようになりました。わかるまでやりました。三級建築士くらいにはなったんじゃないかと思います。

第22話 情熱とお金


第21話 三級建築士への道」への2件のフィードバック

  1. ピンバック: なぜ私は三井ホームで家を建てたのか 21・22・23 | ぶ厚い手帳:コピーライター中村禎の場合

  2. ピンバック: なぜ私は三井ホームで家を建てたのか■総合目次 | ぶ厚い手帳:コピーライター中村禎の場合

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