ユナイテッドアローズのおさるさん

2014宣伝会議賞

いつから始めたかは忘れたけれど、中村組の子が宣伝会議賞を取ったら、軽いお祝いにユナイテッドアローズのおさるさんをあげるようにしてきた。今回の宣伝会議賞では3人のOBが協賛企業賞を取っていたので、授賞式の前に新宿のユナイテッドアローズに寄って3匹買って最終審査会場の六本木ヒルズに向かった。

●たった26文字の組み合わせで、世界は広がる。ECC(8代目名引佑季)

●キレイなおばあちゃんになるつもりだ。牛乳石鹸(8代目松田孝一)

●売れない方法も、知っています。ディーエムソリューションズ(10代目植村明弘)

待てよ? 3次審査通過に何人か中村組の名前が残っていたなぁ。もし誰か受賞したらサルが足りなくなるなぁ。幸い六本木ヒルズの中にユナイテッドアローズがあったぞ。よし、1匹追加しておこう。と気を利かせたつもりだった。ところが。最終審査が終わった会場で受賞者の名前が発表されると、なんと中村組の名前が3人も!

●CMゴールド:『何気なく間違えている結婚式のBGM』篇(11代目合田ピエール陽太郎)

●眞木準賞:走れ、親孝行。西日本高速道路(9代目古橋亮羽)

●シルバー:脚立は、脚立としての時間は短い。長谷川工業(7代目柴田尚志)

2匹足りないっ!でもラッキーだった。審査会場の森タワーを降りると1階にユナイテッドアローズがある。授賞式までまだ時間はある。あわててもう2匹捕まえに走った。宣伝会議賞の授賞式で6人もの中村組OBに会えるなんて。(正確には7人。ひとりは協賛企業のクライアントに9代目宮本真由美がいる)

授賞式に参列しているファイナリストたちは自分の名前が呼ばれるかどうか、ドキドキだったと思う。中村組の修了のときに渡したメッセージ入りのボクの名刺、秋篠寺のお守り、眞木準さんからもらった金の鉛筆・・・それぞれが「お守り」を持って授賞式に来ていたそうだ。たまたま眞木準賞のプレゼンテーターをやることになっており、教え子の名前を読み上げるという幸運。賞状の文章を読んでいる時、実はちょっと足が震えていた。(バレなかったと思うけど)

『中村組、すごいっすね』と言われると正直うれしい。ただ、ボクの教え方がいいとかそういうことじゃなくて、中村組の自慢はOBになってもつながりがあるところだと思う。常に「くやしい」とか「うれしい」を共有できるから、モチベーションが持続するところがいいんだと思っている。うれしくてその日は3次会まで行った。(ひとり、カオタンラーメンにまで行ってしまった)

1.44%の門

一次通過

第51回宣伝会議賞の応募は48万8916点、昨年比10万点増で過去最高だったそうだ。一次審査通過はコピー部門6686点、CM部門361点。中村組OBなら一次は軽く通過してほしいところだけど、『全体の1.44%しか通過しない』と聞くと、そこに残るというのはかなり難しいことがわかる。その一次審査通過者のリストから中村組OBの名前を探して、マーカーで印をつけるのがこの時期の楽しみなのだ。『フルネームと顔を憶えている限り、一生応援する』のが中村組の約束だから。いくつもたくさん残っている者、何年も前に卒業して今も頑張っている者、去年は少ししか通過してなかったのに、今年は複数残っている者、たったひとつだけど、立派に名前を残した者。それぞれ頑張っている『名前』を見つけると、熱いモノが込み上げてくる。授賞式で何人に会えるか。何人か、会いたいなぁ、

●112新免弘樹●118廣川洋平●205石見亜紀子 ●215佐藤文香●314中尾ゆかり●322 宮城朝一郎●404印南智史●420松川亜紀●502飯田啓貴●513城市俊則●602阿部裕一●617早野祐司●622宮田智香●701石本香緒理●702伊藤拓郎●703伊東美貴●704大澤芽実●716柴田尚志●717島村伸江●718鈴木宣彦●720高橋尚睦●723野田頭弘修●727横溝未央●801伊藤みゆき●803 岩城一雄 ●810島田寛昭●818名引佑季●821松田孝一●824山内昌憲●902石井 亮 ●904大杉陽●906大橋 幸裕●909木原 純子●911栗原 勲●916関根 祥量●921古橋 亮羽●1003石田 英範●1004上野 彬●1005植村 明弘●1007大瀧 篤●1008岡本 真帆●1014 菅谷 敏通 ●1015関口 謙一●1016高橋 貞行●1017舘入 友香●1020野口 拓也●1021半田 智洋 ●1023 松田 彩子●1025柳元良●1104遠藤 絢子●1109岡山 和也●1110奥村 広乃●1113合田P陽太郎●1115三枝 峻宏●1120半澤 桃子●1122松本 和音●1123丸山 るい●1124村田 唯●(ひとつでも名前を見つけた者たち。漏れていたらゴメンナサイ)

脳ミソを混ぜる

ハッカソン看板

たまたまブラジルW杯のツアー説明会で知り合ったサッカーファンの人から、「中村さん、W杯興味あるでしょ? ちょっとアイデア出してくれません?」とfacebookメッセージで誘われて、「あ、いいっすね」と軽く返事をしたら、タイヘンな場所に首を突っ込むことになってしまった。「ハッカソン」って、なんか聞いたことはあったけど、よく知らなかった。(つまり、何も知らなかった)それは、朝日新聞が主催したもので、

【データジャーナリズム・ハッカソン】『朝日新聞社から、災害・気象、社会保障、開発・経済、スポーツ、文化などの各分野の記者が参加。社外から、プログラマーやデザイナー、データ分析などのスキルを持った方々が参加。記者の問題提起の後、チームをつくり、各チームで活発な議論が繰り広げる。ハッカソン本番は3月1、2日に開催される』というイベント。この3月1、2日に来てください、という誘いだった。

ハッカソンとは、『プログラマーやデザイナーらが集まり、短期間で集中的にアプリケーションやウェブサービスなどをつくるイベント。今回のハッカソンは、データを活用して社会問題を分かりやすく伝えるコンテンツやアプリケーションを作る』と後で知ったのだった。ボクはただ「W杯の面白いアプリをつくる」とだけ聞いていたので、案をもって気楽に参加したのだった。

ハッカソンボード

そしたら、2日間でアプリケーションを完成させて5分のプレゼンをして審査される、というものだった。

結論からいうと、ものすごく刺激的で楽しかった。すごく疲れたけど。

新聞記者、プログラマー、エンジニア、デザイナー、プランナー、そしてボクみたいなただのサッカーバカな広告屋が混ざり合って、2日間。実際に動くアプリをつくってプレゼンする。なんというスピード感。ふだんの広告のプレゼンとは次元が違った。しかし、超短時間という制約が面白い効果を生むこともわかった。

まるで、いろんな楽器を担当するスタジオミュージシャンが集って、こんな曲がいいか、あんな曲がいいかをディスカッションし、基本メロディが決まったら、どんどん自分のパートを演奏し、録音し、データ化し、クラウド(この場合はfacebookグループ上)に上げて、みんなで共有し、それを使って自分のパートを完成させ、最後は5分という時間のプレゼンに入るようにリハーサルをする。楽器はみんなノートパソコン。(ボクはMacBookAirと手描きの併用)そして、本番。ライブで演奏する。そんなカンジだった。

ハッカソンデスク

ボクたちのチームは自信があった。グランプリ確実だと思っていた。しかし、結果は無冠だった・・・。しかし、ボクらの演奏した曲はみんなの心に爪痕を残したはずで、グランプリをとれなかったのは、このイベントの主旨からちょっとずれていただけだ。ボクらが2日間(実際は3日間)でつくった曲は、必ず世界でヒットするはずだ、とマジでまだ思っている。

この『いろんな得意分野をもった人たちが混ざり合って新しい何かを(短時間で)つくりあげる』ということに、すごく可能性を感じた2日間だった。

売り手よし 買い手よし 世間よし

長岡理恵さん

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売り手よし 買い手よし 世間よし

三方よし

近江商人の経営理念より
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江戸時代から明治期にわたって活躍した近江国、滋賀県出身の商人、近江商人の言葉。とある本を読んでいて出会った言葉です。(これ、最近読んだ別の本でもこの言葉を書いている人がいた。その本がどれだったか探し中・・・)

売り手、買い手だけが利益を得ることだけでなく、社会全体の利益までを考えるべき、という考え方。売り手、よろこぶ。買い手、よろこぶ。世間も、よろこぶ。自分がいかに得をするか、だけを考えないという教えの言葉です。よく、「WIN・WINの関係」なんていうけど、それじゃ足りないよ、と。「WIN・WIN・WIN、つまりトリプルWINの関係」だと江戸時代の先輩は気づいていた。スゴイです。この考え方は、最近企業が言い始めているCSV(Creating Shared Value)に近い考え方ですよね。Creating Shared Valueって、「ハーバード大学教授のマイケル・ポーター氏が提唱している社会課題の解決と、企業の成長を両立させるという経営コンセプト」ってことらしいですけど、近江商人から言わせれば、「何百年も前からやってますけど?」ですね。恐るべし、近江商人。

①競合プレゼンに勝つ→広告会社、一番よろこぶ。広告主、まあよろこぶ。世の中、まだよろこばない。

②広告賞を獲る→制作者、すごくよろこぶ、広告主、ちょっとよろこぶ。世の中、別にどうでもいい。

③必要なサービス(広告)を考える→買い手、よろこぶ。売り手、よろこぶ。世の中、よろこぶ。

ボクは、近江商人になりたい。③をやる。

 

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【写真注釈】このコラムに合う写真が思いつかなかったので、コピーライター養成講座中村組OBで近江八幡のレタス農家に嫁いだ長岡理恵サンの幸せそうなプロフィール写真を無断で使用させていただきました。レタスなどの野菜でつくった「サラダブーケ」が贈り物によろこばれます。ボクも誕生日に贈っていただき、よろこびました。食べれるし。
https://www.facebook.com/nakamura.tadashi21/posts/530722130345353?stream_ref=10
http://www.nagaokafarm.com/

作戦A

IMG_3429 のコピー
IMG_3428 のコピー
IMG_3432 のコピー
23才の素人新入社員の企画・コピーなのでお許しください。それよりこれをでっかいVHSのビデオカメラをかついで、自分たちで出演してビデオで撮影したことは、よくやったとホメてやりたいと思います。

昨日の「コピーの筋トレ 案その③」の応用篇が大きく役に立つことがありました。
コピーライター養成講座中村組でも話していることなんですが、
ボクがトンプソンの営業からクリエーティブへ移りたいと
アピールするために取ったアクション「作戦A」の話です。

当時、トンプソンの新入社員で営業に配属された中村青年は
会社の近くの居酒屋で愚痴をこぼしていました。
「ウチの会社のつくってるCMなんてツマンナイよな」
「オレがクリエーティブだったら、もっと面白いのつくるけどな」
みたいなことをほざいていたんだと思います。

それを聞いていた会社の先輩コピーライター。
「おう、中村。お前たちさっきから聞いてたらいろいろ文句があるようだな。
それだけ文句があるなら、自分ならどうするって案があるんだろう。
見てやるから見せろよ」
と言われました。当然そんな準備はありません。

「バカヤロウ。代案がなくて文句だけ言ってるのは、
ただの消費者や評論家と変らねぇだろ。
お前はクリエーティブに行きたいんだろ?
それなら、自分ならこうする、って案を懐に持ってから文句を言え」

後頭部にガツンときました。先輩のおっしゃるとおりです。そのとき、
ただ「クリエーティブに行きたいんです」と叫んでいるだけじゃダメだ
と気づきました。ボクならこうする、というものをつくって、
会社にプレゼンしよう。そう決意したのでした。

数ヶ月後、友人の須山君と6、7本のCMをつくりました。
今みたいな編集機材もない時代。VHSのビデオで35秒とか59秒とか。

「営業部の中村です。PR部の須山です。
僕たちはクリエーティブに移りたい。
で、今ウチがつくっているCMを、僕たちならこうする、
というものをつくってきましたので、見てください」

副社長やクリエーティブの局長や人事部長に来ていただいて、
汗だくでプレゼンをしました。成功だったようです。
その後会社も「こいつら本気だ。移動を考えようか」と動き始めたみたいでした。

そこでつくったものは稚拙なものでした。
しかしその熱量は相当なものだったと思います。
この「案」をそのまま採用してもらおうなんて思ってはいません。
そこまでうぬぼれてはいません。
ただ、コピーライターになりたいとか、クリエーティブに行きたいという
多くの新入社員の中で、自分らが一番本気なんだということを伝えたかった。
そのためのプレゼンでした。

「コピーを勝手に書き直す」という筋トレがあることを知っていたおかげで、
精神的な筋肉が鍛えられてたようです。

リンク元:プロフィール 作戦A

コピーの筋トレ 案その③

ダンベルプレート

コピ筋③勝手にコピーを書き直す

この筋トレはかなり体力を使います。これはたしか、コピーライターになりたくて本などを読み漁っていた頃に見つけた、当時は将来の師匠になるとは思ってもいなかった頃の仲畑さんのアドバイスでした。「実際にある広告のコピー部分に紙を貼って、そこに自分でコピーを書く」という筋トレです。当時、養成講座にも通っていましたが、自主練習でそれもやっていました。「こんな広告つまんないや」というのを見つけてきて、コピーだけ書き直すのはカンタンです。「この広告、いいなぁ」というコピーを書き直すのは難しい。というか、ほとんどできませんでした。大事なのは、「自分ならどうするか」を常に考えておくということだと思います。若い頃はそんなに仕事量も多くない。だからその時に、試合のシミュレーションをしておく。仲畑さんのこのアドバイス、仲畑さん自身がやったことなんですね。糸井重里さんの「はたらきたい展」(持って帰りたいことば Posted on 2013年6月15日)でもらってきた「はたらく」言葉99の中のNo.83に、親分の言葉がありました。
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オレ、「36社」落ちてんだもん。

代理店からプロダクションから印刷屋から、「コピー」と書いてあったら片っ端から履歴書を出したんだけど、全滅。このままじゃ一生受からんと思って、新聞の全面広告のコピー部分を消して自分のコピーをでっかく書いて送ったら、一発で。やっぱり、仕事を獲ってくるには「アイディア」が必要だってことだよ。

仲畑貴志(コピーライター)
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この筋トレで残念だったのが、書き直したコピーを誰にも見てもらえなかったこと。誰にも講評してもらえなかったということ。しかし、この筋トレの応用篇が大きく役に立つことがありました。コピーライター養成講座中村組でも話していることなんですが、ボクがトンプソンの営業からクリエーティブへ移りたいとアピールするために取ったアクション「作戦A」がそれ。実際にある広告をつくり直す、という筋トレです。コピーだけ差し替えるのではなく、企画からやり直すというものでした。(次回につづく)

コピーライターの筋トレ
「コピ筋」その①句をつくる
「コピ筋」その②句をつくるpart2

 

コピーの筋トレ 案その②

ダンベル2

コピ筋②句をつくる part2

昨日、コピーライターの筋トレ案「コピ筋①」で七・七の武玉川をつくる、という話を書きました。そしてその句を見せ合うといい、と書きました。で、その発展形として。「短時間でつくる」「制限時間内でつくる」という制約を追加しときます。

昔、仲畑広告制作所で俳句の句会をやっていました。コピーライターだけじゃなく映像部のプロデューサーやデザイナーやデスクの人、社員全員です。そこにボクも誘っていただきました。

その日の夕方に季題が発表されます。そして19時半くらいが投句の締切。夕方仲畑広告に集って、それぞれの場所でうなります。自分のデスクに戻る者、階段に座り込む者、トイレにこもる者。テーマが発表されて投句するまで2時間もないんです。みんながうなっているところに、さっさと投句をすませた仲畑さんがよくお邪魔に来たものです。だからみんな隠れるように場所を探して考えていました。幹事が集計しているあいだに、みんなでお弁当を食べ、みんなの句が無記名で貼り出される。それをみて「天・地・人」つまり、自分の中の金銀銅を選ぶ。選者が金の句を書いた人にその句を短冊に書いて渡す。そして賞金を渡す。賞金もうれしいのですが、短冊をがばっともらう優越感はたまりません。そして最後に仲畑さんから講評があります。だいたい「こんなん俳句じゃねえ!」でしたがw。

この句会で学んだのは、「狙いすぎるとすべる」ということももちろんですが、「短時間で考える」という瞬発力のような筋力がつくんじゃないかと思ったことです。長い時間考えればいいってもんじゃない。広告の仕事も締切がある仕事です。制限時間の中でベストを出す。時間の制約をつけてぎゅっと考える。今で言う「加圧トレーニング」のようなものかもしれません。コピーの加圧トレーニング。これは、佐藤雅彦さんとの仕事でもやったし、サン・アドの頃にもやったことがありました。サントリーへ自主プレをする案を考えていたとき。有楽町の交通会館に行きました。今はもうないのかな、円形の展望ラウンジがあって、そこがゆっくり回っているんです。1時間で一周するくらいだったか。そこに行ってデザイナーの山田正一さんと「一周するまでに一案考えましょう」とやった記憶があります。(蛇足ですが、そこで思いついた案は見事採用されました。いつかご紹介します)

制限時間を決めてぎゅっと考える。コピーの加圧トレーニング。いいかもしれません。中村組の講座の中でも取り入れてみようと思います(みんなが考えている間、休めるし)

コピーの筋トレ 案その①

ダンベルプレート

昨日、「コピーライターの筋トレ」という文章を書きました。書くだけじゃナンなんで、実際どんな筋トレがあるのか考えてみることにします。これはあくまでコピーライター中村禎が考えることなので、誰もに役立つ筋トレかどうかは知りません。とりあえず、思いつくままに書いてみます。
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30才、電通に移籍した頃、なかなか馴染めず仕事がヒマだったボクに、親分の仲畑さんが声をかけてくれたことがあった。「言葉から離れないようにしとけよ」だった。文庫本の小説でもいい、落語を聞くのでもいい、日本語を見たり聞いたり書いたりすることから離れるな、ということだったと思う。

コピ筋①句をつくる

七・七の句「武玉川」を書く。これは土屋耕一さんの言葉遊びとしての句で、五・七・五よりも短い分むずかしいかもしれない。(土屋耕一さんの武玉川
Posted on 2013年3月27日参照)コピーライター養成講座専門コース中村組の講座の中でもこれを「遊び」としてやっているが、これも筋トレになるんじゃないかと思う。(あるテーマで句を詠み、持ち寄って、自分がいいと思う句に投票し100円をあげる。ボクも出す。誰も1票もいれてくれないときもある。(見る目ないなぁ、くそっ)9票入って900円もらったときもあった。(その時は川柳だったかな)

情景を思い浮かべる。言葉で考える。文字数、リズムを整える。歩きながらでも電車の中ででも考えることができる。そして大事なことはその句を「人に見せる」ということだと思う。書くだけだと自己満足で終わる。それを人に見せて、その人が何と言うかを体験する。自分がいいと思ったことでも人は「何それ?」ということが多い。ウケようとして書いた言葉はだいたいすべることの方が多い。ボクもすべる。共感を狙うのだが、その時に「邪心」のようなものが混じると途端にアウトになるように思う。その微妙な違いを肌で感じる練習はたくさんした方がいい。ツイッターなどでも、「これはリツイートされるだろう」と思って書いたものはダメで、ぽろっとこぼれた言葉の方がリツイートが多かったりする。

七・七の句をつくるという書く筋力と、何が共感されて何がすべるかを知る感覚を鍛えることにつながるんじゃないかと思っている。(つづく)

コピーライターの筋トレ

乾

コピーライターの仕事をしていて、ボクの仕事でアスリートの「練習」にあたるものって何だろう、と昔からずっと考えている。実際の仕事が「試合」だとしたら、「練習」や「筋トレ」にあたるものはなんだろうか、と。

録画していたNHK「アスリートの魂」を見た。ドイツブンデスリーガ、フランクフルトに移籍した乾貴士選手だ。乾選手のことは彼が高校生の時から好きだった。セクシーフットボールで優勝したあの野洲高校のメンバーで、その後セレッソ大阪へ入団。香川とともに活躍した選手だった。ドイツに移籍してすぐに活躍したが昨年後半から調子はイマイチ。先発から外される試合が続いていた。日本代表にも呼ばれてはいるが、出場機会には恵まれていない。

世界中から優秀なプロ選手が集るブンデスリーガのチームで、常に先発メンバーに選ばれることだけでもタイヘンなのに、出場しても活躍しなければファンやマスコミからボロクソに言われる世界。自分はなぜ先発に選ばれないのか。乾選手はもがき、葛藤する。自分を分析し足りないモノを得るために雨の中練習する乾選手の姿を見て、中村禎の場合の練習はなんだ?筋トレはなんだ?と自問する。

コピーライター養成講座がサッカーでいうとジュニアやユースの選手に基礎を教える場だとしたら、プロ選手の練習や自主トレにあたることは何だろう。たぶんすべてのプロに有効な練習はないんだと思う。プロとして自分で自分の弱点や強みを自覚して分析して、何が有効かを「工夫」してみることに意味があるんじゃないだろうか。よし、サッカーノートをつけていた中学生のサッカー部の頃にもどって「コソ練」をやってみよう。

11代目中村組スタート!

11代目テキスト11代目中村組のレジュメ 26人分

コピーライター養成講座専門コース中村禎クラス、通称中村組の11代目が始まります。今年の生徒さんにボクより年上の方がいらっしゃいます。最初は正直「やりにくいかなぁ」と思ったのですが、学ぼうととする気持ちの熱さを想うと頭が下がります。自分より年下の講師、並んで座る生徒たちも自分の子どもくらいの年齢かもしれない。それでも「11代目中村組」を受けたいと思ってくれた、ということです。ボクも最近いろんなセミナーに出席しますが、年下の人から教わることが多い。考えてみれば、学ぼうとする気持ちに年齢の上下なんて関係ない。学びたい側に謙虚な気持ちがあれば何の問題もないのです。

中村組の定員は25名程度ということですので、それをオーバーした場合はセレクトさせていただきます。手書きの履歴書、自分がいいと思うコピー3〜5本とその理由を書く。ただし、中村禎のコピーと受賞コピーを除く、という課題を出しました。応募書類の束がドサッと届いて最初にやることは、四角いポストイットを履歴書の顔写真のとこに貼ること。まず顔を伏せます。これは顔の印象で判断しないようにするためです。そして「手書きの字」を見ます。手書きの字はヘタくそでもかまいません。どれだけ「伝えたい」と思って書いているかを見るのです。一生懸命書いた字か、雑に書いた字か、すぐわかります。書き損じをぐじゃぐじゃっと書き直していたりしたらもう、即アウトでしょ。言葉で人に伝える職業には向いていませんよね。

このブログのタイトルもそうなんですが、『コピーライター中村禎の場合』というレジュメを配ります。これはテキストというより、あの話もしておこう、この話もしよう、という項目をすべてリストにした、いわばナレーション原稿の見出しのようなもの。ボクの場合はこうでした、という話をするので『コピーライター中村禎の場合』です。それを最初に配ります。これをチェックして「これは話した。これはまだ話していない」もわかります。
3代目テキスト3代目中村組のレジュメ 6ページ目

初代のレジュメから基本的な変らない部分と、「今」という時代だから言うべきこと。年々ページ数が増えてきてます。3代目のときの『なんか役に立ちそうな話』はたった18個だったんだなぁ。(でも、こんなに赤い字で書き足した跡を見ると、やりながら増やしていったみたいですね)最新版の11代目はこれが59個にバージョンアップしています。過去に卒業した中村組OBには不公平にならないように「OB掲示板」にアップして、合宿のときや忘年会など会ったときにフォローします。だから、中村組の本当の授業はOBになってからなのかもしれません。「フルネームと顔を憶えている限り中村組OBは一生応援する」が中村組の約束ですからね。どんな「代」になるか、土曜日が楽しみです。