広告のない電車

広告ナシ電車2広告ナシ電車1

ある日の夜の大江戸線。中吊りなど一切の広告がない車両に乗った。ステンレスシルバー色の車内は、それはそれでキレイだった。広告屋としては「なんじゃこりゃ?」とすぐ気づいたけど、乗客たちはどうだったろう。ほとんどの人がケータイを見ていて、「ああ、そういわれると、ないね、広告が」と言いそうに見えた。

電車に乗ると車内のあっちこっちに広告が貼られている「当たり前」の状況を、一旦リセットしてみるのもいいんじゃないか。「掲出すれば効果がある(はずだ)」と勘違いしている頭の中をリセットして、「ケータイばかり覗き込んでいる人たちに、どう伝えるか」を考えなおしてもいいんじゃないか。

例えば、中吊りを一切止めて、車内放送でひとこと商品名をしゃべるとか、CM音楽を5秒流すとか。その商品のタレントの声で「駆け込み乗車はやめましょう。缶コーヒーの●●」というとか。「この最終電車は○○社の提供で走っております」とか。車両ジャックじゃなくて数枚しか貼らないとか。午前中は一切なくて、帰りの時間帯に合わせた広告を出すとか。朝が缶コーヒーで夜がそのメーカーのビールとか。ターミナル駅に停車しているときに、中吊りを張り替えていく係の人を見るが、車内がすべてデジタルサイネージになれば、いろんな可能性が考えられる。ちょっとでも空いている壁を見つけて、網棚で一部隠れているような場所にまでステッカーを貼らせて掲載料をとるよりも、広告効果を考えた方法がもっとあるはずだ。いかに広告掲載料を稼ぐかではなく、いかに効果的なメディアをつくるか。

とかなんとか、広告の全くない電車にたまたま乗って、常識を疑うこと、未来は過去の延長線上にないこと、そういうことを考えるいい機会になった。


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