一番カッコ悪い言い訳

カッコ悪い言い訳

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『時間がなかった』は
  一番カッコ悪い
  言い訳だよ。

  宣伝会議賞
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何年か前の、宣伝会議賞応募促進のために書いたコピーです。
審査員何人かが色紙に書いて、都内の何カ所かの書店にPOPとして飾られました。

WEB応募になる前、深夜の郵便局に段ボール箱で応募した中村組2代目の金井秀徳くん。すべての課題企業のコピーを書いて、ほとんどの課題で一次通過をしていた3代目の石田潤くん。たくさん名前が並ぶ通過者のなかで自分の名前を見つけやすいように「ん。」という名前で応募した初代新免弘樹くん。(その後、真似する人が続出してペンネームは禁止された。新免はその先駆者だった)ここ何年か、宣伝会議で発表される一次審査通過者、二次審査通過者のリストから中村組OBの名前を探すのが密かな楽しみになっています。拡大コピーを取ってマーカーで印をつけていく。卒業してしばらく会っていなくても、フルネームの漢字は覚えていて「あ、アイツ、頑張ってるな」という名前に出会えるのはとてもうれしいから。

一本でも多く、締切ぎりぎりまで粘って書いて欲しい。その気持ちを伝えたかった。コピーライターになりたいと本気で思っているんだったら、チャンスの前髪は自分で掴みに行くはずだから。でも、「仕事が忙しくてサ」と出さなかった言い訳をするヤツがきっとでてくる。そんな弱虫をなんとかしたくて書いたコピーでした。

名古屋の宣伝会議の講義に行った時。CCN(コピーライターズクラブ名古屋)の審査会に東京から来ていた女の子が寄って来て「中村さんのおかげで宣伝会議賞の企業賞、もらえました。ありがとうございます」と言う。ボクは「ん? どんなコピーだっけ?」と聞くと、エステティックTBCで「元カレに会いたい」というコピーだという。「あ、それ覚えてる。ボクもいいと思った。入れたよ、よかったね」というと、「そうじゃないんです」と言う。その彼女は宣伝会議賞の締切の前日、たまたま本屋でボクの書いた色紙を見たんだという。

『時間がなかった』は一番カッコ悪い言い訳だよ。

そのとき、忙しさを理由に応募してなかった彼女は、このままじゃイカンと思い一晩でコピーを書いて応募したというのです。そして受賞した。「あのコピーのおかげです。ありがとうございました」 ホント?やたっ!うれしー!コピーが人を動かした! まさに想像したターゲットに完璧に刺さったわけです。コピーを書いて、クライアントから「商品、売れましたよ」と言われるのもうれしいし、広告賞をとりましたというのもうれしいけど、「私に刺さりました」という本人に会えることほどうれしいことはないな、と思いました。

宣伝会議賞の締切がもうすぐです。チャンスをつかみたいコピーライターの卵たちに、もう一度、このコピーを贈ります。

・・・なにがコピーだ

宣伝会議賞メッセージ(禎)

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審査員ひとり
動かせずに
なにがコピーだ。

中村禎
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宣伝会議賞に応募する人、コピーライターをめざす人への応援コメントや、なにかアドバイスになることを自筆で書いてくださいという依頼でした。ちょっとキツイかなとも思いましたが、中村組OBに伝えるつもりで書きました。「がんばってください」的なことよりも、「口惜しかったら書いてみな」的なことを言いたかった。これを見て「くそっ、ナカムラめ。覚えとけよ」と書きまくってくれることが狙いです。親分の仲畑さんが昔「クライアントひとり説得できないで、何万人の世の中を説得できるか」と言っていたことを思い出します。

でも、実は「代案」も書いて送ったんですよ。この「・・・なにがコピーだ」を書いて宣伝会議の担当者に送ったんですが、受け取りましたの返事が来ないんです。いつもはすぐ来るのに・・・。もしかして、「これはマズイんじゃない?」と問題になっているんじゃなかろうか、と勘ぐってしまいました。じゃあもう少しおとなしいのを送ろうと、書いて送ったら、「あれで大丈夫です」と返事が来たのでした。まあ、そうだよね。別にいいよね。

宣伝会議賞応援いちおういくつか書いて、乱暴すぎず、しかし勢いのある、かつ思いやりのある字を選んだつもりなんですがw

じゃあ、あのビールは…

00モルツあのビール

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じゃあ、あのビールは
どこのどんな水で
つくっているのだろう。

モルツは、天然水仕込み。
2000年  サントリー
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『ビールって92%は「水」なんだ』ときて、『ビールの原材料の話になんで「水」がなかったんだろう』ときて、ビールと水の関係が気になりだしてきたところで、3発目。『じゃあ、あのビールは、どこのどんな水でつくっているのだろう』というシリーズ。ま、こっちが想定するとおりに広告が届いているとは限りませんが、シリーズ広告を考えるときは、掲出する順番を考えます。もちろん、3回シリーズ全部見てくれていなくても、一発で仕留めるつもりでやらなければいけません。

モルツがなにやら、ビールと「水」のことを言っている→→→モルツは天然水らしい→→→しかも関東は丹沢水系の天然水らしい→→→じゃあ、いつも飲んでるこのビールは・・・? と思ってもらう。そこで、コンビニでいつも買うビールとモルツを買ってもらって飲み較べてもらう。そこまでが広告の役目です。飲み較べてみて「やっぱりいつものでいいや」と思ったり、「別に天然水じゃなくてもわかんねぇや」「やっぱ一番搾りが好き」となったとしても、それは広告の守備範囲ではないと思っています。

「その広告で商品が売れるのか」とよくいいますが、すごくおおざっぱな、雑すぎる言い方だと思います。広告だけで商品は売れません。そんな単純な話じゃない。だからこそ、『広告の役目』を明確にする必要があるのです。広告は、「じゃあ一回飲んでみるか」というキッカケをつくることはできる。広告のできる範囲は「とりあえず一回買ってみる」とこまでなんじゃないか。あとは、というか2回目からは知らん、任せた、という気持ちでつくりました。

ビールの原材料の話に…

00モルツ原材料

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ビールの原材料の話に
なんで「水」がなかったんだろう。

モルツは、天然水仕込み。
2000年  サントリー
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麦芽100%のビールは、缶ビールの原材料のところに「麦芽・ホップ」と書いてあります。麦芽100%じゃないビールは「麦芽・ホップ・米・コーンスターチ」と書いてあります。そこに「天然水使用」と書けばいいのに、と提案した覚えがあります。「丹沢水系」とか「赤城水系」とか。印刷が無理ならそういうシールを貼ればいいのにと。でも、効果とコストなんでしょうね。全然賛同は得られませんでした・・・。ま、ボクらは勝手に思いつきをいいますが、売る現場はもっとシビアなんでしょう。理屈では、どこの水を使っているか、わかったほうがシズルがある。だけど、飲む人は、そんなの関係ねぇ。そんなの関係ねぇ、なのかもしれない。

でもなぁ・・・。試しにやってみてもいいんじゃない? 「丹沢水系天然水使用」というシールを貼ったモルツと、貼ってないモルツ。その二つがあったらシール付きを手にしないだろうか。同じ値段だったら「丹沢水系天然水使用」のほうが売れるんじゃないだろうか。この新聞広告は間違ってないし、この時代の、この予算の広告としてベストだったのかもしれません。でも、もし今思うと、もっとビールの「水」が話題になるような仕掛けが必要だと思います。店頭POPなんかで、もっと効くコピーはなかったか。「丹沢水系天然水使用モルツ入荷!!」とか。

でも、自分で自分のコピーに意地悪なツッコミを入れるとしたら、何て言うだろう。「天然水じゃなくても、あっちのビールのほうがうまいよ」「飲み較べてもわかんないじゃん」「日本は水道水もうまいよ」・・・そうか、やっぱり・・・。

いまでも口惜しいのは、広告で「モルツは天然水仕込み」と言っているのに、商品パッケージのどこにもそれが書いてないということ。広告と商品がつながってないじゃん、ということです。飲んでみて明らかにわかるんだったらいいけど、「へぇ〜これが赤城山系の天然水でつくったビールか」と思ってもらう機会がないということでした。やっぱり、「商品の中に広告は内包されている」べきだよなぁ。

ビールって92%は「水」なんだ。

00モルツ92%水

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ビールって92%は「水」なんだ。

モルツは、天然水仕込み。
2000年  サントリー
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CD佐々木宏、AD副田高行、C中村禎というメンバーでの新聞15dシリーズです。キリン一番搾りの仕事を担当していたボクとしては、彼女と別れて何年か経って、別の女性とおつきあいするような、なんとも微妙な気持ちでした。でも、その昔の彼女はもう別の男とつき合っているわけだから、別に気にすることはないのかもしれませんね。プロとして、この商品のいいところをお客さんに伝えなければいけない。それが広告屋の使命です。

サントリービールは天然水を使っていることは知っていました。でも世間の人はほとんど知らないことだったでしょう。サン・アドの安藤隆さんのモルツのコピーで「天然水でつくったビールと、水道水でつくったビール、どっちがいいですか?」的なコピーの広告がありました。そりゃ天然水のほうがうまそう。そこをもっと徹底的に突いて行こうというシリーズです。

多くの人は気にしていない(だろう)缶ビールの横に書いてある文字。ビールの原材料のところ。ふつうは「麦芽」「ホップ」と書いてあります。麦芽100%じゃないビールは「米」とか「スターチ」などと書いてある。でも、調べてみたらビールの約92%は水だという事実。じゃあその「水」についても、どこのどんな「水」なのか書けばいいのに、と思ったのです。

ビールの広告なのに「水」の話をするのでブルーです。でもブルーはビールっぽくない色です。だからコピーには必ず「ビール」という単語は入れるようにしました。水の広告のような顔つきをしたビールの広告です。これはビールをおいしそうに見せる広告ではなく、ユーザーに「このビールは天然水?水道水?」と水のことを気にしてもらいたい広告でした。

矢印で「関東エリアのモルツは、丹沢水系、赤城山水系の天然水でつくっています。」というコピーを入れました。天然水がいい、と自慢するのではなく、「どこどこの水を使いました」という正直な話は、このビールに「誠実」という「味」をプラスするんじゃないかと思ったのです。こういうちょっとした部分って大事だと思うんですよね。これはたしか、掲載される地域で何パターンかつくったと思います。

ウーロン茶を飲むことにした。

98ウーロン茶体脂肪

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体脂肪体重計を買った。
ウーロン茶を飲むことにした。

ウーロン茶は、美容と健康によい
ウーロン茶ポリフェノール
という成分を含んでいます→(推奨)

1998年  サントリー
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98ウーロン茶紫外線

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今日は紫外線にあたりすぎた。
ウーロン茶、多めに飲まなくちゃ。

ウーロン茶は、美容と健康によい
ウーロン茶ポリフェノール
という成分を含んでいます→(運動後)

1998年  サントリー
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CD佐々木宏、AD阪口正太郎、C中村禎という仕事でした。ウーロン茶はサン・アドの安藤隆さんと葛西薫さんコンビの中国シリーズが王道で、ボクも佐々木さんもその仕事はリスペクトしていました。そこで新聞の小さいスペースで商品広告を提案しよう、となりました。新聞3段シリーズ。ウーロン茶のパッケージはもう有名ですが、そこに書いてある「文字」は、ただのイメージじゃなくて実はちゃんといいことが書いてある。だけど誰も読んでいない(だろうと思った)。ウーロン茶は健康にいいという、なんとなくのイメージはあるものの、当時は誰も(他社も)そのことを伝える広告をしていませんでした。ウーロン茶の本家本元であるサントリーがそれをやるべきじゃないか、という提案でした。

これこそ「サントリーのウーロン茶じゃなくても、他社のウーロン茶でも言えるじゃないか」という錆び付いた人がまだいるでしょうか? こういう誰も言ってないこと(当時誰も言ってなかったこと)を切り取って広告する、それが一番売れているウーロン茶としての使命であり、消費者に役立つ話をきちんと伝えることは、この商品の「ブランド」になるとボクは思っています。

この広告を見て、他社のウーロン茶を買ってもいいじゃないかとボクは思います。ウーロン茶は体にいいんだ、とウーロン茶を飲まなかった人が飲むようになればそれでいい。サントリーのウーロン茶だけが健康にいいわけではありません。他社のウーロン茶にも同じ効能はあるでしょう。でも、それを広告で教えてくれたのは誰でしたっけ? その企業を気に入っていただければサントリーを選んでくれる、と思うからです。その人が、ウーロン茶ファンになり、そのうちいろいろ飲み較べてみて、好きなメーカーを決めればいい。それがサントリーだと一番いい。だけど、味の好みは広告ではどうしようもないし、どうこうすべきではないと思う。ウーロン茶ファンを増やすことも立派な広告の効果だと思うのです。味の好みまでは広告屋の責任ではありませんから。

オトコには、足りないものがある。

98ブリオ

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オトコには、足りないものがある。

1998年  光文社 BRIO創刊
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男の生活誌創刊の新聞広告です。CDは岡康道 AD川口清勝 C中村禎 という仕事でした。彼らがタグボートをつくる直前の仕事でしたか。このコピーは岡CDが選んでくれました。信頼できる人がコピーを見てくれる仕事はラクです。コピーをたくさん書くだけでいいんですから。

男性の染色体は女性に較べて1本足りません。だからというわけではないのですが、「足りないものがある」と言われると気になりませんか?その足りないものは何か。それがこの雑誌の中にあるのかもしれない。そう思ってほしくて書いたコピーでした。

この雑誌のターゲットの男性。その男の「顔」を出すのは難しいと思いました。「顔」のイメージがこの雑誌のキャラクターを決めてしまいますから。そこで、「例えばこういう男」というものを「文字で」出すことにしました。その文字を書いた紙で顔を隠す。川口くんのアイデアでした。
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妻はひとり。
クルマは外車。
会社は丸の内。
趣味はスポーツ。
旅行は海外。

(だけど)オトコには、(ちょっと)足りないものがある。(かもね)
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(だけど)(ちょっと)(かもね)と、心の声を吹き出しで入れてみました。そういう「遊び」があったほうが、この雑誌の気分でした。いま思えば、豪華なスタッフでしたね。単発の仕事でしたが、あの二人と組めたことはいい思い出です。

追伸:「足りないものがある」って悪いことじゃなくて、いいことだと思っています。自分に足りないものがあると思うからこそ、努力したり向上したいと思うわけだから。「足りないものがある」ということは「永遠のベータ版」でもあるということだから。

35、6歳の男

10年リザーブ赤いシャツ

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35、6歳の男

1996年  サントリー10年リザーブ ラジオCM
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ラジオCM60秒。
「35、6(サンジュウゴ、ロク)歳の男」篇 です。
ラジオCMの企画というより、
ボクがいつも思っていることを、ただ書きました。
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サントリー10年リザーブ R-CM(60”)「35、6歳の男」

M:♪ ブラジル〜
N:佐藤浩市、10年リザーブを飲む。

佐藤さん:
 お酒の席なんかで時々、『おいくつなんですか?』って、
 聞かれるじゃないですか?
 それで、ほとんどの人が『いくつに見える?』って答えている。
 あれ、やめようって思ったんです。

 僕は、『35、6(サンジュウゴ、ロク)です』って答えようって。

 もうすぐ36になるんで35、というのも少し違うし・・・。
 若く見られたいとか、立派に見られたいとか。
 そういうんじゃなくて。
 『佐藤浩市は、35.6(サンジュウゴ、ロク)です』って。

 10年前は、若すぎました。

N:10年たって、いい味になりました。
  10年リザーブのまろやかさ、新発売。

佐藤さん:
 いただきます。
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今日現在、中村禎は、55、6(ゴジュウゴ、ロク)です。
いやもっと正確にいうと、55.9(ゴジュウゴーテンキュー)です。

10年前は、若すぎました。

97リザーブ①97リザーブ②

97リザーブ③10年リザーブ 「走る女」篇
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10年前は、若すぎました。

1996年  サントリー10年リザーブ新発売
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サン・アド時代は当然ながら飲料はサントリーを担当していました。しかし、駆け出しコピーライターに大きなキャンペーンを担当するチャンスはほとんどなく、小さな新製品の酒販店チラシを書いていて、その商品が売れて広告予算がつくと、そのマス広告を担当するという方式でした。だから、サン・アド時代のリザーブの仕事は、業界誌1ページ広告くらいでした。電通に移籍してからKIRINを担当していましたが、一番搾りの仕事が終わったので、サントリーを担当することになりました。ウイスキーが売れなくなっていて、リザーブの10年ものを出すことで新しい消費を掘り起こそうとしたキャンペーンでした。

とにかくこの曲を使いたかった。『未来世紀ブラジル』という映画のサウンドトラック、♪BRASILという曲。どうしても使いたかった。この曲を聴きながら家でお酒を飲みながら酔っている時間がなんとも好きだったから。お酒の広告でこの♪BRASILを使いたかったんです。

プレゼンではこの曲を使ったビデオコンテをつくりました。それはそれは完成度の高いものでした。それが「大失敗」でした。Vコンではよく映画なんかのシーンをインサートに使っていました。この時はたしか『ベティブルー』の夜のサーカスの観覧車のシーンや、森の中の小径をソフト帽が転がっていくシーンを切り取ってインサートに使いました。それがとても効果的だった。効果的すぎて、演出コンテのインサートの案になっかなかOKがでなかった。どうしてもVコンを越えられないんです。そりゃそうですよね、映画のワンシーンにはどれだけの予算と時間がかけられているかを思うと、そんなにカンタンに撮れるはずがない。Vコンのインサートに映画のワンシーンを使うときは「要注意」です。

「10年前は、若すぎました。」というコピーは好きでした。これはナレーションでは読まずにタイトルで入れるコピーでした。しかし、どんな書体で組んでも、どうもしっくりこない。ADの関裕敏さんが「禎さんの字でいきませんか」と言う。ここだけの話、ボクは自分のコピーには自分の字が一番合うと思ってはいるんですけど、実際の広告で使うのはどうも気が進まなかった。オンエアや掲載で自分の字を見ると、なんだかパンツ一丁で外を歩いているような、こそばいような気がするから。(以前、とらばーゆの中吊りで手書き文字を使って、そう思った)

気に入った出来上がりのCMだったけど、自分の字がでるとこだけがちょっとイヤだった。でも、友人から「あれ、禎の字でしょ」と言われた時は、ちょっとうれしかった。

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サントリー10年リザーブ
TVCM(30”)「走る女」篇

M:♪ BRASIL〜
S:10年前は、若すぎました。
N:10年たって、いい味になりました。
  10年リザーブのまろやかさ、新発売。
S:10年リザーブ  AGED 10 YEARS  新発売
佐藤浩一:いただきます。
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一番の日

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一番の日

1992年〜1995年 キリン一番搾り 
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約4年担当させてもらった一番搾りの仕事も終わりを迎えます。たくさんコピーを書かせてもらい、いろんな経験をさせてもらいコピーライターとして成長させてもらった仕事になりました。最後に紹介するのは、コピー年鑑にも掲載されていない、ゲラも残っていない47本の新聞シリーズ広告です。それは『一番の日』という新聞15dシリーズ。

これは「あなたの一番の日を教えてください」という問いかけに、全国47都道府県のお客様からハガキで応募していただき、その「いい話」を紹介しながら、そのご家族を撮影した新聞15d広告をつくるというものでした。いろんな家族の「一番の日」を紹介しながら「あなたの一番の日に、一番搾り生ビール」という広告です。子どもが生まれた日、おじいちゃんが退院した日、子どもが合格した日などなど、泣ける話や笑える話など、毎月ハガキを読む時間が楽しみだった仕事でした。「この仕事をやりとげたことがオレの自慢だ」と言っていた故・高梨駿作CDの声を思い出します。高梨さんが中心となって47本完成させた仕事でした。ああ、たしか小さな冊子にしたなぁ。あれ、どこかに残ってないかなぁ。

あのとき、一番の日に掲載されたご家族はいまどうしているだろう。まだ一番搾りファンでいてくれているだろうか。手間がかかるし、派手な広告効果はないかもしれないけど、こういうファンを大事にする広告もあっていいと思います。ずっとつづくと良かったのにね。

一番搾りの仕事は、ボクにとって「一番の日々」でした。ありがとうございました。