行きつけの寺

1981年7月 秋篠寺
2013年4月 秋篠寺

初めて行ったのは1981年の夏でしたから、かれこれ32年通っている寺があります。奈良県大和西大寺にある秋篠寺。そこに「伎藝天」という仏さまがいらっしゃる。J.W.トンプソンの営業からサン・アドのコピーライターになるとき、長い休みをとって兄のクルマを借り、ひとり九州に里帰りをしていました。その帰路、門司から大阪南港へ向かうフェリーのなかで、ある人から聞いた話をふと思い出したのです。『奈良の秋篠寺というところに日本で唯一の芸事の仏さまがいる』道路地図で探してみると奈良県に「秋篠寺」という小さな文字を発見。今思うと、これも何かの縁だったのではないかと思います。

コピーライターという職業は「芸事」ではないけれど、一般職に比べると「芸事」と言えるんじゃないか? これからコピーライターになろうとしている身としては、ここはひとつ挨拶しておいた方がいいんじゃないか? と思ったのです。地図をたよりになんとか辿り着き、「伎藝天」さまにお参りすることができました。「これからコピーライターになる中村禎と申します。がんばりますので、よろしくお願いします」と。お守りも買いました。これでバッチリです。

それ以来、関西に行く機会があるたびに、秋篠寺に寄るようになりました。賞を獲ったときなどは、ちゃんと報告に行きました。思うに、伎藝天さまには何かをお願いするのではなく、これから何かをしたい時や何かを成し遂げた報告に来る方がいいような気がします。お願いだけに来ると、どこかお顔が不機嫌そう。これからの話をしに行くと、なにやらにこやかな、そんな気がするのです。何回も通っているとそう感じます。今回は「新しいことを始めたい。まだ具体的ではありませんが」と報告してきました。ちょっとニッコリされたような気がしました。

伎藝天 ちょっと腰をヨコに曲げている立ち姿です。

伎藝天のポーズをとってセルフタイマーで写真を撮っている中村禎青年23才。秋篠寺の庭にある休憩所です。この格好は当時のサーファーですから許してください。テニスパンツにビーサンです。コピーライターになる前に、気合いを入れに九州に波乗りに行っていたのです。


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