10年前は、若すぎました。

97リザーブ①97リザーブ②

97リザーブ③10年リザーブ 「走る女」篇
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10年前は、若すぎました。

1996年  サントリー10年リザーブ新発売
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サン・アド時代は当然ながら飲料はサントリーを担当していました。しかし、駆け出しコピーライターに大きなキャンペーンを担当するチャンスはほとんどなく、小さな新製品の酒販店チラシを書いていて、その商品が売れて広告予算がつくと、そのマス広告を担当するという方式でした。だから、サン・アド時代のリザーブの仕事は、業界誌1ページ広告くらいでした。電通に移籍してからKIRINを担当していましたが、一番搾りの仕事が終わったので、サントリーを担当することになりました。ウイスキーが売れなくなっていて、リザーブの10年ものを出すことで新しい消費を掘り起こそうとしたキャンペーンでした。

とにかくこの曲を使いたかった。『未来世紀ブラジル』という映画のサウンドトラック、♪BRASILという曲。どうしても使いたかった。この曲を聴きながら家でお酒を飲みながら酔っている時間がなんとも好きだったから。お酒の広告でこの♪BRASILを使いたかったんです。

プレゼンではこの曲を使ったビデオコンテをつくりました。それはそれは完成度の高いものでした。それが「大失敗」でした。Vコンではよく映画なんかのシーンをインサートに使っていました。この時はたしか『ベティブルー』の夜のサーカスの観覧車のシーンや、森の中の小径をソフト帽が転がっていくシーンを切り取ってインサートに使いました。それがとても効果的だった。効果的すぎて、演出コンテのインサートの案になっかなかOKがでなかった。どうしてもVコンを越えられないんです。そりゃそうですよね、映画のワンシーンにはどれだけの予算と時間がかけられているかを思うと、そんなにカンタンに撮れるはずがない。Vコンのインサートに映画のワンシーンを使うときは「要注意」です。

「10年前は、若すぎました。」というコピーは好きでした。これはナレーションでは読まずにタイトルで入れるコピーでした。しかし、どんな書体で組んでも、どうもしっくりこない。ADの関裕敏さんが「禎さんの字でいきませんか」と言う。ここだけの話、ボクは自分のコピーには自分の字が一番合うと思ってはいるんですけど、実際の広告で使うのはどうも気が進まなかった。オンエアや掲載で自分の字を見ると、なんだかパンツ一丁で外を歩いているような、こそばいような気がするから。(以前、とらばーゆの中吊りで手書き文字を使って、そう思った)

気に入った出来上がりのCMだったけど、自分の字がでるとこだけがちょっとイヤだった。でも、友人から「あれ、禎の字でしょ」と言われた時は、ちょっとうれしかった。

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サントリー10年リザーブ
TVCM(30”)「走る女」篇

M:♪ BRASIL〜
S:10年前は、若すぎました。
N:10年たって、いい味になりました。
  10年リザーブのまろやかさ、新発売。
S:10年リザーブ  AGED 10 YEARS  新発売
佐藤浩一:いただきます。
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