だってブラジルなんだもの【23】パンタナールの遠足

ボートのボク
Rio de Claro クラロ川ってことかな

6月25日

クイアバ収容所の最終日。当初の予定では「なんにもしない一日」にするつもりだったが、あわてて「パンタナール大湿原観光」のオプショナルツアーに申し込んだ。605号室から外出できるならどこでもいい。(だってブラジルなんだもの⑱クイアバ収容所 参照)このオプショナルツアー、ホントに行ってよかった。サポ村ツアーに参加して14日目。名前は知らなくても見覚えのある顔がふえた。初めて話す人もいた。

ホテルからバスで3、4時間走っただろうか。サッカー王国ブラジルの、また違った表情が見えた。そうだ、ここは南米大陸だったんだ。そんな景色に変わっていった。今日は一日観光なのでいろんな写真をご覧ください。

途中の牛さん
■行く手を阻む牛の群れ


■カウボーイではなく、Gaúcho(ガウ〜ショ)。スペイン語ではガウチョ、ポルトガル語ではガウーショ。そういえば、ロナウジーニョも名前はRonaldinho Gaúchoだったな。(ブレブレ写真で申し訳ありません)


■それにしても、すごく痩せた白い牛だった。まさかこれがシュハスコに?ジャネイヨね。

ブラジルの土2
■ブラジルの土

パンタナールの私2
■ブラジルの地平線

Pousada Rio Claro
■目的地の『Pousada RIO CLARO』は自然公園の中にある宿泊施設のようだった。

開高さんの川
■ワニやピラニアのいる川をモーターボートに乗って遊覧する。川面の風が気持ちいい。ふと開高健さんの「オーパ!」な気持ちになった。ここもブラジルなんだなぁ。

開高さんの川3
■開高さんの川(のつもり)

ワニの川
■この写真はサポ村の誰かが撮ったもの。ゲッ、ワニ、ほんとにいたの!川に手を浸けてたよ。

こんなボートで
■こんな感じでブイ〜ンと。

パンタナールの友2パンタナールの友1
■パンタナールの友 ランチのときに合い席にさせていただいて、記念写真。

木陰1木陰2
■木陰で休憩ビール。

青いサポ村Tシャツの藤田さんはクイアバ収容所の食堂で知り合った。同部屋の池葉くんがブラジリアに旅立った後なので、このツアーで一緒に行動してくれる人がいてくれてうれしかった。ランチで同席させていただいた人たちとボートにも乗り、顔見知りになった。収容所の孤独を忘れさせてくれた友。しかし、明日のいま頃はまたひとりだ。サポ村ツアーの人たちと別れて単身リオデジャネイロに向かう。せっかく顔見知りになれた人ともお別れだ。明日、日本に帰国する人もいる。疲れが貯まってきたボクには、日本に帰れる人たちがちょっとうらやましく思えた。しかし、明日からは楽しみにしていたリオデジャネイロだ。今回のブラジルツアーの三大目的を忘れてはいけない。①ブラジルでブラジル代表の試合を見る。→これは、ブラジルでブラジル人とブラジル代表の試合を(テレビなどで)見る、に変更。(だってブラジルなんだもの⑲外出時間 参照)②コルコバードの丘のキリスト像を見る。③マラカナンスタジアムに行く。この②と③を果たさねば。だってブラジルなんだもの。(つづく)

明日からはいよいよRio de Janeiroです。

背中で語る

ブラジルの背中
先日のFCバッカーノの神宮外苑フットサル。
ブラジルで着たKIRIN日本代表ウェアでやりました。
背中はユザワヤで買ったブラジル国旗のアイロンワッペン
手書きの文字は
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Eu vim para o Brasil,
a fim de apoiar
a Selecao Brasileira
e Selecao Japonesa.
Junho e Julho 2014
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『私はブラジル代表と
日本代表を応援するために
ブラジルに来た。2014年6月7月』
と書いたつもりです(by Google翻訳)

これを着て、リオデジャネイロのホテルの朝食バイキングに行ったら、
スタッフも笑ってくれました。通じたのかな?
ま、話すキッカケになっただけでも大成功。
笑ってもらえればそれでいいんですけどね。

だってブラジルなんだもの【22】クイアバの夜道

クイアバの夜道クイアバの夜道2これは「サポ村ツアー」でシェアした写真です。たぶんクイアバのレストランへ行く途中の道と帰り道。駐車していたクルマもいなくなってる時間。

6月24日(夜)

コロンビア戦の夜。ホテルから歩いていける距離にある大きな食堂で全員で夕食。歩いて5分くらいなので、大勢でゾロゾロ歩いて行く。バイキング型式のブラジル料理。野菜不足の日々だったから野菜中心に食べるようにした。というか、肉はあっという間になくなってしまっていた。今日の話はその料理の話ではなく、帰り道の話。

食事が終わったら流れ解散だという。ボクたちのテーブルは4人だったので、その4人で「じゃあ、そろそろ帰りますか」となる。ビールを飲んでいいカンジで店の外に出る。街灯はあるが道には人影もなくクルマも走っていない。ホテルを出てからゾロゾロみんなにくっ付いて歩いて来ただけなので、帰り道を間違えないようにせねば。4人で笑いながら歩く。確かあのガソリンスタンドの脇を曲がるんじゃなかったっけ? そうだそうだ、ここは曲がらなきゃ。ボク以外の3人はのん気に歩いているように見えた。しかしボクは『もしかしてこの状況は非常にヤバいんじゃないか?』と感じていた。ここでもしクルマかバイクで寄って来られたら、丸腰の日本人4人、通行人は他にいない、ホールドアップも十分有りだと感じた。ボクは笑いながらもキョロキョロしながら早足になっていた。ブラジルでは最大限の注意を払っていたので、結果的に危ない目には遭わなかったが、今回のブラジルで一番『ヤバいかも』と思った数分間ではあった。そして無事にホテルに到着。ホッ・・・。やはり思い過ごしだったのか。

と思ったら、それがそうでもなかったことが後日判明した。

帰国後聞いた「ある友人」の話。このコロンビア戦の夜、クイアバの別の場所でなんと、襲われたというのだ。その彼は、クイアバに住むブラジル人の家に泊まる予定だった。彼はブラジル人の友だちたちと「クラブ」のような店に遊びに行った。深夜、彼は「先に帰るわ」とひとりで歩いてその家に向かった。そんなに遠くなかったらしい。ところが、その家のお母さんがもう寝ちゃっていてドアベルを鳴らしても開けてくれない・・・。こんな時間に外にいるのは危険だ。どうしようもなく彼はもう一度店に戻り、友だちのお母さんにドアを開けてもらえるように電話してもらった(らしい)。そしてもう一度その家に戻ろうとひとりで歩く、その帰り道。たぶんこの写真のような道だったのだろうか。二人乗りのバイクがやって来てピストル、そしてホールドアップ・・・。リュック丸ごと盗られバイクが走り去る・・・。その時、何を思ったか、彼は大声で『パスポ〜ルチ!ポルファボ〜ル!(パスポート、返して!)』と叫んでみたそうだ。すると、静かな夜道に彼のポルトガル語が響いたのか、遠くでバイクが止まった。そして何かをポイッと捨てて走り去った。そこへ駆け寄ってみるとなんと!パスポートとなぜがマッキー(油性マジック)が捨てられていた。パスポートを返してくれた、いい人たちだ。いや、強盗だからいい人じゃないわ。でも、『パスポルチ!ポルファボル!』と叫んだ彼は冷静だなぁ。エラいなぁと感心したら、実は彼、その何日か前にも、サルバドールでも襲われていて一眼レフを盗まれたんだという。平和と危険が背中合わせ。何が起こるかわからない。だってブラジルなんだもの(つづく)

だってブラジルなんだもの【21】さよならニッポン

2014年6月24日(後半)

ショッピングセンターからホテルにもどり、戦闘服に着替え出発に備える。ロビーの食堂にユニフォーム姿の日本人が集合し始めるとちょっと緊張が走る。いよいよ負けられない戦いが始まる。

コロンビア戦チケット

Match 37/Arena Pantanal /Japan vs Colombia
24/06/2014 KickOff 16:00 ここクイアバはブラジルでも1時間の時差がある場所。ふつうは17時。日本時間は朝の5時だ。みんな起きてるか?

試合前のスタジアムはいつも、ワールドカップらしい時間だなと思う。対戦する両方の国のサポーターが仲良く記念写真を撮ったり。ブラジル人が「ニッポン!ニッポン!」と応援してくれたり。日本人もコロンビア人もブラジル人も。みんなにこやかだ。

コロンビア人は美人が多かった

ハチマキ車いすハチマキあげたらブラジル色のバンダナくれた

ロベカルとロベカルに似てるでしょ?左の彼

ボクも池葉くんもペコさんたちが提唱した「日の丸ハチマキ大作戦」に共感して積極的に活動している。この試合で勝たないといけないので、持ってきたハチマキ全部を配ることにした。日本代表ユニを着て、大きな日の丸をマントにして、ハチマキをして、しかもバカ殿のちょんまげをしたボクたち2人組はメチャメチャ人気者になってしまった。次から次へと「一緒に写真に撮ろう」と寄ってくる。なんだかスターにでもなった気分だ。ちょっと喉が渇いて休憩したくても次から次へとコロンビア人、ブラジル人が寄ってくる。ワールドカップはやっぱり『バカ』になんなきゃダメだなと思う。国を代表するサッカーバカ。はるばる地球の裏側までやってくるサッカーバカ。二度と会わないだろうコロンビア人たちと一緒の写真に残る。記憶に残る。日本とコロンビアがワールドカップで試合を闘ったという記憶。(それを思うと、コートジボワール戦もギリシア戦も、ブラジル人にはハチマキ配ったけど、試合後、対戦相手の国の人とはなんも交流がなかったな。ま、そんな気分にはなれなかったから仕方がないか)

試合前

試合後、現地で思ったことをfacebookに書いた。それを記録としてここに載せておこうと思う。
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コロンビア戦ベンチ
6月26日 · iOS · 編集済み ·
日本は負けた。弱いから負けたのだと思う。サッカーの内容は別の機会に書くとして、コロンビア戦で一番気になったことを書いておきたい。それはサブのメンバーのこと。この写真は3人目の交代枠で清武が入った直後のベンチ。下がった香川(一番右)が休むのはわかる。それ以外の選手の姿勢、態度。足を投げ出す者、足を組む者、芝生に座り手を後ろに着いて、まるで草サッカーでも見ているような者。これがワールドカップで負けていて、勝たなければ次がないチームの姿だろうか。ボクは唖然とした。一緒に戦おうという気があるのか。スタンドでは遠い遠い日本から来たサポーターが1人でも必死で「ニッポン!ニッポン!」と声を枯らしているのに。ザッケローニがポツンとコーチボックスに1人立っている。控え組はもう出る枠がないから関係ねえやと傍観しているかのように見えた。アジアカップで優勝した頃は控えのメンバーも一緒に戦っていたはずだ。このチーム、バラバラなんじゃないかと感じた。選手の名前はあえて言わないが、その選手のこと、ボクは嫌いになった。
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岡崎の同点ゴール側のバックスタンドのかなり上段の席だった。ボクの席の後ろのほうで女の人が1人でも「ニッポン!ニッポン!」と叫んでいた。ボクも叫んだ。その声はベンチには届かなかったのだろうか。その姿はベンチからは見えないのだろうか。はるか遠い日本からブラジルまでどんな思いでサポーターたちは足を運んだのか。それを思うと足を投げ出して座っている場合かよと思った。腹が立つというより泣けてきた。
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今日で日本のブラジルワールドカップは終わった。さ、 あとはRio de Janeiroに行って、ブラジルワールドカップを楽しむとするか。だってブラジルなんだもの(つづく)

だってブラジルなんだもの⑳ウルルン滞在記

試合に持って行くサンドイッチを作る でも池葉くんのはゲートで取り上げられた

クイアバ朝食顔はニコニコ 心はウルウル

2014年6月24日(試合前)

クイアバ収容所での朝食。昨夜遅く到着した同室の池葉くんと一緒に朝食。ブラジルで数少ない、日本から知っている友人のひとり。池葉くんは、ボクがブラジル行きを決断した、村上アシシさん主催の集会で初めて会った人だ。彼も『サポ村ツアー』に参加すると聞いていたので、サポ村の人に「できればクイアバで同室にさせてくれませんか?」とお願いしておいたのだった。遠いブラジルの地では少しでも知っている人と一緒にいたかったから。この写真は池葉くんと一緒に収容所の朝食を取ったときの写真。笑っているように見えますが、実は泣いていたんです。パンとハムとコーヒーと果物の朝食(昨日とほぼ一緒)。笑顔なんだけど、涙をこらえている顔なんです。この収容所で2泊過ごし、この朝この食堂で久しぶりにWiFiがつながった。facebookを見ると、たくさんの人からの「大丈夫?」「面白そうなホテルですね」「がんばって!」などの文字、文字、文字。それをを見て、ウルウル来たばっかりの顔なのだった。facebookは『文字と顔』が並んでいるのがいいんだと痛感した。その本人が言ってくれている、と実感できるから。

今日は決戦のコロンビア戦の日。試合は夕方からだからそれまでは自由時間。しかし、昨日の失敗をくり返さないように、11時出発のショッピングセンター行きのサポ村ツアーバスに乗る。日中のクイアバは軽く35度は超える。バスの中は冷房がある。ショッピングセンターにも冷房がある。天国だ。収容所からの外出。

クイアバのショッピングセンターでは特に何も買わなかったが、それはもう楽しかった。なんでもないお土産屋、havaianasのビーチサンダル屋(日本人だらけ)、アンティーク・サッカーユニフォームの店(この店は後日リオ・デ・ジャネイロにもあったので何枚も買った)スポーツ用品店、コリンチャンスのオフィシャルショップ、スーパーマーケットのような洋品店。昨日の今頃の時間を思い出すと、ここはパラダイスだった。

ブラジルバーガークイアバで一番おいしいハンバーガー

ショッピングセンターの2階はフードコート。無性にハンバーガーが食べたくなった。世界中にあるハンバーガー店のほうじゃなく、ブラジルにしかないであろうハンバーガー店のほうでオーダーする。ハンバーガーとペプシとフレンチフライ。メチャメチャうまかった。ホントにうまかった。もっとうまいハンバーガーはいくらでもあるだろうけど、このクイアバの日々で一番うれしく、おいしかった。もし人生でもう一度クイアバに行くことがあったなら、あの店であのハンバーガーセットをまた頼むと思う。冷静に考えると、ショッピングセンターのフードコートでハンバーガーセットの写真を撮っているのはたぶん、ボクくらいのものだっただろう。でもいいじゃないの〜。だって、ホントにおいしかったんだもん。

クイアバBUSクイアバの街2クイアバの街1

バスの窓から見たクイアバの街は賑やかだった。バスの中でいろいろ話を聞いてみると「このお土産屋まではホテルから歩いて来れましたよ」とか言ってる人がいた。え!そうだったの!知らなかった・・・。昨日は友だちがいなかったからなぁ・・・。そうか、クイアバの街を歩いてみたかったなぁ・・・と思った。でも、帰国後、別の話を聞いた。クイアバの街で、夜、襲われた友人がいた。「ブラジルは大丈夫だったよ」という人がいて「ブラジルで襲われた」という友がいる。同じ街で、同じ日に。それがこの国なんだろうな。だってブラジルなんだもの(つづく)

■池葉くんが撮ってくれた605号室
https://www.facebook.com/video.php?v=712034148874244&set=vb.100002029977122&type=2&theater

■泣かされたフェイスブックの書き込み
だってブラジルなんだもの【番外編】クイアバの励まし

だってブラジルなんだもの⑲外出時間

ネイマール得点前半17分ネイマールのゴール!

2014年6月23日(後半:楽しい時間)

「ドン底」の23日前半をなんとか凌いで後半。今回のブラジルワールドカップでは『ブラジルでブラジル代表の試合を観る』というのがひとつの目標でもあったのだが、さすがに高額な観戦チケットを手に入れることはできなかった。そこで目的を『ブラジルでブラジル代表の試合を(ブラジル人と一緒に)観る』ことに変更した。夕方からクイアバのレストランでブラジル人たちと大画面でブラジルvsカメルーンを観戦する。

半分屋外になっている大きなビアホールのようなお店。大画面で国歌。ブラジル国歌の歌詞は唱えないがメロディはラララなら唱える。しかし、店のブラジル人たちが客も店員も全員唱い始めたのに感動してデジカメで動画を撮った。自分の声が入らないように黙って回した。(しかし、自分も興奮していたのだろう。画面がブレブレであの感動はほとんど定着していない。残念)

試合は4対1でブラジルの楽勝だった。前半17分、まだ明るい時間にネイマールの先取点。その後もネイマール、フレッジ、フェルナンジーニョのゴールで大騒ぎ。観戦していたブラジル人たちに緊張感は見られなかった。勝って当然、な落ち着きようだ。しかし、本番は試合後だった。試合が終わって店の生バンドのサンバ演奏が始まる。一部のグループが踊り始めるとだんだんその輪が大きくなっていく。とうとう店の客のほとんど全員が店の周りを回りながら大騒ぎ。サポ村の日本人もどんどん輪に加わっていく。ボクはというと・・・完全に乗り遅れてしまった。行くタイミングを逃してしまい、結局その輪には加わらなかった。う〜む、失敗だった。行けばよかったなぁ・・・。収容所の看守から「はしゃぎすぎるなよ」って言われていたわけじゃないのにね。

ブラジル戦後たぶん家族なんだろう 二度と会えない人たちだろうけど

その日、ボクは94年ワールドカップモデルのブラジルユニフォーム、#6 ROBELT.CARLOS(パチもん)を着て行った。狙い通り、それを見つけて「イエ〜イ!」とブラジル人が寄ってくる。「ヘ〜イ!ホベルト・カ〜ロ〜ス!」「★は今は五つだぜ」「これは94年の優勝前のだからまだ★は三つだよ」みたいな会話。日本開催のワールドカップでブラジル人が昔の日本代表のパチもんユニを着ているようなものだろう。二度と会わないブラジル人たちと仲良く記念写真を撮り合った。やっぱりサンバはいいな、ノリがいい。だってブラジルなんだもの(つづく)

これからまた収容所に戻ることを忘れられた、束の間の外出時間だった。

外出時間終了エレベーターのない6階への階段

だってブラジルなんだもの⑱クイアバ収容所

クイアバ洗面所HOTEL PANORAMA #605

2014年6月23日(前半)

BRASILメモ旅程223日LUNEDI  in CUIABA

旅のメモ帳を見ると23日月曜の午前中に「ドン底」と書いてある。その日の15時からはクイアバのレストランでブラジル人たちと大画面でブラジルvsカメルーン戦を見る予定になっている。今回のブラジルツアーの楽しみのひとつでもあるブラジル人と一緒に観るブラジル戦。だけど、その前に「ドン底」と書いてある。

前日の夜遅くにクイアバのHOTEL PANORAMAに到着した。やっと着いた、という笑顔がだんだん曇っていく。『クイアバのホテルはナタルのビーチリゾートとは違って、そんなにいいホテルは取れませんでした』というサポ村のコメントは聞いていたのである程度は想像していた。しかし、クイアバはそれ以上だった。その小さなホテルはサポ村ツアー客だけで貸切状態。チェックインのロビーはみんなのスーツケースであふれ、座る場所もないほどだった。「中村さん、605号室」同部屋予定の友だちの到着が明日の深夜なので今夜は一人だ。ひとりでゆっくりできると思っていた。605号室だからふつう6階だ。しかしホテルの古いエレベーターは5階までしかない。なんで? ま、いいか。スーツケースを持って階段で登っていく。

クイアバエレベーター自分でドアを閉める旧式のエレベーター なるべく乗りたくなかった

部屋に入ると、ひと言でいうと「シンプル」。不潔ではない程度の清潔さ。ベッドが2台。やや傾いたタンスがひとつ。天井に大きなファン。トイレとシャワーの洗面所。バスタオルが二人分の2枚。以上・・・。テレビはない。椅子やテーブルなどは、ない。充電のためのコンセントを探すと、壁際にひとつ。コンセントがひとつ?ということは?ん? まさか? エアコンが、、、、ない。天井のファンだけ? ウソでしょ・・・。ま、今夜はそんなに暑くないからいいか。ぬるかったがお湯もでてきたし(そのお湯もその後、出たり出なかったり)。WiFiもつながったりつながらなかったり。急に孤独になってきてしまった。ま、今夜は寝るか。

翌朝気付いたこと。カーテンが短い。長さはあるのだが、左右が足りない。隙間から直射の朝日が思いっきり入ってくる。とりあえず朝食へ降りていく。ナタルのホテルと較べるのは酷だとは思うけど、酷な朝食だった。時間が遅かったからかもしれないが、ほとんど何もなかった。パンとハム。ポットのコーヒーとバナナ。厨房というか台所でお母さんがひとりで作ってくれているような食堂だった。

朝食後、多くの人は買い物などに出かけたが、今日は午後まで部屋でゆっくりするつもりだった。それが失敗だった。部屋は暑くWiFiもつながらない。ロビーは涼しいが蚊がいる。ホテルの外をひとりで歩く勇気もなかった(昼間はたぶん大丈夫だったみたいだけど)暑い部屋、蚊のいるロビーを往復しながら買っておいたチョコレートなどを食べてブラジル戦に出かける時間までをひとりで過ごした。WiFiもほとんどつながらない。孤独だった。ふと「軟禁ってこんなカンジなんだろうな」と思った。何も悪いことをしていないのに捕まっちゃったけど、3日後には必ず釈放されるんだと思えばかなり恵まれた収容所だ。今夜はブラジル戦も見に行けるし、明日は日本vsコロンビア戦も見に行ける。そう思うことにした。

クイアバの部屋同室の池葉さんが撮ってくれた大型ファンがブンブン回る暑い部屋

(ハルコさん情報によると)ひとつとして、同じ部屋がなかったクイアバ収容所。部屋の広さや間取りも数種類。オブジェと化したテレビやエアコン。温度設定が全く出来ないエアコン。まともに動くエアコン。エアコンのない部屋。工事中の部屋。ファンがある部屋ない部屋。テレビ台の枠だけある部屋。洗面所の台の高さもまちまち。洗面台が邪魔して便座が下ろせない部屋。こんなホテルもあるんです。だってブラジルなんだもの(クイアバ収容所23日後半につづく)

■池葉くんが撮ってくれた605号室
https://www.facebook.com/video.php?v=712034148874244&set=vb.100002029977122&type=2&theater

だってブラジルなんだもの【番外編】クイアバの励まし

クイアバで落ち込んだとき、フェイスブックのみんなのコメントが励ましてくれた。泣きそうになった。だから、ここに記録として残しておきます。

収容所1クイアバの夜

電話なし、テレビなし、エアコンなし(大型天井ファンあり)椅子なし、テーブルなし、バスタオル1枚あり、カーテン隙間あり、窓鍵なし、、、、。逆に言うと、ベッド2台、斜めに傾いたタンス、トイレ、シャワーがあるという605号室。早く日本に帰りたくなりました。今日は相当落ち込みました。(写真はチェックインした夜の窓の外)ー 場所: クイアバ
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Akemi Aoyagiさん、Madoka Sakaiさん、長岡 果さん、他127人が「いいね!」と言っています。
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Akemi Aoyagiさん、Madoka Sakaiさん、長岡 果さん、他127人が「いいね!」と言っています。

福田 幸恵 無事にお帰り下さい!6月24日 13:36 

Mitsunori Sakamoto それも又楽し!として下さい。羨ましいです。6月24日 13:39 

野田 幾子 気をつけておかえりくださいね。一同楽しみにお待ちしてます!!6月24日 13:39 

中村 禎 ちょっといい留置場に入ったってカンジです。6月24日 13:52 

Mitsunori Sakamoto 俺はあそこまで行ったんだぜ!っていい思い出になると思います。お楽しみください。6月24日 13:53 

金子 祐也 禎さんそんな苦行にも負けない現地応援&現地歓喜を自慢して頂く会を帰国後に開催しますから〜!6月24日 13:58 

東條 潤 そう言う時は、ネタとして美味しい!と考えるのが一番ですね。6月24日 14:13 

蝦名 龍郎 無事を祈ります。6月24日 14:32 

渡辺 伸一朗 禎さん、やっとクイアバに着きました。bandeirantes hotelです。席は419b D 011。明日頑張りましょう。6月24日 14:37 

Rieko Nakamura 窓に鍵がない??窓から侵入されちゃわない?部屋に居ても安らげないね。。(-_-;)6月24日 14:40 

伊藤 淳悟 頑張れ中村さん!ナタールとの対比半端ないですね!6月24日 16:06 

紺野 光春 豊かさとは何かを考えるチャンス!にはならないかな?6月24日 16:21

土井 芳信 サポ村ツアーのクイアバは、損な宿ですか?苦行が続ますね。6月24日 16:49

屋木 純一 禎さん、お気をつけて。いい思い出のたくさんあるツアーになりますように。ブログ、楽しみにしています!6月24日 18:18 

中村 禎 みなさんのコメントで泣きそうです。6月24日 20:29 (朝の8時半)

中村 禎 6階だから窓からは入って来れないから多分大丈夫。常にスーツケースにロックとワイヤーロックしてます。6月24日 20:34

千葉 正弘 おはようございます。かなり緊張感あふれる宿ですが、応援よろしくお願いします。6月24日 21:00

佐々木 正二 楽しんでください( ´ ▽ ` )ノしかし凄い宿ヽ(´o`;6月24日 21:25 

一文字 守 これも戦いです。頑張ってください!6月24日 21:46 

大野 宏暢 禎さん、僕のホテルの窓から見える景色もヤバいです。どこの紛争地域?って感じです(泣)

24日 21:55 

Masumi Sakurai まさに絶対に負けられない戦いが目の前にもありますね。605、逆か ら読むと、506、ごーる(ろは〇をつけてる)。応援しています。6月24日 22:32 

黒田 明 がんばってください。根性無しはNYから応援します。6月24日 23:04 

中尾 京子 リアル・ブラジルで日本代表を応援している禎さんを応援しています!お気をつけて& ALEGRIA 楽しんできてください〜6月24日 23:43 

加藤 文近 ベッドにトイレ、シャワーがあれば御の字なのでは?6月24日 23:44 

北川 雅彦 かみさん一緒?だとすると神経10倍使うね。どうでもいい女と一緒でも5倍近く使うものね。楽しむしか無いか。6月25日 0:50 

中村 禎 北川くん、奥さんは来ないよ。自分のことでイッパイイッパイ。6月25日 1:35 

中村 禎 あと数日。ブラジルに慣れて来て疲れもピーク。集中切れて油断しやすいのは帰る直前だと肝に命じています。これからが一番気をつけなければいけない数日間だと思っています。しかもリオだし。6月26日 17:42

Madoka Sakai お疲れさまでした。ついでに、部屋ではWIFIなし、シャワーのお湯もなしでしたよね。思い出したくないです。涙6月27日 18:57 

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「言葉」や「名前」が助けてくれました。ほんとうにありがとう、でした。

ブラジルワールドカップの終焉

TAMキャンセル

ブラジルW杯が終わってしまった・・・。決勝戦が終わって3ヶ月以上過ぎているのに、まだ終わってなかったの? ネイマールのケガもとっくに完治して新生アギーレジャパンが4点も決められたのに、まだそんなこと言ってるの? な季節ですが、ボクの中ではずっと終わっていなかったのだ。

resife MAP

向こうで旅程を変更して、ブラジルTAM航空の国内線をキャンセルした。日本が予選リーグを2位通過したら試合が行われるレシフェへの航空券。そこからサンパウロへと戻る航空券の2枚。日本が2位通過だったらコスタリカと戦うはずだったスタジアム、アレーナ・ペルナンブーコ。その試合がギリシア vs コスタリカになってしまった。宿も航空券も押さえてあったけど、ギリシアをまた見に行く気にはなれなかった。しかも観戦チケットがないので現地調達しなければならない。ギリシア戦のチケットを今から買うの? ボクは決断した。ボクはリオに残って延泊することに。3週間近くブラジルに滞在して、ギリシア戦を見に行く気力はもう残っていなかった。しかもレシフェのペルナンブーコはコートジボワール戦、イタリアvsコスタリカ戦を観た同じスタジアムだったし。

試合の日の航空券は通常より割高に設定されていた。 リオデジャネイロ→レシフェ444.28USD、レシフェ→サンパウロ334.28USD。全額は無理でもいくらかの返金を求めて、リオのサントス・ドゥモン空港のTAM航空のカウンターへ行って、たどたどしい英語でなんとか交渉した。なんか不安だったので、帰国する日にももう一度TAM航空のカウンターに寄って紙に英文を書いて交渉した。そこで紙(上の写真)を受け取ったので、ま、大丈夫だろうと帰国の途に着いたのだった。

帰国して、たくさんの思い出に浸りながら過ごしていて、ふと「あのTAM航空の返金、どうなったっけ?」とクレジットカードの明細を調べてみても音沙汰なし。村上アシシさん主催のFacebookグループ『ブラジルW杯現地参戦組』で情報を求めると、同じような境遇の人がいた。その人にTAM航空の「返金専用メールアドレス」を教えてもらって、メールすることに。Google翻訳を使った英語とポルトガル語で。2週間経っても返事が来ない。このままなんか、ズルズルと気持ち悪いままいくのかと思っていたら、先日。クレジットカードの11月分のところに『TAM AIR LINEからマイナスの請求』(つまり返金)が確認できた。おお!あのサントス・ドゥモン空港のTAM航空のおねえちゃんはボクを見捨てなかった。オブリガード!

でもこれで、ボクのブラジルワールドカップの行程がすべて終わったことになる・・・。うれしいような、さみしいような。
(後はブログの続きを書く楽しみが残っているのですが)

だってブラジルなんだもの⑰移動日3,655km

2014年6月22日

BRASIL航路二等辺三角形の移動

今日は移動日だ。第3戦、絶対に負けられないコロンビア戦の地、クイアバへ向かう。しかし、ナタルから内陸部のクイアバへは直行便がない。ナタルからサンパウロ経由でクイアバへ。地図で見ると、ちょうど二等辺三角形の長い辺と底辺を行くようなかんじだ。

NATAL〜SAO PAULO  2,326km(羽田〜サイパンが2,363km)
SAO PAULO〜CUIABA  1,329km(羽田→奄美大島が約1,300km)
つまり、サイパンから羽田に戻ってその足で奄美大島へ行くカンジ。

ナタルモノクロの街1 バスの窓からナタルモノクロの街2ナタルの街を後にする

ポンテケージョサンパウロの空港で、ポンテケージョ(ブラジルのチーズパン)とショッピ(生ビール)

黄熱病クイアバはWHOの黄熱予防接種推奨地域。予防接種は約1万円。国際医療センター病院トラベルクリニックで『狂犬病の予防接種もいかがですか?』と薦められたが高かったのでやめた。

今回のブラジルワールドカップでボク自身が「変わったな」と思うのは、飛行機が苦にならなくなったことかもしれない。ブラジルから帰国して国内線に乗る機会があったが、日本の22.5倍の国土をあちこち移動したので、羽田からちょっと飛んだら「え? もう着陸?」というカンジだ。さらに国際線も、たぶん大丈夫だ。「パリまで12時間半」と聞くと「近いな」と思う。だって、パリに着いてまた15時間も乗らなくていいんだもん。ブラジルは日本のちょうど真裏に位置する国なので、地球上でそこより遠い場所はない。そこへ行ったのだから、もう怖いものはない。だってブラジルなんだもの。(つづく)

【予告】サポ村の志賀さんからは「ナタルはすごくいいホテルが押さえられました。しかし、クイアバは期待しないでくださいね」とは言われていた。合宿所みたいだと言われていたが、違っていた。ボクにとってそこは収容所だった。

収容所1クイアバの HOTEL PANORAMA 窓の外。ブラジルに来て初めて、淋しいと思った。